LA遠征記第7回:ヒルクライムワールドチャンピオンシップ

パレード走行区間


サンタバーバラ市警の白バイを先導にしてスタート。



タイム計測のないパレード走行区間で追い込んでも意味がないので、ウォームアップがてら体を温める程度に回す。



が、みんなお見合い状態なのか、白バイの真後ろにつけるのに気が引けるのか、飛ばしているつもりはないのに前に出てしまい、気付いたら白バイの真後ろに。



まあ自分のペースが飛ばしすぎでない限りは問題ないので、気にせず白バイの後ろで走る。

というかむしろ気になったのは白バイに装着されていたサブマシンガンの方だったりする。そういえばこの西海岸こそ、日本にいた頃に「世界まる見え!テレビ特捜部」で見ていたようなカーチェイスの本場なのだと気付く。



ルートは海岸線から山方向へ向けてなので、パレード走行のゆっくりペースといっても勾配が10%になるようなところではそれなりに出力も必要になる。



良いウォームアップになったな・・・と思ったが、予想していたよりパレード区間が長く、いつまで経ってもパレードが終わらない。



結局パレード区間に30分弱かかり、むしろ逆に少し疲労してしまったくらい。

やっとタイム計測スタートのスタートラインが見えて、周りも速度を上げる。



と、一人だけUターンする奴がいて、他の選手とぶつかりそうになる

「お前なにしてるんだ!」と周囲が叫び出すと、「I gotta pee!」とのこと。



確かにパレード区間は長かったし、着順関係なしのネットタイム計測だし、直前の「軽量化」の効果も高いヒルクライムレースだがなんともはた迷惑な・・・。

レース開始


スタートラインを切って周りも本番モードに入ってとばしていくが、ペースを乱さないようにサイコンの出力を見ながら走る。



それでもパレード区間のときに既に集団の前方にいたこともあり、前にいる選手の数を数えれば自分が今先頭から何番目にいるかわかる状態。



まあネットタイム計測で着順を数えても意味がないのだが、それでも周囲とのペースの参考にはなる。



ところどころクネクネと曲がる山道をひたすら上っていく。



10月末といってもサンタバーバラは暖かく、昼かつ山上りということでけっこう汗をかいてくる。



特に直射日光があたる場所ではきつく、時折木陰に入ると体感温度が下がって助かる。



と、自分は一応ペース配分を守っているつもりなのだが、じわじわと先行していた選手達を抜かしていき、ついに先頭に出てしまう。



ペース上げすぎなんじゃないかと心配しつつ、まあ維持可能なペースである限りは現在順位は問題じゃないのでサイコンの出力に集中。



先頭を走りながら、折り返しでは崖というか谷越しに後ろを確認してどれくらい離してるのかチェック。



が、やはりそう都合良くは行かず、しばらく走っていると後ろから追い上げてきた選手に抜かれる。



後ろについて行きたいものの、ネットタイム計測ということもあり、むしろここでオーバーヒートして後半垂れるよりは一定ペースを保った方がいいだろうという判断で、先行していく選手を見送って自分のペースを保つ。



ペースを乱されないように順位は気にせずにマイペース走行。



ところが後半になって先行した選手が逆に垂れてきたのか、じわじわと抜かしていった選手との距離が縮まってきている。



ついに先頭の選手に追いついて抜かしていく。



そのまま中間地点のサポートエリアを通過し、



そしてコースで唯一と言っていい十秒ちょっとの下り区間へ。

ここぞとばかりにギアをトップ側に落としながら出力を上げてスピードに乗せた・・・はずだったのだが、下りを終えた直後に3人に抜かれる。

こんなにどんどん抜かれるということは、自分が出力を上げた以上に後ろの彼らはスピードを下り区間で乗せていたということか・・・こんなに力を残していたとは・・・。

と思いながら走っていると、上り区間では逆に先行した2人をすぐに抜き返してしまう。

特に自分は上りでペースを上げたわけではないのに・・・と思って気付くが、逆に彼らも下りでペースを上げたわけではなく、単に体重の差によって上りと下りのメリットが逆転しただけではないのか。

