ハブ式パワーメーターといえばPowerTapだが、既に5セットホイールを持っている身としては、ホイールごとに装着する必要があるPowerTapは使い勝手が悪い。
全てのホイールで計測したいと思ったらPowerTapを5つ買うかしかないし、PowerTapを1つで済ませたいと思ったら常に同じホイールを使う以外に選択肢がなくなってしまう。
ということで自分のライディングスタイルからはPowerTapは合わず、となるとクランク式パワーメーターに落ち着くことになる。
■SRM
クランク式パワーメーターといえばパワーメーターの草分け的存在、ドイツのSRMである。
1986年に工学部の学生であったUli Schobererが開発したもので、1988年には最初のSRMを発売し、当時の顧客にはグレッグ・レモンもいた。
ちなみにSRMはSchoberer Rad Messtechnikの略である。
ところが、SRMのデメリットは、電池交換が自分でできないということと、価格が高いということである。
電池交換は、半田ごてがあれば自分でもできるのだがもちろん保証対象外。公式ルートとしてはSRMに送付して電池交換してもらうのだが、何週間もかかるのでその間トレーニングログが止まってしまうし煩わしい。
さらにフォーラムで不満を爆発させている人によると、電池交換は1回100ドル。前回送付したときは他の正常な部品まで交換させられて300ドルをチャージされたとのこと。
自分で交換した人も実際にいて、その人は「Electrochem Lithium QTC85 3B880」という電池をこちらのサイトで$25で購入して電池交換したとのこと。さらにクランクモデルによって電池が違うらしく、別の人は「LTC-7PN-S4」という電池であったとのこと。
$100+送料を考えると、SRMの交換料金だけで4倍以上の金額を支払っていることになる。後述のQuarqが2008年に出るまではパワーメーター市場独占状態で、如何に殿様商売をしていたかがわかる。
本体の価格については以下の価格リストを見ていただきたい。
SpecializedとShimanoのクランクに対応で、3,000ドル前後~4,000ドル近くまでする。
Shimano 7800 Standard | $ 3,695.00 |
Shimano 7900 Standard | $ 3,895.00 |
FSA K-Force Light Standard | $ 3,595.00 |
■Quarq CinQo
となると後発のQuarq CinQoが選択肢に上がる。
SRMの特許が2007年に切れたのを契機に2008年に発売されたもので、ジェネリック医薬品ならぬ、ジェネリックパワーメーターである。
2011年にSRAMに買収されたため、現在は3大コンポメーカーであるSRAMに支えられており、他のパワーメーターに比べて信頼感とともに安心感がある。
すでにSRAMからはパワーメーター内蔵のSRAM REDクランクが発売されている。
SRMで上げたデメリットである、「電池交換ができない」、「価格が高い」を両方克服しているのがQuarqaのCinQoである。(まあそれでも高いことには変わりないが…)
SRAMの傘下なだけあってもちろんSRAMのクランクメインだが、その価格帯はSRMの半額前後である。
CinQo crankset, SRAM S975, GXP | $1795.00 |
CinQo crankset, SRAM S975, BB30 | $1845.00 |
CinQo Crankset, FSA SL-K | $1795.00 |
CinQo Crankset, Rotor 3D Q-Rings | $2166.00 |
そして電池交換も自分で行うことができる。
使用電池は普通に市販・流通しているCR2450。日本でも簡単に手に入る。というか、5個345円って…。1個交換するのに100ドル(8000円)+海外送料がかかって何週間も待たされるSRMに比べるとこれだけでもSRMを選択しない理由になってしまう。
さらに自分の場合、QuarqもSRAMもアメリカの会社というだけあって、いざ修理等になったときにもコンタクトを取りやすい。
ということで、パワーメーターはQuarqのCinQoに白羽の矢を立てることにした。
この点、QuarqのCinQo購入を考える者として気になるのはその読み方である。
Cinelliが「チネリ」と発音することを踏まえると、CinQoの発音は…。
「チ○コ」…となる。
そのまま書くのが憚られたので伏せ字にしてみた。
が、伏せ字にしたことで余計卑猥に見えてしまった…。
つまり、公衆の面前で、「お前最近チ○コ使ってるんだって?」 「ああ、俺のチ○コ、めちゃくちゃ調子いいぜ!今度お前にも試させてやるよ。ウホッ」
なんて会話をせざるをえなくなるのである。
だが、そこの顔を赤くしているうら若き乙女の方(…は、こんなブログ見ないか…)、ご安心いただきたい。
CinQoはスペイン語のCincoに由来しており、スペイン語で数字の5を表すCincoの読みは「スィンコ(シンコ)」である。
実際、Quarq CinQoの説明動画を見ると、「スィンコ」と発音しているのがわかる。
なにはともあれ、QuarqのCinQoでパワーメーターを導入することになった。
■Power2Max
今回は選択から外したものの、追加でご紹介しておきたいのが、最近出てきたばかりのパワーメーター。
2011年10月から発売されているドイツのPower2Maxである。
加速度センサー内蔵で、マグネット不要でケイデンスを計測するという機能も有する。
チェーンリングを含まずに、スパイダーアームとクランクのみで売られているが、特筆すべきはその価格帯で、チェーンリングを以下一覧とは別途に購入必要だが、それでもQuarqより500ドル以上安くなる。
SRAM S900 | $844 |
ROTOR 3D | $1,149 |
SRM同様、Power2Maxはカラーも選ぶことができ、ホワイトもある。
今回Power2Maxにしなかった理由は、ユーザフォーラム等で以下のデメリットが報告されていたためである。上記で触れた加速度センサーも、ケイデンスの値にタイムラグが出ることを考えると微妙な機能かもしれない。
・ゼロオフセット(という設定)が自動モードでしかできず、自動が上手く働かない場合に手動で行えない。
・重い。Rotorのスパイダーアームの場合、通常58g、CinQo付きは182g(+124g)だが、Power2Max付きは264g(+206g)
・CinQoよりもかさばっている(例えばTT用のアウターチェーンリングはバッテリーカバーと干渉するため取り付けれない)
・通常走行時にケイデンス表示に3秒のタイムラグが出る(ため、筆者はGarminのマグネット式のものを併用している)
・スロープ値をユーザが自由に変更設定できない(SRMは標準で、QuarqはQalvinというiPhone用オプションで調整可能)
ちなみにQuarqとPower2Maxの精度比較をしているサイトがあるのでご紹介させていただきたい。
power2max vs QUARQ 精度
こちらの結果を見ると、Quarqの精度の高さが伺えるのであった。
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