目指すは4つあるタイム計測のうちの1つ、最初のヒルクライムTTである。
■1st Hill Climb TT
最初のヒルクライムTTまであと500mという看板を見て気合を入れる。
ふと前を見ると、カモシカのような脚に背筋がジャージの上からでも浮き上がって見えるようなアスリート体型の黒豹のような黒人さんがいる。
「いやー、あいつめちゃくちゃ戦闘力高そうやね」
と、並走しているいまさんさんと話しながら眺めていると、外見の屈強さとは裏腹に、ふらふらしながら走っている。
「いや、奴はきっと力をセーブしてるんだ…。計測区間になったらロケット発射をするに違いない…」といまさんさんと話しながら黒豹の後ろにつく。
黒豹をマークしながら走っていたのだが、下りの区間でフロントがチェーン落ち…。以前チェーン落ちしたのは記憶に残ってないくらいなので、かなり久しぶりのチェーン落ちであった。
なんともまあ計測直前でリズムが狂ってしまったと思いつつ、チェーン落ちを直して走り出す。
黒豹はもう随分先行っちまったなぁと思いながらペダルを回す…。
回す…。
回す……。
「500mって、こんなに長かったっけ……?」
さすがにもう1km以上走ってるだろうと思いつつ、いまさんさんと状況を話し合う。
・「あと500m」の看板から確実に500mは過ぎている
・曲がり角では警察かスタッフが誘導してくれていたのでコースを間違えてはいない…はず…
・タイム計測では電子記録用の装置が設置されているはずだが見あたらなかった
・どうやら遅すぎるとタイム計測をしてくれない「足切り時間」があるらしい
これらを総合し、「遅かったせいで足切りされ、既に計測装置は撤収されてしまった」ということだと認識した。
総合順位は4つのヒルクライムTTの合計タイムで行われるので、最初のヒルクライムTTができなかった時点で失格。
さっきの第二休憩所で「ヒルクライムTTに備えて軽量化だぁーっ!」とか言って100ドルもするVittoria Crono EVO CXIIを捨てたのはいったい……。とんだ道化、哀れなピエロでござぁい!!(泣)
いきなり出鼻からがっかりしてしまうような展開になってしまった。
■2nd Hill Climb TT
そうこうしているうちに第二ヒルクライムTTまであと500mの看板が。
やっぱり第一ヒルクライムTTはダメだったのかということを思いながら、第二ヒルクライムTT手前の第三休憩所へ。
そこで同じチームのチームメンバーにバッタリ会う。といっても130人以上いるチームなので会ったことがない人も多く、このときの彼とも初対面。少し言葉を交わしつつ、そもそも第一ヒルクライムTTをしておらず疲れていないため、ゆっくり休憩をすることなくそのまま第二ヒルクライムTTへ。
第二ヒルクライムTTは去年のグランフォンドニューヨークと同じコース(だと思っていた)、ベアーマウンテンという山を山頂まで上るクライミング。
第三休憩所をすっ飛ばしたおかげで足切り時間内にまた入ったのか、スタート地点ではまだ装置が撤収されておらず、ピーッという計測音を聞きながらスタート。
第一ヒルクライムTTの未計測で既にDSQ(Disqualified)ではあるのだが、昨年との比較にもなるかと思って気を取り直してペダルを回す。
と、なんか苦しいなぁと思ってサイコンを確認すると、心拍が190bpmオーバー。
自分的にはそこまで激踏みをしているわけでもないのだが、風邪の影響なのか心拍はスプリント中のような高止まり状態。
このままでは死んでしまうと思いつつ、ギアを落として乱れた息を整える。
さらに右脹脛の痙攣も襲ってきて、痙攣を悪化させないようにしながら上る。
それでもここは集団後方ということもあり、他の人を抜くことはあっても抜かれることはなくゴール地点へ。
「あぁー、しんど、疲れたぁー」と思いながらゴール地点を通過…しようとするが……。
(ω・`))(´・ω・`)(( ´・ω) キョロキョロ…
ない!?ないっ!!ゴールがないですよっ!!
( ゚д゚) ポカーン…
ゴールが撤収されてるんですけど…。( ´;ω;`)
去年ゴールだった場所はすでに過ぎているし、今年の大会ガイドでもゴール地点は去年と同じ場所であることを確認しているので、上ってる間に「足切り時間」に達して撤収されてしまったのであろう…。
まあ公式タイムは第一ヒルクライムTTをスキップした時点で無いも同然なので、自分がわかってればいいかと思い、停車してGarmin Edge 500のタイム計測でラップを取る。
本来のゴール地点から少し過ぎてはいるが、タイムは19分49秒。
あらためて去年のタイムを確認してみると18分50秒。
日々のトレーニングログを見れば、地脚力的には1年前より格段にパフォーマンスは向上しているし、過去の自分自身に対してその自負もあったのだが、去年より体調が悪いためか遅いタイムになっている。
コンディション調整の重要さを身に染みて思い知らされた。
自分の場合、当日のコンディション調整は、一年間のトレーニングの蓄積以上に影響を及ぼすほど重要なもののようである。
サドルに肘を付いてゼェゼェハァハァ息を整えていると、目の前を通っていく人たち。
もうゴールは撤収されたってのに、みんながんばるなぁ…、と思ってボーッとみていると、いまさんさんが「あれっ?なんで止まってるんですか!?」といった感じで通り過ぎる。
えっ?!えっ?!まさか、ゴール地点を間違ってるのは自分の方?!?!
慌ててサドルにまたがって漕ぎ出す。と、すでに平坦になって角を曲がったところにゴールゲートが…。
ピーッ!
20分59秒。
ゴールでポーズを撮って記念撮影。が、その心境は複雑であった。
大会ガイドと実際のゴール地点が違うとは…。
なんという孔明の罠…。
しかも大会ガイドのゴール地点からは実際のゴール地点は見えないので、ちょうど足切りを経験したばかりの自分は撤収されてしまったものだと思ってしまった。
なんか今年のグランフォンドニューヨークはめちゃくちゃ&ぐちゃぐちゃでうなだれたい気持ちではある。
とはいえ、コンディション調整の重要さを教訓とすることができただけでも良かった。と、ポジティブシンキングを心掛けてみる。
そんなことを考えながら山頂で少し休んだのちに山を降りていくのであった…。
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