知らないと損する富女子活用法




腐女子しか知らなかった自分だが、どうやら最近は富女子という単語があるらしい・・・。

貯蓄1000万円「富女子」台頭 20~30代、節約極める



曰く、

これまでに約50人が500万円以上を達成し、なかには1000万円の目標をクリアした人も。参加者の1人は「こんなにためたんです」と通帳をみせてくれた。


預金通帳に貯金額が溜まっていくことが嬉しいらしい。


そしてこちらの記事ではこんな文章も・・・。

貯金という底なし沼にハマった「富女子」OLの金銭感覚 オンナの収支報告書

プリングルスの貯金箱に始まり、「歳の数万円」とか「万券だけ貯金」「10万束集め」などその時々のブームに則りながら、彼女は貯金という名の「オカネの使い方」をしていた。


痛い、痛すぎる・・・。


痛いというのは貯金をする女子に対してではなく、貯金の持つ意味をおそらくこの人たちは理解していないということに対してである。


預金は銀行への融資


2002年にフジテレビで放送されたドラマ、「ビッグマネー! 〜浮世の沙汰は株しだい〜」の中で、主人公の白戸則道が銀行の預金通帳を持ってこう言うシーンがある。

これは銀行にお金を預けてるんじゃない。貸してるんだ。




そう、銀行預金(郵便貯金も同様)とは、銀行という企業に対して自分の金をタダ同然で貸し付けているということである。


ちなみにみずほ銀行の10年定期預金の金利は0.01%(2016年12月28日時点)。



ところが、親会社であるみずほフィナンシャルグループの社債(残存期間10年)その358倍である3.579%で取引されている





つまり「みずほ銀行にお金を貸し付ける」という行為は同じでも、貸付方法を預金から社債(債券)にするだけで利息が爆発的に跳ね上がるのである。

ただ、この2つの大きな違いは上記債券がドル建てであることと、預金の場合ペイオフによって1,000万円まで国の保証がついているということ。

みずほ銀行が潰れれば、社債は全額は返ってこない※が、預金であれば1,000万円までは国が肩代わりして返してくれる。(※紙くずにならず少しでも返ってくるのが株とは違うところだかそれはまた別のトピック)


ということで同条件の比較対象として、同じく円建てかつ日本国の保証がついた日本国債10年物の金利と比べてみる。

もちろん日本国債であれば、上限1,000万円と言わず、1億だろうが10億だろうが日本国が支払いを保証していることになるので銀行預金よりもよっぽど信用度は高いはずである。

が、日本国債10年物の金利0.06%※でみずほ銀行の10年定期の6倍(※12月28日時点の終値)。


同じ10年固定なのに、銀行に貸すより国に貸した方が利息が多いというこの不思議。


いかに銀行預金というものが割に合わないものであるかがわかる。

銀行からしてみれば、こういう「ありがたい」富女子が増えてくれればくれるほど、滞留性のある資金を低利で調達できることになる。

まさしくフィナンシャルリテラシーの違いによりバカを見ている状態で、資金調達側からしてみれば、富女子は躰のいいカモなのである。





タンス貯金は銀行預金以下


ちなみに現金で保管しておくのは利息がつかないのでさらに分が悪い。

おそらくこの富女子世代は物心ついたときから日本経済が失われた20年に突入しており、高度成長期時代を経験していないのでインフレの恐ろしさがわかっていないのだろうが、一番怖いのはデフレではなくインフレ。

日銀はインフレ目標2%などと頑張っているが、今ある100万円の価値が一年後には現在の98万円の価値しかなくなってしまうので、何かしらの方法でインフレ率を跳ね返すだけの利息を確保していかないと、今ある貯蓄の実際価値はどんどん自然減少していってしまう。

その前例が、まさしくこの100年定期の記事で、年6%の複利で元本が339倍になる運用ですら、圧倒的なインフレの力には勝てなかった・・・

旧新潟貯蓄銀の100年定期、満期到来 でも…「すずめの涙」



貯蓄というお金の使い方


冒頭の記事にこんな下りもある。

確かにこれだけ政治や経済情勢への不安が蓄積した社会では、消費や投資よりも貯蓄に人の関心が向かいがちなのはわかりやすい話だ。


おそらくこの記事を書いた人は、「投資」とは株や不動産のことで、貯蓄とは別のものだと考えているのだろう。

が、銀行預金もタンス預金も立派な投資であり、それが割に合わない投資か、そうでないかでしかない。

逆に言えばデフレ環境ではタンス預金の価値が自然増加していくことになるので、それもひとつの合理的な投資行動として成立する。

ただどちらにしろ、預金通帳に金を貯めていって数字が増えていくのを楽しむだけでは、利用される側でしかない。


低利での銀行への貸し出しは、せっかく稼いだ自分のお金を銀行に貢いでいるのと同じである。

それならブランド物の化粧品を買って化粧品メーカーに貢いでいるのと変わらない。

たとえばロレアル(L'Oréal)

盲目的にロレアルの化粧品を買う人たちが貢いだ結果、ロレアル創業者一族は、4.4兆円($37.9 Billion)の資産を持つ世界で11位の資産家として君臨している。




一般大衆からうす~く、ひろ~く集めた金を一握りの資産家が吸収する格差拡大社会の縮図がここにある。

銀行への預金も、その実は搾取される側としての一形態に過ぎないのかもしれない。



回る回るよ世界は回る


ただ最後に被搾取の流れを逆転させるような大どんでん返しがあるのがこの部分。

銀座のキャバクラでアルバイトをしながら郵便貯金の口座をつくり、「月に歳の数万円」の貯金を始める。


富女子の貯蓄で潤った金融機関のおじさんたちが、キャバクラでお金を使って還元させている・・・。

そう考えるとトリクルダウンなんてものは、政府や日銀なんかではなく場末のキャバクラでこそ実現されているのかもしれない







2 件のコメント :

  1. こんにちは。
    私も富女子ならぬ富男子で、普通預金口座のみにずーっと置いてます。
    現在正味価値とインフレ率との攻防はわかってはいるものの、”投資”にはなかなか手が出せず・・・。
    そもそも、利子で増やすつもりで置いているわけではなかったのであまり気にしていなかったのですが、この記事でかかれている、我々がタダ同然で貸し付けたお金で活用して銀行が儲けているといわれると、考えさせられますね。
    いい歳なので将来の資産のことも考えて、何か良いやり方がないかと思っているところでした。
    またライドのときにでもいろいろ教えて下さい!
    では良いお年を!来年もよろしくお願いします。

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    1. まーちんさんこんにちは。
      こちらにいれば日本よりも投資の垣根や制限は圧倒的に低いので滞在中に一財産貯めれるかもしれませんね。日本に帰った人でもこちらにいる間に作った米ドル建て口座をベースに資産運用しているケースもありますし。

      ところで昨日の朝はラファ500でGWBに向かっているK隊長とすれ違いました。ぼくはブルックリンに住んでいたときはひたすらプロスペクトパークを周回していたのでおそらく今のCP周回のマーチンさんと同じような感じでした。
      来年はまた春先からタイムトライアル等始まっていくのでまたいろいろとお話しできるのを楽しみにしてます。良いお年を!

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