欧州遠征記1日目&15日目:驚愕のJet Airways

ということで初日最終日に少し触れた航空会社についてエントリしておきたいと思う。

JFKからブリュッセルの往復で、Jet Airwaysというインドの航空会社の飛行機に搭乗した。




■航空会社と自転車輪行事情

そもそもなぜJet Airwaysにしたかというと、ニューヨーク、ブリュッセル間の直行便がある航空会社のうち、Jet Airwaysのみが自転車に対して追加料金を賦課しないからである。

ちなみに、コンチネンタル、USエアウェイズ、アメリカンエアラインは100ドル、デルタ、ユナイテッド、ノースウエストに至っては175ドルも自転車に対して片道の追加料金がかかる。往復となるとそれこそホテル代2泊分くらいになるのでばかにならない。

そのくせ、ネットの海外フォーラムなどでは、ある航空会社で高い追加料金を払ったのにフレームが折られてしまったなどの悲しい話しがある。(※料金規定はコロコロ変わるので、実際に行かれる際は航空会社ウェブサイトで最新の情報を確認されることをお勧めする)

さらに他の航空会社でロードバイクがめちゃくちゃにされてしまった人のビデオもYouTubeで見つけることができる



ということで、自転車への追加料金がない航空会社を選んだら、たまたまインドの航空会社になってしまったわけである。というか、どうしてインドの航空会社がニューヨーク、ブリュッセル間の直行便を運行しているんだと不思議に思ったが、この理由も後にわかることになる


■Jet Airwaysの機内

前回のエントリでも書いたが、Jet Airwaysという名前からはインドであることを感じさせないので、インド色を隠すような企業イメージ戦略なのかと思っていた

ちなみにこちらがビジネスクラスのシート。



自分はエコノミーなので通り過ぎるだけだが…。



機内に搭乗するとかなり大きい席上スクリーンが。



スクリーンのメニューは英語。

やはりインド色を隠しているのかなと思い通路を見上げると。

きた。EXITの上にいきなりヒンディー語。



スクリーン下の座席の説明もよく見ると英語の上にヒンディー語が併記されている。



そして極めつけはキャビンアテンダント。男性のCAはジェットブルのときにも経験しているので珍しくないが、ターバンとヒゲを蓄えた屈強な男性。まさしくインドの戦士である。



IT大国のインドらしく、他のシートとのチャットや、インターネットメールの送信等まで行えるようになっている。




■インド映画

そして映画を見るとボリウッドの項目が!



世界最大を誇るインドの映画産業※の中心地であるボンベイ(ムンバイの旧名)とアメリカのハリウッドをもじってボリウッドと呼ばれる。(※すでにインドの映画産業は本場ハリウッドを越えて世界一である)



ニューヨークではクイーンズにあるインド人街のJackson Heightsにボリウッドの映画館があるが、これまで観たことはない。



アクション系であれば、映像だけでも楽しめるだろうから初めてのボリウッドでも敷居は低いだろうと思い、アクションカテゴリーの「Robot」という映画を観てみることに。



おしゃべりな脇役がヒロインに少し黙りなさいみたいなことを言われて「わかりました。Ctrl+Alt+Del。」…。これがIT大国のインド風ジョークなのか。

そして、ケンカした主人公とヒロインが仲直り。お互いキスをする…。と突然、舞台は砂漠になって着飾った主人公とヒロインが歌って踊りだす

これが噂に聞いていたミュージカル、ロマンス、コメディ、アクションなんでもありのごちゃまぜマサラムービーなのか。

しかも3分くらいで終わると思ったら歌が長い。やっと終わったと思ったら二曲目に突入。もちろん歌の舞台(砂漠)にストーリー(インドの街中)との関係性は皆無で、だんだんストーリーの繋がりがわからなくなってくる。かれこれ10分以上流れ続けている気がする…。

そんなミュージカルシーンが何度も劇中に挿入される。ちなみに、本編も長い。90分か120分かと思ったら165分ボリウッド長え…。3時間近く観続けることになるとは思ってもいなかった。

最後はターミネーター以上の機械アクションシーンで、ボリウッドってこんなにすごいのか。と唸らされたが、後になって調べてみて納得。

実はこのRobot(ヒンディバージョンのタイトル。タミール映画バージョンのタイトルはEndhiran)、本国インドで大ヒットとなった映画で、出演している主演男優のラジニカント(Rajinikanth)(何も知らずに観たときは安いギャラで使えそうな不細工なおっさんにしか見えなかった…)も、数億円のギャラを1作で稼ぐタミール映画界のトップ男優だった。



ちなみに制作費は30億円超。ターミネーターの制作費が5億5000万円であることを考えるとさもありなんという感じである。恐るべきインド映画。

そして帰りの飛行機で観たのがこちら、「The Japanese Wife」(日本人妻)



