日本とアメリカにみる交通安全教室の違い



最近日本で交通安全対策としてスタントショーをするニュースをよく見かけるのだが流行っているのだろうか、そして効果のほどを疑問に感じてしまうのは自分だけだろうか・・・。

スタントマン体張り、迫真の再現 危険を痛感 小城・三日月中 /佐賀

スタントマンが事故再現 白鷺中、自転車月間で /大阪

自転車の交通安全イベント スタントで事故を再現



例えば最初の記事にある「はらはらした様子で見守る生徒たち」だが、サーカスの空中ブランコをはらはらしながら見るのと何が違うんだろう。


百歩譲ってぶつかって体が跳ね飛ばされるまではいい。

が、派手に吹っ飛んでも傷を負わず、骨折もせず、血も流さずに平然と立ち上がるスタントマンを見て誰が危機感を抱くのだろうか。

むしろ神業的なスタントマンの衝突ショーを見て、「あんな酷い衝突をしても受身次第で無傷で済むんだ」と思われてしまう。


ちなみに自転車ではないが、ニューヨークで自動車免許を取るときに安全講習で見せられたのは危険運転の加害者、被害者のビデオ映像。

ビデオ映像といっても衝突の瞬間が派手に出てくるわけではなく、主に出てくるのは衝突後の後日談

一生残る傷を負った悲惨な人や、高額な賠償金を払い続け精神的にも苦しむ加害者、同乗していた家族を死なせてしまった人の後悔の念、肉親を殺された人の怒りや悲しみの後日談が中心であった。


注意一秒、怪我一生


冒頭でリンクしたスタントショーは、どれもが「注意一秒」の方を取り上げたものだが、むしろ「怪我一生」の方が心に刻むべきリスクだと思う。

怪我一生という「割に合わない」リスクがあるからこそ、1分2分時間を節約するために信号無視したり危険運転したりという行為が割に合わなくなり、一秒を注意しなきゃという意識が生まれるのだろう。

本当に交通事故の怖さを知ってもらいたいなら、衝突の瞬間をスタントショーで見せるより、その一瞬の不注意によってその後一生続いてしまう後悔の日々を見せた方がよっぽど心に焼きつくし費用対効果も高いのではないのだろうか。

ビデオ映像でもいいし、実際にその地域で交通事故に遭った人等を呼んで語ってもらえばもっと身近に感じるだろう。もちろん被害者の方は思い出したくない向きもあると思うが、一方でその経験を伝えることで子どもたちの事故を未然に防げるのであれば地域社会への貢献としても有意義なものになると思うし、スタントマンにお金を払って衝突ショーをやるよりよっぽど効果は高いと思う。



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