サイクロコンピュータ比較検討(後編): Garmin(ガーミン) VS Polar(ポラール)の巻

というわけで前回から続いてサイクロコンピュータの比較検討をしていく。

最低限の条件としてはスピード(現在時速、平均時速、最高時速)、ケイデンス(現在、平均)、ラップ機能、そして今回の購入の発端となったハートレートモニター(心拍計)である。

そもそもCat Eye(キャットアイ)のサイコンとSuntoのハートレートモニターが電波干渉してしまい同時利用できないというのを克服するために上記の機能は必須だ。となってくると結局それらの機能を備えているのはワイヤレスしかないのでワイヤレスを選ぶことになる。


で、それらの機能を満たしているものとして候補に挙がったのが以下3つである。

  ・Gamin 705
  ・Polar CS600 (日本未発売のため下のリンクはCS400 )
  ・CatEye V3



それぞれ、Garmin、Polar、Cat Eyeの最新モデルであるが、この中でも、条件を最低限満たしており、必要十分になっているのがCatEyeのV3である。現在使っているCC-CD300DWはeBayの中古で買ったので53ドルという破格で買ったが、V3はそれからすると2倍以上するものの、ハートレートモニターも付いていることを考えればコストパフォーマンス的にも優れているといっていい。

ただ、上記で挙げた最低限の機能を満たしていればそれでいかというと、せっかく新調するのであれば他の新機能も見てみたいと思うわけである。


■パソコン連動機能とGPS

特にパソコンと連携して各種情報をグラフ化できる機能は素晴らしい。他のサイコンでは、出発から帰宅までの間や、ラップ単位でしか平均時速等確認できないのに、これであれば任意の区間で、さらにはある時点での平均速度等がわかる。さらにGPSと連動する機能も素晴らしい。GPSの地図とグラフ化を組み合わせることで、どの地点でどのような状態だったかがわかるからだ。例えばセントラルパーク一周のタイムやその他情報を把握しつつ、その中で上り坂部分はどの程度の速度、ケイデンス、心拍数だったかがわかる。

さらに言えば、セントラルパーク一周のタイムが遅かったときなどにも、遅くなかったときと比べて地点地点で見ていけば、上り坂が原因で全体のタイムに響いたのか、それ以外の部分が原因だったのかなどの分析までできる。まさにライドを単なる「乗りっぱなし」にせず明日につなげるためにはNice to Haveの機能であるといえよう。

となると、グラフ化対応でGPS機能も付けられるのはGarminかPolarに限られてくる。ちなみにGarminでは705と605で同じような機能でありながらバージョンが違うし、PolarもCS600とCS400で違う。というわけでせっかくだからそれぞれ現時点の最新モデルであるGarmin 705とPolar CS600とで比較したい


■Garmin 705とPolar CS600の比較

最初に、Garmin、Polarともに自転車専門のメーカーではなく、GarminはGaryというアメリカ人とMin(高民環)という台湾人が作ったGPSメーカー、Polar(ポラール)はフィンランドの総合心拍計メーカーで、陸上競技全般のハートレートモニターを製造している。Garminの名はご察しの通り、GaryとMinの名前をくっつけたヤンマー(ヤン坊とマー坊)みたいなもんだが、中国語の会社名は台灣國際航電でヤンマー ガーミンと全然違う。

トリビアはここらへんに止めといて、まず共通点として挙げられるのは、両方ともワイヤレスで、スピード、ケイデンス、ラップなど一通りの機能を備えており、パソコンとも連動できるという点である。

一方、GarminとPolarで決定的に違う点はGPS機能である。GarminはGPS画面が本体に搭載されており、走行しながら地図を確認できるのに対し、PolarはGPSが標準装備でなくオプションということもあり、サイコン本体には地図表示機能はなく、帰宅後にPCで確認できるのみである。

しかし、GPS機能はNice to HaveであってMust to Haveではない。特に三本ローラーを回しているときは地図連動機能は無用の長物以外の何物でもないし、高度計も無意味である。GPSも迷子防止用のGPSとして利用するならともかく、迷わないいつものコースを走る限りは、走行中に地図を確認する必要はなく、帰宅後にパソコンの画面で地図と走行データの連動情報が確認できれば十分だ。この点、GarminはGPS内蔵で大きいが、Polarの場合はオプションなので付けることも付けないこともできる。さらにGarminにはない機能として、PolarのPower Outpu機能であれば、Garminでは対応していない左右のペダリングの違いなど、より細かいところまでデータが取れる。

と、ここまで来るとPolar CS600の方に軍配が上がりそうだが、Garmin 705も負けてはいない。

そもそも、かさばるのが面倒(電波干渉の面からも)で一体機能がいいというところからスタートした今回の買い替え検討であり、Polar CS600の場合、GPSがなければGarmin 705よりもコンパクトだが、GPSを付けたら圧倒的にGarmin 705よりもかさばる。下のGPSユニットを見てもらえばわかるが、こんなのを付けると総合的にはGarmin 705よりも重く、邪魔になる。そのくせに地図表示もできない。つまりGPSを使うのであれば、地図表示ができて、かさばらないGarmin 705の方がいい




