日本、香港、アメリカに見る老後の資産準備



以前の訃報を受けて、いろいろ考えてしまう今日この頃。


ちなみに私は普段香港のTVを見ているのだが、その中の時事特集番組でまたまた考えさせられた。


香港の時事番組にみる老後の二極化


「星期五檔案(Friday Report)」という番組で3月25日に放送された「老而不out」、日本語に訳すなら、「老いては益々壮ん」といったところか。

タイトル通り、内容は退職後の第二の人生を謳歌する人々を特集したもの。



ファッションに目覚めたおじいさんや、素潜り、サイクリング、ローラースケートに精を出すおばあさんなど、60を過ぎていても「お婆さん」という言葉を使うのが憚られるくらい若々しい。

同年代の友人に囲まれ、ハイキングに、カラオケに、毎日アクティブな日々を送っている「高齢者」が映し出されている。


一方で、同じく時事特集番組の「新聞透視」で、3月23日に放送された「擺街」。特集のテーマ自体は、香港だけでなくニューヨークでも見ることができるカート式移動販売の免許制についての話なのだが、その中に登場するのは、76歳になっても焼き芋を売り、一日朝から晩まで働き続けるお爺さん。カートが出す煙に対して近隣住民からクレームを受けたりしながら細々と焼き芋を売り続ける・・・。




かたや老後を謳歌する人々、かたや働き続けて日銭を稼ぐ老人・・・その差はどこからくるのか・・・。


その頃日本では・・・


そんな折、日本の雑誌でも同じような特集がされていた。

4月15日の週刊ポストの特集「上流老人、中流老人、下流老人の高齢者格差」。

悠々自適の上流老人と、老後の蓄えが逼迫している下流老人の差を特集しているが、まさに香港の事例が頭をよぎった。

60代の34.5%が資産500万円未満の下流老人に該当


そして4月16日の週刊現代の特集は、「60過ぎたら働きたくない人はダメな人なのか」。

60歳でやっと社蓄生活からおさらばできると思っていたら定年が65歳に。

「一億総活躍社会」の名の下、死ぬまで「活躍」させられ続ける実質的な経済奴隷たち。


ああ、日本に住んでなくてよかった。

と思っても、そうは問屋が卸さない・・・。


アメリカも負けてはいない・・・


日本よりもある意味先を行っているのがアメリカ。

65歳年金受給の日本に対し、アメリカではすでに日本の年金に相当するソーシャルセキュリティーの受給年齢は67歳にまで引き上げられている

日本以上の格差社会かつ高学歴社会のアメリカでは貧富の差も激しい。

そして格差社会と高学歴社会は結びついており、例えばハーバード大学では、「年収50万ドル(約5500万円弱)を超える家庭は全米の約1%に過ぎないが、ハーバードでは14%に達する」。さらにハーバードでは、両親がハーバード出身の子を「レガシー」と呼び、レガシーかどうかが合否判定に考慮されて有利に働く(と公式ページで明言している)。しかも「両親の合計年収が高いほどレガシーの比率は高まり、年収50万ドル以上という超富裕層では、43%の学生がレガシーだった」という。

東大よりもハーバード


「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」

まさにピケティの理論さながらである。

ちなみにピケティを持ち出すまでもなく、アメリカでは税制自体も「富める者はますます富む」ようにできている

こちらにウォーレン・バフェットのコメントが載っているが、彼が2010年に払った税金の税率は17.4%。

Warren Buffett’s Call for Higher Taxes on the Rich(英語、PDFリンク)


彼のオフィスの従業員(もちろんバフェットより稼いでいない)が払っている税率は33%~41%で平均は36%。

つまり、ビリオネアの投資家バフェットは、上記サラリーマンの半分以下の税率しか適用されていない。(ちなみに注記しておきたいのは、上記レポート上では、バフェット自らその不公平を指摘して、その是非はともかく、もっと税金を課すように要求しているという点である)

このカラクリはアメリカの税制にあり、例えば長期保有している株の配当(Qualified Dividend)やキャピタルゲインは15%や18%といった低税率が課されており、先物取引による利益はたとえデイトレで稼いだとしてもその60%は長期保有したものとみなされて上記と同じ低税率の対象となる。(もちろん日本の青色申告と同じように非サラリーマンは各種経費計上して節税できるというのもある)

そしてソーシャルセキュリティタックスと言われる社会保険料は、給与所得の場合給与天引きされるが投資所得には賦課されない。つまり、簡単に言えば「サラリーマンは払わないといけないが投資家は払わなくていい」。


ということで、税制面からも「金で金を稼ぐ方が効率が良い」という、資本収益率>経済成長率の理論が当てはまってしまうわけである。

一方で、老後に働けなくなることを考えれば、好むと好まざるとに関わらず、誰もが最終的には投資家にならざるを得ない(または死ぬまで貯金を取り崩すか)。

退職金そのまま使う?2~3倍に育てながら使う?

老後と投資はセットで考えなければいけないし、逆に老後になる前に、種銭的な意味も含めて投資環境を準備しておかないと、給与収入がなくなってからの挽回は不可能に近い。

高所得でも貯蓄なし 老後貧乏招く超メタボ家計


国が破綻するより先に老後破綻は避けたいものである・・・。

老後の資金1億円って本当?どう準備する?







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