自宅宿泊禁止のアメリカ版強制断捨離

あらすじ

物が捨てられずたくさんあった我が家に消防署の検査が入り、断捨離して片付けるまでの強制執行が下されました。

強制執行の内容は以下のもの。
  • 消防署が家の鍵を交換して管理し、片付け作業のときのみ立ち入りが認められる
  • 電気供給停止(冷蔵庫もネットも使えない)
  • 自宅での宿泊禁止
片付けが終わって検査をパスしない限り家の鍵も電気も帰ってきません。

まだ現在進行形ですが、自分への備忘録用かつ参考用にここではその経緯をまとめつつ、適宜追記していきたいと思います。

アメリカの消防立入検査

遡ること3月、定期的な火災探知機検査が事の始まりでした。

家の中の火災探知機の電池が切れていて、電池を交換しようとしたところ、10 years sealedという非交換式の10年保つモデルにするように指摘を受けました。

その後、コンド(Condo、アメリカではCorpと並んでアパート所有形態の一つ)の管理会社経由で6月9日までに再検査をパスしなければ罰金を払うことになるという通知書を受け取りました。

来ない再検査、迫る旅行

5月になっても再検査日程の連絡が来ず、管理会社に問い合わせると、再検査の設定は消防署が決めるので通知が来たら連絡するとのこと。

ただ、心配症の妻は何度も督促の連絡をし、直接消防署にも問い合わせますが消防署も管理会社とやりとりして管理会社経由で連絡が行くということで具体的な日程が決まりません。

再検査が来なかった場合に期日を迎えても罰金を払う必要があるのか、その場合の責任は管理会社にあるのではないかなど、市役所で働いている知り合いからも消防署の人に連絡をしてもらうなど事を大きくしていきます…。

その背景には、6月中旬から旅行(というか一時帰国)でアメリカを離れるため、旅行中に再検査が来ても対応できないという事情がありました。が、自分としてはボールは向こう側にあるので、連絡を待ってそれが旅行以降になるのであれば事情を説明してリスケしてもらう、それで罰金を払うことになっても(移動費だけで150万円以上かかってる旅行が優先なので)しょうがないと説明しましたが聞き入れてくれません。

そして、旅行の2日前、近所の家に検査に来ていた消防署員たちを捕まえて今すぐ来てくれと直談判をし、その結果一緒にいた衛生署の検査官含めた4人を連れてきました。

事を大きくした末路

元々の火災探知機は問題なくクリアしたものの、通知書の改善項目には記載されてなかった避難通路(個人の家の場合は各部屋や階段のクリアランス)が3フィート(約90cm)ないといけないので基準を満たしてないと言われ、さらに物が多くて防災的に問題があり、物が高く積まれていて落下のリスクもあり子供を危険にさらしていると追加項目の指摘を受けます。

ここで心証を悪くしても事態が悪い方向に進むだけなので、指摘を受け入れつつ、ではどうしたらいいか今後の善後策、スケジュールを相談した方がいいと提案します。が、妻は最初の検査ではそんなことを聞いてなかった、3ftというルールも今始めて知ったと不満をぶちまけます。検査官との言い争いが20分ほど続き、埒が明かないので上司を呼ぶと言われ消防署のお偉いさんが来ます。

お偉いさんとも言い争いを続けて悪印象を与え続けた結果、その場で行政強制執行を言い渡されました。その内容は当初の罰金とはかけ離れたもので…
  • 今から家は消防署の管理下に置かれ、家の鍵を交換し消防署が管理すること
  • 消防署員立ち会いの下でなければ家の中に入れなくなること
  • 火災時の延焼のリスクをなくすため電気を止められること
  • 最初の二泊三日は消防署がホテルを手配するが、その後は自腹で寝泊まりする場所を確保すること
  • 消防署、衛生署の両方の再検査をパスしない限り上記措置は解除されないこと
当然妻は更に猛反発しますが火に油を注ぐようなもので、納得できなければ弁護士を雇って行政不服申立てをするように言われます。が、かかりつけの弁護士がいるわけでもなく、旅行2日前のこの段階でそんな手続きをとっている余裕もなく、目の前で強制執行が進められていきます…。