今シーズン最後になってやっとこの体の使い方というかエンジンの特徴がわかってきた感覚に陥る。



一方で、先行した残り一人との差はそこまで縮まらず、一定の距離を保ったままゴールに近づいていく。



一応ラストスパート用に無酸素領域というか筋肉ロケットエンジンは残しているので、イメージ的にはラスト1分半くらいでぐいぐい上げて出し切ろうとイメージを立てていた。

Best Bike Splitの事前シミュレーションと同程度の平均出力を保てているので、そのゴールタイムから逆算してサイコンの現在経過時間を見ながらラストスパートに備える。



先頭選手との差を考えれば、なんとかラストスパートで抜けるかもしれないと思いながら、シミュレーションのゴールタイムまでの残り時間をチェックしながら先頭選手をターゲットに据える。



と、その選手の先にゴールゲートが見える・・・

あれ、あそこまでもう1分もないよな・・・、と思い、既にタイム的にはラストスパート開始予定を過ぎていることに気付き、一気に加速。

これまでのヒルクライムレースでは十分な精度だったBest Bike Splitのシミュレーションが、今回は1分以上ずれていたのだった・・・。

これでは届かんかもしれない!と思いつつも全力で踏む。その後のログでサイコン出力を確認したら10倍近く出ていた。



そもそもネットタイム計測のいわばタイムトライアルのヒルクライムで最後に10倍出せている時点で追い込み方は大失敗だったわけだが、先頭選手を抜ききれず車輪の差で真横まで迫ってフィニッシュラインを切った。



レース後、下山


フィニッシュラインを切って息を整えていると、別のエイジグループでゴール済みのOさんがミネラルウォーターを持ってきてくれていただく。



ゴール地点の頂上で一緒に写真を撮り、しばらく休んで下山。



着順では2位だったが、ネットタイム計測なのでどうなるかわからないと話しつつ、自分の頭の中でもいろいろパターンを考えながら下山していく。



2位といってもフィニッシュラインを切ったのは1秒差もなかったので、1位でゴールした選手がスタートラインを切ったときに自分より先行していた数選手のうちの一人だったら逆に自分がネットタイムでは1位だろう。

逆に、というかそもそもスタートラインで後ろにいた選手の方が多かったので、2位はもちろん、それ以下になる可能性の方が高い。

ゴールした直後は息を整えるのに精一杯で、後ろでゴールした選手とのタイム差なんて気にしていなかったが、パレード区間でけっこう集団が縦に伸びていたことを考えると3位以下も十分あり得る。

そんなことを考えつつも、眼下に広がる雲海の景色に圧倒される。



文字通り、まるで海のような雲海に吸い込まれそうになりながら記念撮影。



サンタバーバラの山は柵もない崖になっていて落ちたら一発アウトなので気をつけながらコーナーを処理していく。



市街地まで戻ってきたら、来たときとは別ルートを走りながら海岸線へ。



海岸線の出発地点まで戻ると、朝日に照らされていたスタート時点とはうってかわって霧が出ていた。



駐車していた自動車に到着。



ロードバイクを自動車に乗せ、着替えを済ませて会場へ。



順位を確認すると、1位と37秒差で2位・・・、1位の選手とゴールがほぼ同時だったことを思うとかなり後ろでスタートして上げてきたことがわかる。

逆に3位とは3分半以上の差をつけている。自分より先にスタートラインを切った人たちとは10秒以上も差がついていないはずなので、それで3分半以上ついているということは、後半抜かした3位の人はあの後かなり垂れてしまった(&後続もそれより遅かった)ということか。

会場ではすでに表彰式が始まっており、提供されたブリトーとフルーツヨーグルトのランチをいただきながら自分の番を待つ。



自分のエイジグループが呼ばれて表彰台へ。



うーん、37秒差というと平均出力であと4W高ければ逆転できていたのだなと思うと惜しい。それこそ無駄なラストスパート10倍出力なんてせずに全体的に追い込めていたらそれくらい縮められてたんじゃないかと。

ただネットタイム形式とはいえ後半はレースっぽくなっていたので、自分が先行したならしたで後ろに張り付かれてしまい、結局スタートライン通過時点の差で負けていたかもしれないと思うとまあこれが今の実力では妥当なのだろう。

1位のチャンピオンジャージは欲しかったなぁと思いつつも、まあそれでも2位というリザルトは残せたので及第点といったところか。



ただ自分的には順位云々よりも、これで好きな物を好きなだけ食えるということの方に意識がいっていた。

思えばこのときからすでにリバウンドへのカウントダウンは始まっていたのかもしれない・・・

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