通勤トレーニングとギアセッティングの考察


今週は雷雨が散発するような天気だったが、通勤時間はなんとか雨を避けることができた。

昨日はちょうど家を出る前に雨が上がったが、ジョージワシントンブリッジを渡りながら南を見ると、マンハッタンではまだ雨が降っていた。



暗くなってる部分と明るい部分とで、雨が降ってる箇所と降ってない箇所がよくわかる。



ヒルクライマーにとって3段変速のデメリット


ここ最近ずっと考えているのが通勤環境の改善。

通勤環境といっても具体的には通勤に使う折り畳み自転車のギア数改善である。

というのも、今はブロンプトンの内装3段変速。

ただの移動手段として通勤するだけなら3段変速でも十分だが、通勤トレーニングとして使おうとすると厳しい部分もある。

特に激坂はギアが足りなく50rpmくらいで回すことになるし、向かい風といった風向き次第で適切なギアが選びにくくなる。

3段変速は、名前の通り「軽い」→「普通」→「重い」の3種類しかない。

1回の変速が、ロードではリアを数段分一気に変速するような形になり、100rpmくらいで走っていて1つギアを重くすると一気に80rpmくらいになるため、適正ケイデンスの範囲内に収めるのに苦労する。

ちなみに以下がブロンプトンの1速~6速のギア比を表にしたもの。

変速のあとに書かれている「Standard」、「+8%」といった表記はフロントチェーンリングの歯数で、それぞれ50T、54Tを表している。

単位は1回のクランク回転で進む距離を表しており、距離が伸びる方が重いギアとなる。



そして以下は、各変速のギア比をグラフにしたもの。縦軸は上記と同じくクランク1回転で進む距離。

右端には参考までにロード20速のギア比、ノーマルクランク(53-39)で、リア10段の11-28 (11-12-13-15-17-19-21-23-25-28)の場合を表している。

ロード20速がブロンプトン6速に比べていかに細かくギア比を変更できるかがビジュアル的にわかる(ちなみに今の自分のセッティングは「3 speed +8%」に該当)。



6速でもこうなのだから、3速でロードと同じようにギア比を変えて走ることは不可能に近い。

まさに中間ギアがない状態で、常にママチャリ小野田状態でトレーニングしている感じになる。



これが致命的なのは、ケイデンスを一定に保つようなトレーニングメニューをしたい場合にターゲットのケイデンス範囲に収めるのが難しいということ。

ケイデンスを一定に保つトレーニング・・・、

つまりは、ヒルクライムやタイムトライアル向けの練習には恐ろしく不向きになるということである。

ヒルクライムもタイムトライアルも自分の主戦場なのでこれは厳しい。

折り畳みという制約


一番効果的なセッティングは、本番と同じロードバイクで走ることである。

ホイールくらいは練習用にするかもしれないが、それ以外は本番と同じフレーム、コンポーネントが使えれば、ポジションも本番と同じドロップポジションが取れるし、ギアセッティングも22段で変速し放題である。

が、職場のオフィスビルはロビーへの自転車持ち込み禁止。

ロビーへの持ち込みは折り畳んで荷物のような形にすれば可能だが、フルサイズの自転車はオフィスビル内に持ち運べず、屋外に駐輪するしかなくなる。

この点、夕方6時まではロビーを経由せずに、貨物用エレベーターを使って直接自転車を運搬できるが、夕方6時以前に仕事を終えれることは稀なので、基本的にオフィスビル内に持ち込むには折り畳みが必須となる。

一方、屋外駐輪はリスクが伴う。

ただでさえ、斧で街路樹を切り倒して自転車を盗むような自転車泥棒が発生するニューヨーク・・・、



屋外に駐輪しなくても済む方法があるなら、取らなくてもいいリスクをあえて取ることもない。

ということで、今の職場環境で通勤トレーニングしている限りは折り畳みという条件が付いて回ることになる。

折り畳みのギア選択肢


折り畳みという前提条件の上で、ギアを出来るだけ多くしたいと思うと、選択肢というか選択できるモデルが限られてくる。

折り畳みで7段以上の変速を実現しているのは大きく分けて二つ。

  • 内装変速機構
  • ロードやクロスバイクと同等の変速機構

前者は、前回ご紹介したDahon Curl i8のShimano 8速ハブや、Sturmey-Archerの5速内装と2速外装を組み合わせたカスタムブロンプトンなど、内装多段変速をベースに、それを外装と組み合わせたりしながら多段化を実現するもの。



内装変速は雨や汚れに強く、そもそも泥や砂が入りこまない仕組みになっているのでメンテナンスが楽なのが強み。

一方で、後輪に組み込まれているので、以前のようにリムが割れたりすると、簡単に他のホイールに付け替えるということができない(ホイールを組むのと同じようにスポークから張り直さないといけない)。



また、ほぼ専用設計のようになっているので互換性が低く、何か問題があったときにサードパーティーの部品に交換して乗り切るといったこともできない。

この点、後者はロードバイクやクロスバイクと同じ仕組みを使っているので、ロードバイクに慣れている人であれば敷居は低い。

例えばDahon Mu LT11は、リアスプロケットのみで11速を実現しており、標準装備のディレイラーは驚きのUltegra RD-6800



ロードと全く同じディレイラーなので、普通にロード用のシマノやSRAMのスプロケを使うことができる。

スプロケに限らず、ディレイラー自体もDura-Aceにアップグレード可能だし、その気になればRD-9070やRD-R9150にして電動化することだってできる。

もちろんロードと使い回すことも可能なので、その互換性たるや自転車の種類の枠(ロードか折り畳みか)を越えている。

11速もあれば通勤トレーニングにも十分。

しかもロードと同じスプロケとなれば、ギア比間隔もロードのそれをシミュレートできるのでトレーニングとしては申し分ない。

残る問題は値段が高いという点と、ブロンプトンやDahon Curlのような超コンパクト折り畳み自転車では外装11速に対応していないということ。

たとえばTern Verge X20



フロントはFSAのSL-Kカーボンクランクセットに、リアはUltegra 11-28Tの10段変速。

こちらの動画はブロンプトンでお世話になっているNYCeWheelsが作成したもので、まだ店がミッドタウンに移転する前に撮られたもの。動画内に出てくるセブンイレブンでも買い物をしたことがあり懐かしい。



そんなTern Verge X20だが・・・

気になるお値段は・・・・・・

3000ドル(≒ 33万円)也ッ!!



どちらにしろ、結局は金か・・・。

勝負は先物市場に委ねられた・・・。




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