すぐにLock Smith(鍵屋)が来て鍵が交換されます。さらに子供を危険な環境にさらしているということで、児童相談所(Child Protection Department)に連絡がなされ、児童相談所の人も聞き取り調査に来て家庭環境や子どもたちへのインタビューが入ります。

アメリカは子どもの保護に厳しい環境で有名で、中学生くらいまでは子どもだけで留守番させても虐待になります(厳密には州によって異なる)。が、家の片づけ具合で虐待疑惑にまで発展するとは思っていませんでした。    

そしてそれがすべて海外旅行の2日前に起こったことが事態の悪さに拍車をかけます。当日と翌日はリモートワークで、旅行の準備も終わってない状態で電気を止められて自宅から締め出されるのでネットも使えません。かといって出社しても行政対応ができなくなります。

しかも旅行からは自分と息子だけ先に帰ってきて、息子の面倒を見ながらリモートワークをする予定だったのに、自宅に泊まれず、ネットにも繋げないとなると立ち行かなくなりそうです。

携帯キャリアのスマホのホットスポットやモバイルWiFiレンタルも調べましたが、通信量無制限プランでもある程度使うと速度制限がかかるので、リモートワークで使うには実用的とはいえません。

息子の面倒を見ながらでは、とてもではないけど息子を放って家の片付けを並行して進められそうにない(それこそ本当に虐待になってしまう)ので、最悪妻が帰ってくる3週間後までホテル住まいでホテルに籠もって仕事をすることになります。

強制断捨離

鍵を交換されたあと、行政上の強制執行の赤紙が家のドアに貼られ、今後のことを執行官と相談します。
幸いこちらの事情を考慮して、この2日間は朝は6時から、夜は10時まで家の開け締めをしてくれるということなので、旅行に出発するまでにできるだけ片付けようと準備を始めます。妻は近くに住む友達に連絡をして、子供の面倒を見てもらいつつ片付けに取り掛かります。

片付けの優先順位としては、まずは要らないものをできるだけ捨てること、次に物置に移動することですが、「捨てていいもの」の基準が妻とはかけ離れていて、これまでもそのことで数え切れないほど言い争いになり、子どもたちの前で喧嘩するのはよくないので自分も半ば諦めて耐え忍ぶようになりました(その結果が今に繋がったわけですが)。

家には昔のカセットテープ、CD、子どもが乳児だったときのおもちゃや哺乳瓶、ベビーバス、大量の服が残っています。

本来ならこの機に全部捨てたいところですが、言い争ってる時間もないし執行官の勧めもあり近くのストレージルームを借りることにしました。
ストレージルームといってもピンからキリまであり、サイズ的には5x10ftか5x15ftほどでよさそうなのですが、2階だったり建物の奥だったりと場所の問題もあります。

少しでも人手と時間を節約したい緊急な状況で、広い建物の中に荷物を運び入れるために何度も往復する手間は避けたいので、一番アクセスがいいプランを予約します。

一番アクセスがいいプランでは、駐車場に止めた車の真後ろに位置して建物の中を経由せずに直接運び入れることができる&24時間アクセス可能で理想的ですが、一番広くて(10x30ft)一番高いプランでもあるので月に810ドル(11万円)。
さすがに電動搾乳機を捨てられない理由を「高かったから」と言われたときは、倉庫代と帰国後のホテル代、時間損失や機会費用を考えたことがあるのかと怒鳴りそうになりました…。
家の中の荷物、特に避難経路にあるものを車でどんどん運び出しつつ、並行して自動車で運ぼうとするとかさばる自転車は自走して倉庫に入れたりと作業を進めます。

ちなみに自転車関連で引っかかったのはトピークの突っ張り棒収納(と後述するKICKRのローラー台)。
突っ張り棒収納は落ちてきたら子どもに対して危険ということで、ガレージとかの端に置くならいいんでしょうが、ガレージが共用で鍵がかけられない我が家では家の中に置くしかなく、上に掛けていたSpecializedのTarmacフレームも断捨離の対象になりました。

一方でこの機に今まで溜まってたものを捨てさせてもらいました。念のために取っておいたと思われる緩衝材、発泡スチロール、段ボール、テイクアウトの容器、乳児服用ハンガー、服の商品のタグ、様々な商品の箱等々…。