■接続方式と電源の違い

さらにパソコン製品を使い続けてきた人間としては、接続方式でGamin 705の方が優っている。Garmin 705がUSB接続方式なのに対し、CS600は赤外線(IrDA)方式である。赤外線接続といえば、みなさんご経験の通り、携帯電話のアドレス交換でお互いの携帯を近づけて通信するアレである。USBのデータ転送に比べれば、かなり近づかないと接続できないし、データ転送量も遅く不安定だ。無線ならせめてBluetoothとかにすれば有効距離も広いし、それこそ離れた場所でも指向性に気を使わずに自転車に装着したまま通信できるのに・・・。それに対してGarmin 705はUSBで接続できる上にMicro SDカードにも対応している。それこそ関係ないデータも入れれるので、デジカメの写真データとか、ライドの情報を入れたテキストファイルや地図画像もパソコンから保存しておける。もちろんそれらのファイルはGarmin上からは開けないが、たとえばスマートフォン(高機能携帯電話)があれば、対応していればテキストファイルや画像、音楽ファイルも開くことができる。

本体の電源方式は、Polar CS600が豆電池式のCR2354、Garmin 705が充電池式Garmin 705は継続使用時間が15時間と短いのが玉にキズだがUSBで充電できるのでパソコンにつなげていればそれほど問題にはならないだろう。Polarは一般的に普及している豆電池のCR2032と型が違うが、さすがに交換式電池ということもあり、年単位で持つらしい。純粋な比較であれば、Garmin 705の場合、充電し続けてどれくらいの期間持つかで比較すべきで、15時間で1回の充電が切れるのはバッテリー期間比較とは別の欠点として捕らえた方が良いが、どちらにしろこの持続時間は痛いデメリットである。といっても、数日間のロングライド(というかトラベルライド)でモーテルなり、ホテルに泊まるのであればコンセントくらいは確保できるだろうし、ロングライドであればこそ地図を画面で確認できるのは逆に利点になりそうだ。結局、パソコンに接続して(USBで)充電してから使いますというのはiPodやiPhoneといった携帯音楽プレイヤーやスマートフォンと同じレベルの話なので、単に充電を忘れないように気をつければよいで済む話だろう。


■価格の比較

価格面でいえば、Polar CS600が日本未発売モデル(2009年12月28日時点)なのだが、Amazon.comでは定価$709.95のところ、$489.88。Garmin 705は以下の三種類が用意されていて、GPS機能、マップデータ付き(010-00555-40)で定価$709.07のところ、$575.67で売っている。

  Garmin 705のラインナップ
   ・010-00555-20: Edge 705, Heart Rate
   ・010-00555-30: Edge 705, Heart rate & Speed/Cadence
   ・010-00555-40: Edge 705, Heart rate, Speed/Cadence & Data card

ちなみにCS600で同等の機能が必要であれば上で紹介したGPSユニット(日本では激高)を買わねばならず、これはアメリカのAmazonでは定価$149.95のところ$139.95。つまり、GPSをつけたフル装備ではPolar CS600が$629.83、Garmin 705が$575.67となり、Garmin 705の方がコストパフォーマンスがよい


■顧客第一か、利益第一か

そして今回の比較検討のトドメとなる決定的なポイントがこの部分である。

Polar CS600のスピードセンサー、ケイデンスセンサー(5,000円以上)は、電池交換不可で使い捨て。

こちらのブログではメーカーが電池交換不可といっているところ、あえて電池交換をするという、自分のようなDIY派にとっては素晴らしい行動を取られている。中身の部品の写真を見る限りでは(無断転載はまずいので気になる方はリンク先を見てください)、どうみても使い捨てにする必要のないものだし、ブログ作者もコメントしているがそもそも5,292円(現時点のAmazon.co.jp価格)もするようなものに見えない・・・。

簡単な開閉部分を設ければ交換できるようにすることができるのに、あえてそれをしていないのは消費者をバカにしているとしか思えない。無理に開けると防水ができなくなるというのを理由にしているようだが、今の世の中、防水が付いているデジカメだって電池やカード挿入の開閉口があるだろうに。防水をしないのは単に企業努力不足だし、実際にGarminのセンサーだってCat Eyeのセンサーだって交換口が付いて交換可能になっているのに、Polarだけ交換できないほど技術が劣っているわけでもないだろう。

まさしく顧客を犠牲にして利益を追求する行為に他ならないし、フィンランドの会社にしてはエコ感覚もなさすぎる(単に自分が北欧企業に対して持っている固定観念かもしれないが)。実際に電池交換をしてる人もネット上では複数見つかるし、そもそも電池(CR1632)単品で買えば、製品の中に入っているという同じパナソニック製のもので270円である。それなのにわざわざ電池交換不可にして5,000円のものを買わせる。これをボッタクリと言わずしてなんと言おう。



まあ電池を自分で交換して防水処理(テープ密封などで)を施せば済む話しではあるが、そのような販売姿勢をしている企業の製品を使うのは自分としてはどうかと思うのでPolarは却下の運びとなった。本当のところは、携帯電話では充電池単品で購入・交換できるようになってるんだから、Gaminの充電池だって充電池単品で売って交換できるようにできるはずなのだが。


というわけでかなり長い比較検討になったが、最終的にはGarmin 705でファイナルアンサー
あとはどれだけ安く手に入れるかを考えるだけだ。


0 件のコメント :

コメントを投稿