パワートレーニングツール:iBike Aero導入
上記のエントリが去年の三月。それから1年半近くが経ち、ついにというか、ようやく次のステップに一歩を踏み出すことに。
iBikeに対する不満は以前からけっこうあったのだが、1年半使い続けて以下のデメリットが浮き彫りとなった。
■デメリット1:値が信頼できない
これが全てなのだが、やはりどうしても「こりゃおかしいだろ」という出力値が出ることが多い。
結局、使い始めてけっこう経ってからは、参考程度にしかならないけど一応Garminでログを記録できるからログ取ってる感じ。という、パワーメーターのありがたみが全くない状態で使っていた。
例えばこのレースログを見ていただきたい。レースではありえないような出力値になっている。
まずはHigh PointヒルクライムTTでの計測値。最大出力が2,521ワット!ってありえない。そんな出力を出せるなら今頃競輪で億稼ぐ選手になってるだろう。
お次はプロスペクトパークのレース。1時間25分のレースの平均出力が73ワット!って補助輪付けた小学生じゃないんだから…。
ご存知の通り、iBikeは、身長、体重、総重量、空気抵抗等々の設定値から演算してパワー出力値を「計算」する。
導入時のエントリでも書いたとおり、体重だってロングライドではkg単位で変わるし、総重量ともなると、サドルバッグの中身やウォーターボトル内のドリンク残量によっても常に変わる。ライディングポジションも、iBikeの設定ではフードか下ハンかエアロ(DH)バーかを選ぶだけだが、実際には走りながらフードから下ハンに、その逆にポジションを変更するので正確な値が出ない。さらに単に「フード」といっても、前傾具合によって空気抵抗値は変わってくるし、そもそもサドル高やステム長によってもポジションが変わって空気抵抗も変わるのは当然なのであるが、iBikeではそこらへんの考慮は全くされていない。
自分のような、数字とにらめっこしながら仕事をしてきたような人間にとっては、信頼できない値ほどあてにならないものはない。
良い数値が出ても糠喜びかもしれないし、なにしろログの役割であるトレーニング後の分析という点では使えない。1watt単位で詳細に分析できるWKO+が(もちろん金が動いているとはいえ)iBikeと提携しているというのはむしろWKO+やTrainingPeaksを販売しているPeaksware自体への不信感も募らせる。
まあ何しろ、必死でトレーニングした結果のログ値が信頼できないというのはある意味モチベーションを下げる効果もあり、「不正確なパワー出力値」はパワー測定機器自体の存在意義を否定するかのごとき致命的なデメリットである。
■デメリット2:電池の消耗が悪く、かつ測定値に影響する
デメリット1の「不正確な値」をさらに酷くさせるのが、電池の消耗問題である。
CR2032という豆電池を使い、一応電池残量(Battery Voltage)の表示ができ、2.75Vを下回ると電池交換の目安とある。が、電池の持ちが悪く、電池2個装着でも1週間ほどで電池交換となる場合すらある。(それを認識してかiBikeの公式サイトでもCR2032の20個パックを30ドルで売っている))
それもそのはず、公式ページのFAQにすら、「夏は50~80時間は持ちますが、冬は2~5時間ごとに交換が必要になるかもしれません」と書いてある。電池は寒さに弱いからというのが理由らしいが、他のサイコンやパワーメーターが、季節に関わらず同程度の持続時間を保持している以上、上記理由は企業努力または技術のなさを言い訳にしているとしか思えない。それにしても、「冬の使用可能時間が夏の20分の1くらいになる」といった仕様は他のサイコンやパワーメーターには見られず、iBikeのみに見られるおかしな現象である。
そして電池を入れ替えるたびに日付と時間の再設定が必要になる上、電池を入れ替えると認識しない、エラーが起きて起動できないという症状が起こったのも1度や2度ではない。冬に毎日1時間走るとしても、1週間に1回~2回電池を入れ替えることになるのは非常にメンテナンス性が悪い。
さらに、電池残量が少なくなるとそれに伴って値が不正確になっていく。電池残量が少なくなればなるほど信頼できなくなるので早め早めの交換が必要になり、結果、(上記の使用上は夏は50~80時間持つと言っているが)実運用上では50時間も持ったことはない…。その前に変な数値が出るようになって変えざるをえなくなるのである。
そもそも1か0かのデジタル方式で、正確な値が測定できなくなったらその時点でエラーなり、電池交換のサインを出してくれればよいと思う。
これがさらに値の不正確さ、信頼性のなさに拍車をかけている。
もう一つ、写真左にある電池入れと一体になったマウントは、59ドルもする。
一応、iBikeも後になってオプションの充電池付きマウントも出した(169ドル)。この、ステムに取り付けてある黒い物体がそれである。まるでサイコンのような大きさだが、これ自体はマウントでしかないのでお間違いなく。じゃあこれを買えば万事解決かというと、そもそもそれ以外のデメリットは残ったままであるし、高くてでかいこのマウントをつける気にもなれない。
■デメリット3:インドアトレーニングで使えない
