2014年第1戦 サンディフックタイムトライアル:エアロポジションがもたらすもの

スタート地点に並んで自分の発走を待つ。

雨脚はどんどん強くなり、ウォームアップしていたときはパラパラくらいだったのが普通に雨が降っている状態に。

それでも土砂降りじゃないだけマシだと思う。

ストレッチをしながら脚の状態を確認すると全くストレスや筋肉痛がない状態。

水曜日から回復モードに入っていただけあって脚の状態は十分。

そして自分の番がやってきてスタート。

スタート直後はスピードに乗るまで高出力。

スピードに乗った時点でギアを調整して巡航に入る。

激しすぎず弛めすぎず。

だが、出力よりも今回は気をつけていたことがあった。

それはポジションである。


■エアロポジションと空気抵抗

こちらのサイトに空気抵抗を軽減するためのポイントが、各種研究結果を元にまとめられているのでご参考いただきたい。

  Rider Aerodynamics

まとめとして挙げられている中でロードバイクでも役立つのがこちら

 ・ドロップバーのポジションをキープすること
 ・ジャージのジッパーは上まで締めること
 ・ウォーターボトルは中身が空でもつけた方がいいこと


後ろの2つは走る前に確認すればいいことだが、最初の1つは走っている最中にも常に気をつけなければならない。

そして最も効果が高いのもこのポジションである。

こちらの書籍、「ロードバイクの科学」を読んだ方も多いかと思うが、時速30kmの時点での抵抗は時速15kmの時の約5倍になる。転がり抵抗は一定のため、5倍のほとんどは空気抵抗が占めることになる。つまり、時速40km前後で走るようなタイムトライアルでは、出している力の大半は空気抵抗相殺のために使われているということである。



ちなみに同書によると、ブラケットポジションの空気抵抗を100%とした場合、バーの前を持った下ハンポジションは80%空気抵抗の相殺に使われている出力を200Wと見積もっても、下ハンの場合は160Wで同スピードを維持することができる概算になるので、多少出力が下がろうがエアロポジションを維持した方が効果も効率も高い

また、この冬、冷たい向かい風の中走り続けた平日のブロンプトン通勤で、ポジションの違いで速度が一気に変わってくることを何度も経験済み。

その結果、自分の中では多少出力が落ちてもエアロポジションをキープした方がよっぽど良い結果がでるということを経験からも実感していた。

ということで今回のタイムトライアルの目標は、「エアロポジションをとにかくキープすること」であった。


■無の境地へ

そんな経緯もあり、エアロポジションを重視して走っていると、まだスタートしてすぐなのにカメラマンがいる。

普段は最後の一番きついところでカメラマンが待っていて、写真うつりをよくするために(笑)崩れているフォームを直すため、チーム内ではフォーム矯正員と呼ばれている。

今回は往復のコースということもあって、スタート付近=ゴール付近にいたことになる。

あとから写真を確認してもちゃんとエアロポジションを維持できている。



往路はひたすら漕ぐ。

空気抵抗にならないように頭を低く保つ。

そういえばどっかの英語の記事で、「頭さえなかったら・・・」と頭部の空気抵抗を嘆くコメントがあった。

往路中間地点のミサイルを通過し、しばらくすると緩やかなコーナー区間に入る。



30秒前にスタートした前走者が見えてきたのでタイム差を計る。

彼が通過した標識を目印に、頭の中で数を数えていって自分が同じ標識を通過した時間を見る・・・と、15秒差ほど。

頑張れば追いつけるかなぁなどと考えていると復路を走っているいまっちさんともすれ違う。

いまっちさんは2分前にスタートしているので、同じようにタイム差を計ろうかと思った・・・が、特に目印を見つけてなかったのでどこだかわからなくなってしまった。

そうこうしているとフォートハンコックの折り返し地点に到着。



ググーッと減速して折り返す。

が、ここで予めギアを軽くしておかなかったので再加速で余計に脚を使う。

復路で巡航に入ってからは追い風ということもあってギアを一段上げる。

ポジションは相変わらず前傾なので、ハンドルバーのすぐ上にある頭から見える光景が固定される。

視界に入ってくるのは、ひたすら流れていくアスファルトの白線、前輪タイヤの回転とそのタイヤが上げる水しぶきだけ・・・。

左側から風が吹いているため、飛び上がった飛沫が右に流れて行く。

そしてそこからは無の境地。

過去も未来も消え去って、今この瞬間、直線に伸びる道路にタイヤの回転と飛沫のみの世界。

体は悲鳴を上げていて心臓も激しく動いているのに精神は明鏡止水、瞑想しているような状態。

というか、自分はこの世界を味わいたいから自転車に乗ってるんじゃないかと思えてくる。

途中2人を抜いたがそれがすぐ前に出た走者かもっと前に出て大幅に遅れている走者かはわからない(ゼッケンを確認する余裕もない)。

最後、フィニッシュラインが遠くに見えたら限界まで出し切ってゴール。




■リザルト

会場をあとにした後、リザルトがメールで届いたので見てみるといまっちさんより50秒ほど早いタイムでゴールしていた。

これまで走ってきていまっちさんより良いタイムを出せたのは初めてのこと。

今回はコンディション調整含めて出来過ぎてたのかもしれないが、競い合えるレベルまで近づけたことは嬉しい限りである。

というのも、これまでのレースでは同じレースに参加していてもスタート早々にばらけてしまい、チームメイトがいることの利点がレース中は全くなかった

この点、少なくとも同じ集団についていけるだけの力がつけば、集団内の足並みを乱れさせるためにカウンターアタックをかけるもよし、トレインを組んで力を温存するのもよしで、1人しかいない場合に比べて戦略の幅が大きく広がり、何よりもレースがもっと楽しくなる

理想的な形は、競い合いながら双方ともにレベルが上がっていくことで、それ以外の競争相手に対しても上をいけるようなイメージであろうか。

というのを図柄にするとこうなる・・・




アブゥ・・・





4 件のコメント :

  1. 競い合えるレベル、というより一気に差をつけられた感じもしますが…
    今回はポジションだけでなく集中力も違った様ですね。完敗です。
    2週間後のTTでどれだけ巻き返せるか、楽しみです。

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  2. 初心者ロードレーサー2014年4月6日 2:06

    アンディにフランクですね・・・。

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  3. 初心者ロードレーサー2014年4月6日 2:09

    いえいえ、普段の通勤トレーニングでは置いてかれてばかりなのでここぞというときのパンチ力の無さを痛感してます。特に坂のスプリントなんて今後のヒルクライムレースで重要な要素ですし・・・。
    次のTTはもう来週末ですね。新兵器は水曜到着予定なのでぜひ装着してきたいところですが・・・。なにはともあれまたよろしくお願いします。

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