自転車レーン:6600キロ可能 主要道8割に設置容易
自転車レーンが整備されるのは良いことである。特に既存の道路上に線引きして作る自転車レーン(On-Street Bicycle Lane)は、物理的に車道と分ける自転車道(Off-Street Bicycle Path)と違って容易に整備できるとのことだ。
ということで、日本に自転車レーンが整備されていくのは歓迎すべきことなのだが、一つ気になった数字が。
警察庁によると、08年度末現在で自転車レーンは全国で178キロにとどまっている。
178キロ・・・。
そういえばニューヨーク交通局が自転車レーンを発表していたなぁと思って比較してみると、2007年10月の資料があった。
New York City Bicycle Lane and Trail Inventory (2007)
こちらのPart 1 - Methodology and Overviewより引用。
ニューヨーク市の5つの区で、自転車レーンの合計は167マイル。約267キロ。
ニューヨーク市の面積が786km²、東京23区の面積が621.98km²であることを考えると(ちなみに東京都の面積は2,187.65km²)、日本全国の総自転車レーンを集めても、東京23区よりちょっと広いくらいのマンハッタンの自転車レーンに遠く及ばない現状ということになる。
そうでなくても、日本は通常の道路幅が狭いので、自転車レーンがない道でもニューヨークに比べて東京は走りにくいといえる。
そんな折、デンマークの環境相が来日したとしてこんなニュース記事が。
銀輪の死角:自転車大国・デンマーク環境相「事故急増悲しい」 都心を試走
同国環境省は二酸化炭素削減につながるとして自転車の普及を支援しているが、自転車と歩行者の事故が急増している日本の状況を「大変悲しい」と語り、「自転車専用通路の整備と子供からの交通教育が重要だ」と強調した。
さもありなんだと思う。そもそも自転車用の道路が有る国と無い国で、無い国の方が事故が多いのは必然である。
極論になるかもしれないが、道路行政の怠慢によって人が殺されていると言える部分もあるのではないだろうか。
できれば昨今の自転車ブーム(もともとは建康ブーム?)に乗って、自転車レーン、自転車道の増加、ひいては自転車事故数の減少を期待したいものである。
自転車レーンを増やすのは結構ですが、せっかく作った自転車レーンが都合の良い違法駐車場所として使われている現実も、何とかして欲しいものです。また、せっかくの自転車レーンを、夜間に無灯火で逆走してくる自転車。どういう神経をしているのでしょう。せっかくの自転車レーンですが、危険で走りにくいのが現実です。
返信削除車道を分離した自転車レーンでなく、歩道を分離した自転車レーンもよく見かけます。しかし、歩行者、自転車の両方から無視されていることが多く、率直なところ、有効に機能しているとは思えません。もっとも自転車レーンの車道側にゴミ集積所やバス停があるのでは、歩行者にそこを歩くなとも言えないでしょう。設計ポリシーが、ちぐはぐというものです。
ある自転車雑誌のコラムに、警察官の白自転車が歩道上を堂々と、しかも2台併走していたと書かれていました。警察官こそ率先して道交法どおりに車道左端を走行し、迷惑な違法駐車のクルマをどんどん検挙してほしいという著者の主張。もっともだと私も思います。
ハードも大切ですが、それだけではだめですね。運用や教育というソフト面が大切だと思います。
確かに自転車レーンを塞ぐように堂々と駐車している車など見かけますね。
返信削除ニューヨークでは基本的に自転車レーンのさらに内側(歩道側)に車一台分の「路肩」があるので自転車レーンを塞ぐ駐車はそれほど見かけません。逆にただ単に道路に線だけ引いて「自転車レーン」を増やしたとしても、路肩や駐車スペースの問題が考慮されてなければ実効性のないものになってしまう不安があります。
歩道を分離した自転車レーンも、原則軽車両の自転車は車道を走る以上、立ち位置が曖昧ですよね。そうやって歩道と車道の中途半端な部分に追いやられているせいで、車のドライバーからは「自転車は邪魔だから歩道走ってろ」と間違った意識を持たれてしまうのかもしれません。
まさしくデンマークの環境相のコメントにある「自転車専用通路の整備(ハード)」と「交通教育(ソフト)」の両立が必要ですね。
草の根からでも声を発していくべきトピックだと思うので、今後もこういったエントリを取り上げていければと思います。