香港旅行記第2回:酸辣粉の食べ方



まず酸辣粉が何かを説明させていただきたい。

酸辣粉を敢えて日本語訳すれば「酸っぱ辛い春雨ヌードル」である。

が、その麺(粉条)は、日本で言う春雨のそれよりも太く、モチモチしていてまるで別の食べ物である。


さて、旦王について酸辣粉を頼む。



辛さは微辣、小辣、中辣、大辣、噴火勁辣と選べる。




以前自分は大辣も食べたことがあるのだが、辣の味が強調されすぎてしまい、麻や酸とのバランスが崩れてしまうため、最近はもっぱら中辣。

「唔該,酸辣粉中辣。喺度食。」と頼む。

トッピングを聞かれるので、全部いると答える。



ちなみにトッピングはピーナッツ、酸菜(ザーサイ)、パクチー。



そして出てきた酸辣粉はこれ。




だがこのままではネットでロードバイクを購入した場合と同じで7分組み状態。

ここから完組みまで持っていくためには食べ方がある。

ということで出てきた酸辣粉を持って隣の食事スペースへ移動。





序盤


序盤は種蒔きの段階。

まずは底に様々な香辛料、ダシ、お酢が溜まっているのでかき混ぜる。

さらに上に乗っけられた榨菜(ザーサイ)の酸や芫菜(パクチー)の香がスープに溶け込んでいないので、スープ内に沈み込ませてゆっくり攪拌させてやる。

いきなりピーナッツや榨菜と一緒にがばっと食べたくなるかもしれないが、ショートケーキのイチゴを最後までとっておいて食べるが如く、後にやってくる怒涛の味のハーモニーに期待を抱きながらまだトッピングには手をつけない。

ひたすら掻き混ぜながら、粉条を少しずつ噛み切って味を確かめながら嗜む。



「おお、この味だ」とつぶやき(別につぶやかなくてもいい)、街道に目をやってせわしく行きかう香港の人々を眺める。

麺のモチモチ感、辛さ、香りをゆっくりと舌に馴染ませながら、ロードバイクで言えばウォームアップでだんだんと上げていく感じである。


中盤


いざ、刈り取りのとき。

粉条をトッピングと一緒に口に運んでいきながら、スープもすする。

粉条の甘味とスープの酸、辣の全てが溶け出し、酸っぱさや辛さが脳天を突き抜ける中、心ゆくまで多幸感を堪能していただきたい。




終盤


麺もスープも少なくなり、一抹の寂しさを感じながら最期の時を迎える。

ただ春の夜の夢の如く、 ひとえに風の前の塵に同じ・・・



椰子の実ジュース


旦王の隣にある椰汁大王。前回一緒に閉まっていたのでおそらく同じ店主が経営しているセット店舗。



ここで椰子の実ジュースを買うとほのかな甘さのジュースと酸辣粉が味のコントラストを成し、さらに酸辣粉を愉しめることひとしお。




傷心酸辣粉


ちなみに旺角まで行く時間がなかったときに馬鞍山で傷心酸辣粉に行く。



傷心酸辣粉は酸辣粉を売りにする店としては唯一のチェーン店。

酸辣粉以外にもいろいろと四川料理を提供しており、客の入りも上場だが、肝心の酸辣粉はやはり旦王には及ばず。



旦王では必ず汁まで平らげてしまうのだが、傷心酸辣粉の酸辣粉では残してしまった。




ということで旦王の酸辣粉、本当なら毎日来たいところだが、今回の旅行では大陸へ行かなければいけないので香港滞在の実質二日しか味わえず。

いつかこの味を研究して自宅で再現したいものである。






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