iBikeにはインドア測定用のオプションがあり、各固定ローラー台ごとの負荷抵抗値などを選択して、各種ローラー台の負荷を計算に入れてパワーを算出する仕組みがある。が、TacxはPC連動で負荷が自動調整(自動変動)されるのでiBikeでは使えない。
そしてこれがポイントなのだが、そもそもTacxのパワー出力値が怪しいという問題がある。
これはTacxの問題なので詳細は書かないが、Tacxがタイヤとモーターの設置部分という、駆動系の川下でパワー測定をしている以上誤差も大きいのかもしれない。
Tacx問題を白黒ハッキリさせて正確なパワー値を得るためにも、インドアトレーニングでも計測可能なDFPM(直接計測方式のパワーメーター)でなければ要件を満たせなくなった。
■デメリット4:雨に弱い
海外のフォーラムによると水に弱く、雨天時の走行で故障してしまったとのこと。
それを事前に見ていたため、自分は雨天時のレースではあらかじめiBikeを外して走っていた。
ロードレースはオールウェザースポーツであるのに、雨天時に使えないというのはこれまたいただけないポイントである。
■デメリット5:画面が醜い
iBikeの表示は電卓や昔のゲームウォッチと同じく、数字しか表示できない表示域を使ってアルファベットを表現しているため、非常に見にくく、その洗練されていない様はむしろ醜いとすら言える。
ゲームウォッチであれば、その昭和の香り漂うレトロさから、むしろビンテージとして価値が上がりそうなものだが、最新パワーメーターでは欠点にしかならない。(というか、30年前のゲームウォッチとタメ張ってるなんてどんなやねんと…)
おまけに見にくい上に省略しているためさらにわからない。
まるでクイズでも作れそうな勢いである。
ということで第一問。まずは簡単な問題から。
上はtire、下はCirC(Circle)で、タイヤ周長を表している。
続けて第二問。
上の表示化けしたようなものはinで、インチの略。下のH6HtはHeightで「身長」を表している。ってこれ暗号?
最後はこれ、
上はLb5はLBSでポンドのこと。ポンドはlbsで略されるのでこれはまだわかる。問題は下、この5文字は最早解読できないかもしれないが、これはWghtで、Weightのこと。2文字の表示域でWの1文字を表しているところなんか涙ぐましい。
以上、実物を見て実感頂けたと思うが、はっきり言って2009年に新発売された機器とは思えない。
ちなみに文字が見にくいという問題だけでなく、バックライトなんて素敵なものはもちろん付いていない。つまり、夜間走行で表示を確認することは不可能である。
まあANT+の連携ができればパワー出力値は別途サイクロコンピュータに表示したものを見ればいいので、代替策があるだけまだましであるが…。
結論として、夜間もダメ、雨もダメ、冬もダメ、室内もダメ、そして値は不正確と来たらもう見限るしかないであろう…。
ということで、デメリットをいろいろと挙げてしまったが、当時のエントリの以下のコメントが全てを表している。
「なんとも歯切れの悪い言い方になってしまったが、私のような、他のパワーメーターを揃えるまでの一時しのぎ的にとりあえずパワーのログが欲しいという人には良いのではないだろうか。」
とりあえずiBikeからは卒業。
直接読み取り方式のパワーメーター、DFPM(Direct Force Power Meter)を導入する方向で検討することにしたのであった。
(;´∀`)…うわぁ…
返信削除自分も実走で使用するパワーメーターが欲しくてiBike等を調べていましたが、コレは想像以上に問題が多すぎますね。
やはりSRAM Redのパワーメーター内蔵クランクをどうにかして手に入れるしか無いのか・・・。
iBikeは最新機種でNEWTONというのを出しているようですが、外観はAeroと同じなのでやはり電卓表示なようです。一方で最近はiBike DashというiPhoneを使ったサイコンに力を入れているようで、そっち方面を強化していくように開発方針をシフトしている感じがします。
返信削除結局私もクランク型にしましたが、直接読み取り方式(歪み式)であれば精度・信頼性の面で安心だと思います。
そういえば、Competitive Cyclistで、24時間限定のセールとしてSRMのSRAMが売りに出されていました。
「2012 SRM SRAM S975 Wireless Powermeter」が$2745.00のところ$1799.00になってます。URLのリンクにアドレスを貼っておきました。10時間前に案内を受け取ったのであと14時間くらいはページにつながると思います。まあSRMは今日のエントリでも書いたように電池交換がネックですが、信頼性という点では一番歴史が古いので一つ抜きんでていると思います。
アドレス感謝です。
返信削除うーん、SRMもイイかもしれませんが自分もやはり主さんと同じくQuarq CinQoが一番魅力的ですね。
しかし安くなっているのを見ると欲しくなってきます。うぐぐ・・・!
たしかに私も電池交換といったメンテナンス性の悪さからSRMを選ばなかったので、大きい買い物なだけに要検討かもしれませんね。安さでいえばPower2Maxも気になるところですが…。SRAMという点でいえば、やはりSRAM自身が買収済みのQuarqの方が相性がよいのだと思います。
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