エアロ道:消えた33Wを追え!

今年最初に走ったタイムトライアルであるサンディフックと、その次のアラムチー

サンディフックはスキンスーツを忘れて普段着で走ったから問題外としても、アラムチーでは去年に比べて平均出力は33W上がったにも関わらずタイムがほとんど変わっていなかった。

この点、風の影響や路面状況には大差なし。

それこそ舗装路からダートに変わったりすればそれだけの転がり抵抗があってもおかしくないが、同じ舗装路のルートでどちらも快晴。となると時速40km時の抵抗の大半は空気抵抗が占め、転がり抵抗による差は微々たるものであろう。

その結果行き着くのはやはり空気抵抗の差。

空気抵抗という点で、去年との装備の違いはホイールとフレームとアクションカム。


■アクションカム

純粋に自転車のスピードを考える場合、アクションカムは無駄な空気抵抗かつ無駄な重量になるので完全に余計なものである。

が、来年以降同じレースを走る際に、コースプロファイルを事前確認し、勾配やコーナーのRをチェックしておくのはレース戦略上有用である。



今年が最後のレースならともかく、今後のことを長期的に考えた場合、今シーズンは多少のハンディを負ったとしても装着しておきたい。

さらにブログをエントリするにあたっても、臨場感を伝える手段としてアクションカムで映像を撮っておくことで当時の画像を引用できる。ロードバイク乗りであると同時に、いちブロガーでもあるので、ブログのことを気にせずレースに集中する点でもやはり撮っておくと便利である。



ということでアクションカムは必要悪として、少なくとも今シーズンは受け入れていく。


■フレーム

フレームはいわゆる最近流行りのエアロロードとは違い、Emondaは純粋なヒルクライム仕様でエアロロードとはほど遠い。



その点では昨年以前使っていたMadoneの方が平坦用としては向いているのかもしれない。



とはいえ全体の空気抵抗に占めるフレームの割合はごくわずか。

ということで見直すべきはフレームの形状より乗る人間の前面投影面積に影響するポジション出しであろう。

ヒルクライム用ということもあり現状ではかなり高いハンドルポジションに加え、しゃくれたハンドルになっている。

平坦TTではハンドルをポジションを低くすることで強制的に前傾姿勢をとれるようにしてポジション改善をしていった方がよいのであろう。

ということでフレームというよりポジション出しは今後の課題として、少なくとも今シーズンの天王山となる40kmのタイムトライアルまでにはなんとかしておきたい。


■ウェア

ポジションの話しが出たところで服装にも言及すると、ジャケット&ダボダボ半ズボンで走ったサンディフックと、スキンスーツで走ったアラムチーのレース結果を比べると、やはりジャケットとスキンスーツの差は歴然。

コースも距離も、風の方向、強さも違うので、それぞれのタイムを純粋に比較することはできないが、一緒に走った他の選手との差を比較することでどれだけの効果があるのかを概算で知ることはできる。

この点、両方のレースとも走っている選手たちとの差を取ると以下の通り。(プラスは自分が差をつけられた秒数。マイナスは自分が差をつけた秒数。括弧内は両タイムトライアルでのタイム差の変動で、マイナス表示=それだけタイム差が縮まったということ)
  • vs 選手A:3:06→1:35 (-1:31)
  • vs 選手B:1:52 →0:37 (-1:15)
  • vs 選手C:2:27→0:08 (-2:19)
  • vs 選手D:1:12→0:03 (-1:09)
  • vs 選手E:0:14→-0:33 (-0:47)
  • vs 選手F:-0:02→-1:01 (-0:59)


もちろん相手選手のコンディションにも影響されるので、全員が全員とも同じタイム差が縮まっているわけではないが、それでも平均で1分半近く差を縮めていることがわかる。

自分自身のパワー出力はほぼ同じ(サンディフックとアラムチーで2Wしか違わない)なので、服装が違うだけでこれだけの差が出るということだろう。





この点、興味深いテストをされているのがこちらのサイト。

特集:人はどこまでエアロになれるのか?


