香港映画レビュー:葉問

今年は家族が先に帰省していたこともあり、香港旅行前後の1人の時間や移動中にいろいろと中華圏の映画を見てきたのでご紹介していきたい。

一番の目的は、映画やテレビといった映像メディアや本は、見たら見っぱなしになって、えもすれば時間を消費しただけで終わってしまうので、ここでご紹介しつつ振り返ることで、なにかしらのアウトプットを残しておきたいためである。


ということでまずは葉問(イップマン)。

葉問とは人の名前で、詠春拳という中国拳法の達人。弟子には李小龍(ブルース・リー)がいたことでも有名である。

葉問というタイトルの映画やドラマはいくつもあるが、ここでは日本でも公開された甄子丹(ドニー・イェン)主演の映画について。

ちなみに甄子丹主演の葉問シリーズは3作ある。3作目のみ日本ではまだ未公開(2017年4月22日日本公開予定)となっているので、ネタバレされたくない方は「葉問3」の箇所は読み進めないようにしていただきたい。

  1. 「葉問」(邦題は「イップ・マン 序章 」)
  2. 「葉問2」(邦題は「イップ・マン 葉問」)
  3. 「葉問3」(邦題は「イップ・マン 伝承」)

ちなみに音楽はあの川井憲次が担当。




葉問(イップ・マン 序章)


1作目からすでに詠春拳の達人として登場する葉問。




武術が盛んな佛山(日本の漢字では「仏山」、広州市の隣、香港の北西に位置する都市)で生活する葉問のもとに、北拳を使うならず者が腕試しに来たりしてそれを向かい打つ。




香港映画っぽいのは、山賊のような身なりをした「北から来た野蛮人」は中国語を喋り、それに対して広東語を話す葉問たちが立ち向かうというところ。




そして時は1940年代、さらなる「野蛮人」である日本軍が佛山を占領する。

ちなみに日本軍の通訳兼現地警察として登場し、中国人と日本軍の板挟みになる李釗が「俺は日本軍の手先じゃない」といって、「ワタシハチューゴクジンデス!」と叫ぶ日本語はこれまた感慨深い。同胞に責められながらも調整役として事を荒立てないように通訳(というより全然違う訳)をしてみせたりと涙ぐましい努力をしている。




ここで10人の空手家を相手に立ち回るシーンは有名で、負かした人数分褒美の米を与える日本軍に対し、「我要打十個!」(私は10人相手に戦う!)というセリフはその後の中華系テレビでパロディーとして使われたこともある。



冒頭で出てきた北拳使いは本物の山賊となり工場を襲い、葉問はそれを助けるために工場の人々に詠春拳を教える。




クライマックスは池内博之扮する三浦将軍との戦い。



勝利するものの銃弾に倒れ、重症を負いながら香港へ逃げることになる。




葉問2(イップ・マン葉問)


香港に移住した葉問。

実際は香港も日本軍に占領され、3年8ヶ月の占領期間があるのだが、そこのあたりはすっ飛ばして戦後の話。

イギリスの植民地に戻った香港で詠春拳の道場を開設するが門下生が集まらない。



なんだかんだあって門下生も集まってくるが、他の道場を経営する洪金寶(サモハンキンポー、「動けるデブ」として一世を風靡した)に邪魔されてしまう。



ここでの見所はもちろん動く洪金寶。動く、動く、いつもより多めに動いております。



洪金寶は洪震南という役名で、洪拳※の道場主として登場。香港武術界の頂点に君臨し、警察当局とも裏で結びついているが、一方で香港の犬としてイギリス人の警察幹部から差別的な扱いを受けている。(※ちなみに洪金寶だから洪拳というわけではなく、洪拳は実際に存在する中国南拳の門派の1つ)

そんな中、宗主国のイギリスからボクシングのチャンピオン※が来港し、地元香港の拳法家と試合をすることに。(※あとでググって知ったのだが、チャンピオンを演じたダレン・シャラビという俳優は2015年に動脈硬化で亡くなっている)



香港人をバカにするチャンピオンに洪金寶が立ち向かう




が、返り討ちにあい殺されてしまう



記者会見で中国拳法をディスするチャンピオンに敵討ちよろしく葉問が名乗りを上げる。



見事イギリス人チャンピオンを倒し、声高にみんな同じ人間だと平和を叫ぶ、まるでどこかで見たことあるようなロッキー4的展開。




最後に子ども時代のブルース・リーが葉問の元を訪れるのは次作への伏線か。


葉問3(イップ・マン伝承)


香港での道場も順調に進み、門下生も増える。

青年になったブルース・リーも訪ねてきて教えを請われる。




全ては順風満帆に見えたが、子どもの通っている学校に地元の黒社会(ヤクザ)が近づき、いざこざが発生する。

子どもが誘拐されたりしながらも、最後は黒社会のボスのもとに葉問が乗り込んでマイク・タイソン演じるボスと一騎打ち。

「3分間立っていられたら見逃しやる!」と吼えるマイク・タイソンが「三分鐘!(サンファンヂョン!)」と広東語で叫ぶシーンは必見。



フックを喰らって体が吹っ飛んで壁に叩きつけられるシーンなど大袈裟なまでのパンチ力・・・、まるでストリートファイターのマイク・バイソンを見ているよう。




マイク・タイソンとの戦いを終えた葉問だったが、黒社会とのいざこざのときに共に戦った張天志※が、「俺の方が正統な詠春拳伝承者だ!」と、詠春拳道場を開設して対抗する。(※演じているのは張晉という中国大陸重慶出身の俳優。本人が喋っているマイク・タイソンと違い、香港人という設定なので広東語の声優によるアフレコがされている)

ケンシロウとジャギのようにお互いの拳法の伝承をかけて戦い、そして勝利。



自らが正統な伝承者であることを証明したのであった。


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