自分がインターバルトレーニングを中心に行う最大の理由は「レースで要求される能力に近いトレーニングだから」である。
まずはこちらをご覧いただきたい。実際に自分が走ったロードレースでのパワー出力グラフである。
特に短い間にコーナーが何度も登場するクリテリウムではその傾向が強く、コーナーのたびに減速、加速が発生するため、レースによっては非常に乱高下の激しい出力グラフになる。例えばTour de Parcのレースでは、以下のコースを見ても分かる通り、180度近いヘアピンカーブ、そして南側は丘になっており、その度に集団前方のアタックと相まって何度も短時間のスプリントが必要になった。
この点、実際のロードレースにおいて、一定の出力を維持し続けるだけで勝てるようなレースは存在しないといってよいと思う。
プロトンの中にいれば、アタックやアタック潰しだけならず、集団が中切れした場合、前の選手との間隔が空いた場面等、短時間の高出力が要求される場面が幾度も出てくる。逃げ集団の中にいる場合でも交代でトレインを牽くために数十秒~数分間隔で高負荷と中負荷が繰り返されることになる。ソロで逃げ続ける場合ですら、最初の逃げを決める場面において集団を切り離すだけの高出力が要求される。
つまり、プロトンの中にいようが逃げを決めていようが、レースで主に要求されるのは「短時間の高出力の繰り返し能力」であり、「どれだけ高い出力をどれだけ長く何度も繰り返すことができるか」、「(高出力の間の)中~低出力時にどれだけ脚を回復できるか」が重要になってくる。
自転車に詳しくない人からは「ロードレースは競輪と違って有酸素運動のスポーツだ」と言われることもあるが、サイクリングならともかく、ロードレースは有酸素運動の中で断続的な無酸素運動を何度も繰り返す、「有酸素運動と無酸素運動の複合運動」であるわけである。
そして、それらの特徴とはまさしくインターバルトレーニングのそれに他ならない。
前回LSDを取り上げたが、上掲のレースにおける出力グラフを見ていただくと、LSDのような一定低負荷長時間のトレーニングは実際のレースシーンとはかけ離れた脚の使い方をしているのがわかる。もちろん、アクティブリカバリーやコンディション調整に取り入れる分には問題ないが、いわゆる「LSDだけで速くなる」というのは、いわば100メートル走の選手が、100メートルを走らずにジョギングだけで本番に臨むようなものである。
一方で、タイムトライアルであれば、LT域で出力を維持し続けるようなパワー出力が要求される。とはいえ、自分がこれまでに走ったレースは9割以上がロードレースであったので、やはり現在の環境においてはインターバルトレーニングをメニューの中心に据えていくことになるのだと思う。
まあニュージャージーではタイムトライアルも多いので、今後どういうスタイルで行くかは悩むところではあるのだが…。
ふむふむ、うんうん、そのとーり。なんですが、インターバルねえ。やるときもあるんですが、いや、ほぼローラー台に乗るたびにやろうとするんですがねえ。いつの間にかダラダラ走になってるんですねえ。でも少しずつですが、崩れインターバルでもやるようにしますよ。
返信削除学生欧州派遣事業の監督者も本記事と同じような結論に達していました
返信削除「一定のペースを保った状態でのスピードに優れていても、レースでは集団の激しいアタックについていけなければ
その時点で`終わって`しまう」
との事です。
http://sports.geocities.jp/ntwyh185/EUreport2009.pdf
はじめまして。
返信削除九州のrockgackと申します。
Bushidoの関係でたどり着き、以降いつも更新を楽しみにしています。
なるほど、納得です。
有酸素運動の間に無酸素運動を繰り返す運動こそがロードレース。
私はヒルクライムを主戦場にしていますので、トレーニングはLTインターバル中心のメニューです。
いつもながら解りやすい内容で勉強になります。
返信削除自分も基本的に時間的費用対効果の高さからLTインターバル(+閾値下トレ)中心です。
時間があればもっと色々やりたいんですが・・・。
しかし改めてTTSのパワー出力指定機能は素晴らしいですね。
Bushido買ってホントに良かったと実感する日々です。
私もその日の疲れの残り具合やコンディションに合わせて「今日はやめとこ」とすることもあります。追い込みすぎたらすぎたで、いわゆるBurn outになるとモチベーションも下がってトレーニングが続かないですし。できる範囲で少しずつ試してみてはいかがでしょうか。ちなみにNY Timesの記事によれば、一週間に6~9分の高強度トレーニングだけでも効果があるそうです。
返信削除貴重な資料ありがとうございました。[色:FF0000]「長距離を走り込むというだけでは、ロード選手としては使い物にならなくなってしまいかねない」[/色]という部分はまさにポイントを突いた一言だと思います。
返信削除それにしてもこういった機会があるのは素晴らしいことですね。私も学生時代に本格的にレースを始めていたなら是非とも参加したい内容です。一方で、ヨーロッパまでとはいかないまでもニューヨークでもレースは多いです(今週でも自走して行ける範囲で3レースあります)が、日本にもそういった自転車競技環境がもっと整えば運営側含めてもっと裾野が広がっていくのかと考えさせられました。
はじめまして。
返信削除ヒルクライムはひたすらLT領域で耐えるような、水に潜っているような感じで、ロードレースとはまた違った面白さが病み付きになります。といっても単にドMなだけかもしれませんが(笑)
ちなみにインターバルではTacxは強力ですよね。ライカさんのコメントにもありますが、TTSの出力指定(固定)機能はある負荷領域のトレーニングを自分自身に強制するのにすごく役立ってます。
Tacxには私も大変お世話になっています(笑)
返信削除仰る通りで、レースで要求される能力の中で、通常のインターバルトレーニングで再現しにくいものに[色:FF0000]「自分の意思によらずに出力を要求される状況」[/色]があるんですよね。
レースで他人のアタックに反応する場合など、自分がどんなに疲れていても強制的に高出力を要求され、相手が脚を緩めるまで追い続けなければいけませんが、この点、Tacxの出力固定機能だとたとえ直前のインターバルで疲れていようが強制的に負荷をかけてくるので自分の意思(というより自分の殻)をぶち破って力を発揮する場面が再現できるので重宝してます。時々高めに設定しすぎて脚が回せなくなることもありますが…(^^;
こんばんは。
返信削除自分もクリテリウムに出場して、自分の力のなさを思い知らされた思いがあります。
インターバルは以前はほとんど取り入れてなかったのですが、今年は中心的に進めていっています。
ローラーはほとんとインターバルですね。
わかりやすい記事です。参考になりました。
やはり実戦で経験されている方の記事は説得力があります。
ご参考になりましたようでなによりです。私もロードレースで何度も味わってきました。レースを始める以前のトレーニングはタイムを計ったりするものの、今から思えばただ疲れるだけ走って満足してただけだったのかもしれません。やはりレースでないと得られないものも多いですよね。
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