詳細はリンク先のサイトをぜひご覧いただきたいが、関係のある部分のみまとめると以下のようになる。

Amazon BoxWheelウェアポジション30km/h35km/h40km/h
AMAZON BOXEASTON EC90SLXTシャツ+ウィンドブレーカーブルホーン320W425W618W
AMAZON BOXなしEASTON EC90SLXTシャツ+ウィンドブレーカーブルホーン310W420W535W
AMAZON BOXなしEASTON EC90SLXTシャツブルホーン非実施非実施445W
AMAZON BOXなしEASTON EC90SLXTシャツDH220W300W405W
AMAZON BOXなしEASTON EC90SLXサイクルジャージDH205W290W400W
AMAZON BOXなしZIPP808FIRECREST&ZIPP SUB9サイクルジャージDH230W275W380W
AMAZON BOXなしMAVIC CXR80サイクルジャージDH210W280W380W


まず気になるのはAmazon Boxの有無。

前面投影面積が重要なのはわかっていたが、Amazon Boxありとなしとでは40km/hに達すると80W以上の抵抗になる。

ちなみに自転車通勤で使っているブロンプトンは元々エアロ的なものが全く考慮されてない英国紳士の乗り物※であり、Amazon Boxを横にしたような形で、フロントにバッグをつける仕組みになっている。(※つまりパワーメーターつけてトレーニング用に使っている自分は邪道極まりない。本来ならレーパン姿ではなく、シルクハットを被って乗った方がいいような代物なのである)

自分はその中でも最大容量のTバッグという巨大な(31L入る)バッグをフロントにつけて走っているが、これを見る限り、高速域で走る場合はかなり強力なトレーニング負荷ツールになっているのであろう。



逆に35km/h以下ではほとんど差が出ないことを考慮すれば、だからこそ街乗り用のブロンプトンとしては利便性と機能性を兼ね備えたベストセッティングになっているのだと考えることもできる。


次に前を開け広げたウインドブレーカーを脱ぐことで、時速40kmを維持するのに必要な出力が一気に(90Wも)下がる。上記の両レースで1分半ほどタイム差を縮めれたというのも、まさにこの服装による違いであると再確認できる。

次の比較はブルホーンからDHバーに。ブルホーンはロードで言えばフードポジションに近いので、フードポジションからTTバイクのハンドルポジションに変えることで40Wほど稼げることになる。

その次の比較はTシャツからサイクルジャージに。間にブルホーンの比較が入ってしまっているが、Tシャツからサイクルジャージの違いでは5~15Wほど。


■ホイール

そして気になるディープリムホイールによる違い。40km/hで20W、35km/hでも15Wと、普段のTTの速度域で十分恩恵をあずかれるレベル。

ちなみにこの特集記事はMAVICのCXR80を検証するのが当初の目的。



40km/hでもZIPPのディスクホイールに対して同等のパフォーマンスを発揮しており、ディープリムの分ディスクよりも重量は軽く、30km/h域でも恩恵をあずかれるという無双ぶり。

いやぁ、この記事を見るとMAVIC CXR80が欲しくなってしまう。

ちなみに自分は11速化したこともあり、それまでのTTは、Emondaを買ったときについてきたAeolus 3 D3のクリンチャーをそのまま使用して参加。




今シーズンはTT中心になりそうだし、ちょうど11速用のディープリムホイールをゲットしたいところだったのでちょうどいいかもしれない・・・。


2 件のコメント :

  1. 40km/hの時エアロホイールで20Wも軽減できるのか・・・。
    いつも参加している15kmTTでエアロホイールを使えば目標のロードバイクで40km/hが達成できそう・・!
    39km/hまではきているので。
    しかし日本への帰国を目前にしてカナダで買うわけにはいかない・・。

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    1. たしかにホイールはかなりかさばるので輸送が厳しいですね。海外発送でなく一緒に持って帰ろうとしても通常のスーツケースに入らないのでオーバーサイズ確定ですし・・・。

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