バスや地下鉄といった公共交通機関と比べて他人との距離がとれ、同じ場所に長時間いなくて済むという、いわゆる三密を防げる移動手段として見直されているらしい。
新たに通勤、通学用にと自転車屋におしかける人たち。
都市封鎖のロックダウンといい、段階的再開といい、アメリカと同じ状況となっているイギリスがそうなら、アメリカでも同じようになる蓋然性は高い。
実際にフランスでは政府自ら自転車通勤を呼びかけている。
列車やバスが通勤客で混雑すれば、感染のリスクが高まることが懸念され、フランス政府や自治体は公共交通機関に代わる移動手段として、市民に自転車の利用を呼びかけ、各地で専用レーンの設置を進めています。
フランス 外出制限大幅緩和へ 自転車利用を呼びかけ
さらにここニューヨークでも、マンハッタンにあるサイクルショップから求人募集のメールが来ている。
世界恐慌以来最悪の失業率になっている最中に景気の良い話しで、自転車業界がウハウハになっているのがよくわかる。
ある意味時代を先取りしていた自転車通勤
このブログを見てくださっている方なら覚えていらっしゃるかもしれないが、新型コロナウイルスが流行る前、毎年インフルエンザの季節には同じようなソーシャルディスタンスのエントリをしていた。
例えばこちら、2年前のエントリ。
ここで一般読者の方は「マイナス13℃の中を自転車通勤してるからだ。アホだね。」とツッコンでいることでしょう。
が、違うんです。
自転車に乗らない人には信じてもらえないことが多いですが、バス&地下鉄通勤をすると風邪を引くんです。
今回も、自転車通勤していた水曜までは何の問題もなく、バス&地下鉄通勤に切り替えた木曜の夜から違和感が出て、同じくバス&地下鉄通勤の金曜には風邪の兆候が・・・。
そして土日に本格的に臥せってしまった。
しかもこれが特別なケースではなく、これまで風邪を引いたときの記録(というかトレーニングログ)を見ても、やはりバス&地下鉄通勤に切り替えたことがきっかけで風邪を引いているケースが多い。
よく考えてみれば当然で、風邪といっても菌ありきなわけで、自転車通勤ではそもそも周囲に風邪菌が漂うような状況ではないので、風邪菌に感染することもないのである。
つまり、自転車通勤の場合に風邪が移る場合、家族か職場の同僚からで、どちらも特定多数である。
一方、バス&地下鉄通勤の場合、不特定多数と狭い空間の中で同じ空気を共有することになり、その風邪菌感染力たるや、自転車通勤の比ではないわけである。
大寒波で風邪を引いた真相・・・
上記エントリでも触れているが、これまで何年も自転車通勤してきた経験則として、バス&地下鉄通勤すると風邪を引きやすくなっていた。
ブロンプトンのときはブレーキの効きが不安で雨天時はバス&地下鉄を選ぶこともあったが、ディスクブレーキのダホンにしてからは大雨でもない限りは基本的に自転車通勤していた。
そう、新型コロナのロックダウン前(つまり密かに感染が広まっていて、まだ三密という言葉もなかった頃)は、自転車通勤していた自分たちは他の人たちよりも通勤時の三密を回避できていて、感染リスク上有利な立場にいたのである。
ポストコロナで立場が逆転する
ところが今度は自転車通勤者の増加が心配されているらしい。
冒頭の報道によると、自転車利用は10倍に増えるという予想が・・・。
10倍・・・、勘弁しちくりよ・・・。
今ですら何度も接触事故を経験している自分やいまっちさんにとって、今の状態で10倍に増えたらとてもじゃないけどこれまでと同じように自転車通勤できなくなる。
自転車レーンを整備するといっても限界があるし、マンハッタンの自転車通勤者にとっての大動脈のひとつであるハドソンリバー沿いのサイクリングロードは隣りに高速道路が走っていることもあり(ハドソンリバーを埋め立てでもしない限り)そもそも道幅が限られている。
百歩譲って自転車レーンが多少広がったとしても、自転車利用者が10倍に増えたら完全にキャパを超える。
10倍とまではいかなくても、冒頭のように地元のサイクルショップが人手が足りず新たに人雇ってますの広告を出しているくらいなので、自転車通勤者の増加はほぼ確実と思っていい。
数年前にCiti Bike(というシェアサイクル)が導入されてからは徐々に自転車通勤者も増えていったが、ここで一気に増えたら自転車密になるのは避けられない。
まあそれでもバスや地下鉄通勤よりは感染リスクは低いと思うので、自転車通勤に切り換える人たちにとっては「感染リスク低下」かつ「健康にもいい」というプラス効果が見込まれるだろう。
そしてサイクルショップも儲かって新規自転車通勤参入者とサイクルショップにとってはウィンウィンの関係かもしれない。
が、これまで自転車通勤をしてきた人たちにとっては、新型コロナ前と比べて感染リスクが増え、事故リスクも増え、(速度を出せないので)通勤時間もかかるという三重苦が待っているかもしれないのである。
そう、新規自転車通勤者、サイクルショップ、旧自転車通勤者の中で、もともと三密回避を享受できていた旧自転車通勤者だけがコロナ前と比べてデメリットが多くなるのである。
うーん、自分もポストコロナの通勤方法についていろいろ考えないといけない。
まあ一番良いのはツイッター社みたいに永久リモートワークOK企業が増えて通勤者自体が減ることなのだが・・・。
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