意識、文化の違いについて

ちなみにあえて擁護というか言い訳をするなら、片付け前の家の中の状態は物が多いものの、想像を絶するようなレベルではなかったです。

ニュースで見るようなゴミ屋敷とは全然違いますし、衛生署の検査官が言っていたようなネズミも見たことはなく、ゴキブリは夏場には現れることはあるもののキッチンでのみ、あとはハチやスズムシ、ホタルが時々迷い込んでくるくらいです。

そもそも住居が狭い香港では二段ベッドの上が天井まで荷物で埋まっている光景もよくみかけ、文化的な違いもあると思います。日本の家がウサギ小屋と揶揄されたように、靴を脱いで床(畳やカーペット)に座ることもあるアジア式?住まいの感覚とアメリカの感覚では同じスペースでも感じ方に違いもあるのかと。まあそれでも郷に入っては郷に従えなので弁明の余地はないですが。

あとアメリカのSサイズを着ている自分がうちの中では一番体躯があるので、うちの家族からしたら十分なスペースでも恰幅がいい検査官たちから見れば狭く感じると思います。わかりにくい例えをするなら、ゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)がロボロフスキーハムスター(Phodopus roborovskii)のケージに入って「こんな狭いところに住めない」と思うようなものかと思います。

住居以外に上記で触れた虐待の基準も違いますし(小学生だけで登下校とか、一人でおつかいとかもアウト)、どちらにしろ行政ルールは絶対なので、そういった違いを踏まえた上で対応していくしかないのでいい教訓になりました。

振り返って

今回の件、妻はひたすら行政の対応に文句を言ってますが、個人的にはすごく大変で金銭的負担も多いものの、良い断捨離の機会になっていると思ってます。こうでもしないと片付けることはできなかったと思うので…。

検査官たちはただ自分の仕事をしただけで、突っかかるのは逆恨みというもの…。鍵の開け締めで何度も会うことになった検査官の一人とは子どもたちとも打ち解けて仲良くなり、空港へ行く出発当日は笑顔で送り出してもらいました。

まあ自分としても問題は行政の対応ではなく家の中にあることは重々承知しているので…。

ただこれを機に家庭内でのパワーバランスを動かせそうなので、少なくとも断捨離の最後の決定権、家の中の物の生殺与奪の権利をもぎ取ろうと思います。

6月24日追記:再検査の結果

旅行に旅立って数日後、近くに住む妻の友達に立ち会ってもらい再検査をしてもらいました(ちなみに自分たちの代わりをしてもらうために旅行に出発する当日に公証付きの委託書を作成して市に提出しました)。

個人的には避難経路の幅90cmはパスするだろうと思っていたものの、階段スペースで固定ローラー(右下に見え隠れしている黒い物体。ローラー台のみで上物のロードバイクは運び出し済み)が原因でNG判定を食らってしまいました…。
ローラー台に目をつけた検査官から「このなんだかよくわからない重量のある物体はなんだ?」と指摘が入り、「こんな重くて硬いものに子供がぶつかったら危険だから家の中に置かないように」とのこと…。

家の中に置く用のローラー台を家の中に置くなと言われるとは…。検査官がローディーでローラー台を知っていれば違う反応だったんだろうと思います。

階段は元々ティッシュやトイレットペーパーの買い置きを端においていたのですがそれもすべて片づけて水拭きと乾拭きをかけたものの、「なんだか埃っぽい」ということで掃除(Cleaning)だけではなく専門業者を入れて家屋全体を除菌処理(Sanitizing)するように衛生署の検査官から追加指摘を受けます。
衛生署の検査は細かく、台所の流しの下の棚の中までチェックされ、配水管の一部が古いから取り換えるように指摘され、水道業者も呼ばないといけなくなりそうです。

一度目を付けられると大変だとは聞いてましたが、Sanitizingのために消防署の指摘項目以外の物まで全部運び出すとなるとホテル住まいの数日で対応できるようなものではなく、短期アパートやAirbnbといった長期滞在用の寝床を探さないといかず、旅行中に物件探しを進めようと思います。

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