Kreuziger to Skip 2012 Tour de France
2012年はジロ・デ・イタリアに注力する予定で、ツール・ド・フランス不出場の原因は、タイムトライアルの比重が一気に高まるステージ構成にあるとのこと。
確かに、2012年のツール・ド・フランスはタイムトライアルが多く、プロローグの6.1km、第9ステージの38km、第19ステージの52kmと、3ステージ約100km弱もが個人タイムトライアルとなっている。
2011年と比べるとその差は歴然で、2011年ではそもそもプロローグの個人タイムトライアルがなく、第2ステージの23kmのチームタイムトライアル、第20ステージの42.5kmの個人タイムトライアルのみであった。にも関わらず、第19ステージのラルプ・デュエズでのシュレク兄弟大逆転もむなしく、結局最後は第20ステージの個人タイムトライアルで勝敗が決してしまったのは記憶に新しいところである。
ミゲル・インドゥラインの五連覇で確立された、「タイムトライアルでタイム差を稼いで、残りのステージはタイム差調整で優勝する」という傾向がある以上、2012年のツール・ド・フランスはさらに「タイムトライアルで勝敗が決まる」ツールになると言えよう。
もっと突っ込んで言えば、平坦のタイムトライアルの比重が大きくなる以上、相対ワット(watt/kg)でなく絶対ワット(watt)勝負となり、(より先天的な要因である)身長が高くてガタイの良い選手が有利になる。逆に体格が小さく体重が軽い選手はそれだけで不利になる。
スプリンター、クライマー等、様々な選手のタイプがウリなロードレースではあるのに、タイムトライアルで勝敗が決まるのであればそのバリエーションによる不確定要素が少なくなる。はっきり言ってシュレク兄弟のようなクライマーには不利なレース構成である。
もはや、得意分野を伸ばす云々の選択肢ではなく、誰も彼もがTT能力を向上しなければ勝てない状況になり、少なくとも「どんなタイプのレーサーでも勝つ可能性がある」レースではなくなる。実際に、来年のツール・ド・フランスで高順位を狙う選手は、否応なくTT強化のトレーニングに移行せざるをえない状況になっている。
シュレクとロランが来年のツールに向けTTを特訓中
それが面白いか面白くないかは意見がわかれるところであると思うし、良い言い方をすれば、個人の力量差が如実に出る個人タイムトライアルで勝てる選手が、真に力のあるアスリートと言えるので、個人タイムトライアルで勝敗が決まるのは王道であるかも知れない。一方で、(インドゥラインの時代が観客にとって「手に汗握るツール」ではなかったように)チーム戦や起伏に富んだロードレースが勝敗の脇役になってしまうのは、チーム戦であり長い時間の中で戦略を競い合うチームロードの楽しみという点ではデメリットでもあると思われる。
プロスポーツである以上、観客を沸かせるレース展開を如何に実現するかが大会運営側にも求められているのだと思う。
自分は見方は逆ですね。
返信削除��Tで勝負しても勝ち目のないライダーが山岳や起伏の激しいコースで積極的にアタックをかけてくるはずなので、より勝負所が分散して楽しめるツールになるという見方です。
ボクがシュレックの立場ならそうします。
これは希望的観測です。
本当にTTで勝負が決まったら、さぞつまらないツールになりそうですね。
私もアウトサイダーさんに同意です。
返信削除もし、TTで決まってしまっても、そういう年があってもいいかな?とも思っています。
別角度からのご意見ありがとうございます。
返信削除山岳コースについて言えば、2012年は5ステージで、2011年の6ステージよりもさらに山岳ステージが少なくなってるんですよね。TT対山岳で勝負所を分散させたければ、もっと山岳で勝つ機会を増やすべきだと思うのですが…。もし今年(2011年)の結果が山岳で大差をつけてのシュレク兄弟勝利であったなら、もっと白熱させるために2012年の処置(TT増加、山岳減少)も妥当だと思うのですが、実際には1分半以上も差をつけられてTTで勝負が決まってますし…。
が、私も個人的にはシュレク兄弟を応援しているので山岳での大逃げに期待したいところです。
仰る通り、タイムトライアルで決まる年や、山岳で決まる年という風に特色を出しているだけなのかもしれません。本エントリでは、観客に魅せるプロスポーツとしての視点からコース設定について考察しましたが、その考え方は(敢えて悪い言い方をすれば)「大衆迎合型」ですので、観客や興行の成否、レースの白熱云々に関わらずコースを設定するという方針もありなのだと思います。
返信削除ツールのプレゼンテーションでベルナール・イノーさんが仰っていましたが、山岳ステージは数は確かに少ないのですが、逆に斜度がキツイ山が多いのです。
返信削除ツールでは珍しい20%超えもあるようです。
なので差はつきやすいはずだと。
ただし、クライマーはもっとゴールから離れた場所からアタックをしない限り、勝つのはムリだろうと言っていました。
シュレックはどちらかが犠牲になるべきだと・・・。
山で差がつきやすいならやっと良い勝負になりそうですが、それでさらにTTが増えるというのは1歩有利になって2歩不利になる感じですね。ただ、レースが白熱するか否かという観点とは別の視点でルートが設定されているのであれば、それはそれで2012年のツールなのだと思います。
返信削除なにはともあれ、いくらクライマーが不利とはいえ、走る前から「勝つのはムリ」と言われるのも辛いものがありますね。今年の山岳でのアタックを見た身としては、今年でも十分勝負に出て全力を尽くした走りで、少なくともまだ余力を持ってるような状態には見えませんでしたが…。