行きで観たRobotとはうって変わって、静かにストーリーが進行する文学小説的映画で、アクションも無ければ歌も踊りも無い。



それもそのはず、The Japanese Wifeはベンガル地方の映画で、ムンバイのボリウッドとは違うジャンルの映画文化らしい。

ストーリーは、文通で知り合った日本人女性と手紙のやりとりを続け、一回も会わないまま結婚する(結婚後も会わない)というもの。




■機内食

機内食もこれまでの日系や欧米系航空会社では経験したことのないものであった。

行きの機内食はChickenかVeggie(ベジタブル)かと聞かれるので、Chickenを頼む。タンドリーチキンではないが、少し辛めのインド風味なチキン。



カレー好きとしてはせっかくだからカレーがよかったなぁと思ったのだが、隣の人のを見ると、どうやらベジタブルを頼むとベジタブルカレーだったようである。じゃあ初めからチキンかベジタブルかじゃなくて、チキンかカレーかと聞いてくれれば良かったのに…。

ということで、帰りの機内食では往路のときの経験を活かしてカレー狙いでベジタブルを頼む。逆に辛いものが苦手な妻はチキンを。

カバーを見ると、ベジタブルはグリーンと書かれており、



その中身はティッカマサラ系のカレーとホウレン草カレーのコンボとライス



一方でチキンはレッドと書かれており、



その中身はチキンカレーにナン



つーか、機内食、カレーしかねえ!!

カレー狙いどころか、どちらを選んでもカレーであった。

「チキンかベジタブル」というCAの問いは、「チキン(カレー)かベジタブル(カレー)」ということだったのである。

まさしく吉野家で「牛丼の並」とか「牛丼の大盛り」とか言わなくても、「並」、「大盛り」だけで通じるが如しであり、カレーなのはデフォルトな上で、チキンかベジタブルか聞いてきていたのであった。

まさにカレーを食わねば人に非ず状態!

しかも軽食も、これが例えばJALやANAだったらロールパンとかが出てくる場面で、出てきたのはナンで辛めの肉を挟んだナンサンドイッチ。

辛いものが苦手な人には大変である。

さらに途中で出てくるお菓子もインド風香辛料をたっぷり使った変わった味のものであった。



まあ機内食は味が薄いものが多い傾向にあるので、自分のようなカレー好きにはたまらないメニューである。これでビジネスクラスやファーストクラスならどんなカレーを食べさせてくれるのかと気になるところである。


というわけで、初めてJet Airwaysに乗った初日、ヒンディー語の案内板を見て、インド映画を観賞し、インド料理を頬張って、インド人のキャビンアテンダント、インド人の乗客に囲まれながら飛行機は進む

「インドまであと何時間だろう…」と、なんかこれからインドに行く雰囲気になっている自分がいる。

いや違う違う、これから行くのはヨーロッパのブリュッセルだってば。と正気に戻るが、そんな気分にさせられてしまう恐るべしJet Airwaysであった。

ちなみに、なぜインドの航空会社がニューヨーク、ブリュッセル間を飛ばしているのかは降りたあとわかった。

ブリュッセル空港に降り立って、インド人乗客たちはこぞってチェンナイへの乗り継ぎカウンターへ…

そう、ブリュッセルはインド(チェンナイ)とアメリカ(ニューヨーク)を結ぶハブ空港であり、この路線の真のルートは、ニューヨークとチェンナイの移動にあったわけである。

自分はたまたま、いわば途中下車でニューヨーク、ブリュッセル間を利用しているだけにすぎなかったのだ。



ところでWikipediaによると、ブリュッセル自体も近年はアジア、中近東系の移民が非常に増加しているらしく、移民系の住民が過半数を占めるらしい。近年生まれた男子に最も多く付けられた名前は、イスラム系の「ムハンマド」であるらしい。そういう点ではブリュッセルを中間地点のハブ空港として利用するJet Airwaysの選択も当然なのかもしれない。

そんなこんなで長旅を終えてニューヨークへ戻ったのであった。




4 件のコメント :

  1. 「Robot」がツボにハマりました。
    こーゆー滅茶苦茶な映画(失礼)が好きな自分には琴線に触れるものがあります。
    いやあ、面白そうですね!(*゚∀゚)
    あと料理が凄く美味しそうです。
    引くもカレー、進むもカレー。さすがインド!(笑)

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  2. まさにカレー好きにはたまらない航空会社になると思います。
    Robotは有無を言わさずハチャメチャに進む感じがまさしくインド映画でした。その上、意外に(失礼)ストーリーもしっかりしていて3時間の長さも効果的に使われていたと思います。
    ちなみにおそろしいことに…、YouTubeに全編アップされてました。。。ヒンディー語なのできついですが、詳しくはリンクをどうぞ。

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  3. Robot日本でも公開されるみたいです。しかも今週末から。
    日本版はボリウッド映画特有のダンスシーンがカットらしいですが。
    映画館で観るのが好きなんで絶対観に行きます( ^ω^ )ニコニコ

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  4. 初心者ロードレーサー2012年5月11日 13:08

    私も調べてみてびっくりしました。そもそも日本で公開されているインド映画自体が少ない中でRobotが公開されるとは。私の記憶では日本で流行ったインド映画って「ムトゥ 踊るマハラジャ」くらいしかなかったと思います。って踊るマハラジャとRobotは同じ主演(ラジニカーント)だったんですね。

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