インポッシブルバーガーとは
2011年にシリコンバレーで創業されたスタートアップ企業であるインポッシブルフード。
インポッシブルフードが、グーグルやビル・ゲイツ、香港の李嘉誠やシンガポールのテマセク・ホールディングスといった一流企業・資本家の出資を受けて開発したのが植物ベース(plant-based meat)で作られた植物肉(擬似牛肉)。
その植物肉を使ったハンバーガーこそ、インポッシブルバーガーである。
ちなみに蛇足だが、インポッ・シブルバーガーではなく、インポッシブル・バーガー(Impossible Burger)なので、読者諸兄にはくれぐれも区切る場所を間違えたり略したりせずにお読みいただきたい。
このインポッシブルバーガー、動物肉を使わずに牛肉のパティと同じ味わい、食感を実現するということでメディアでもたびたび取り上げられたことがある。
なお、植物肉のパティを開発している2大ブランドとしてビヨンドバーガーとインポッシブルバーガーがあるが、ビヨンドバーガーはパティを消費者向けに店頭販売しているのに対し、インポッシブルバーガーはレストランを主な対象として卸している。
インポッシブルバーガーを食す
ということで今回訪れたのはロックフェラーセンターにあるBill's Bar and Burger。
メニューを見るとサイクリストにとっては悪夢のような、肉、肉、肉、そして加工肉にチーズばかりが並ぶ。
が、その中で一際異彩を放つImpossible Burgerを頼む。
ハンバーガー単品でポテトもつかないがお値段は12.95ドル(≒1400円)。これに消費税、チップが加わって16ドルちょっとになるので日本円で1700円以上になるが、これがマンハッタン価格・・・。
待っている間に同僚が頼んだバニラシェイクが運ばれてくる。この店には、インポッシブルバーガーとは逆を行く超高カロリーシェイクもあり、チョコレートブラウニーに加えてM&Mまで貼り付いているという恐ろしさ。
そしてインポッシブルバーガーと初対面。
チーズが乗っているのが残念だが、Dairy Product(乳製品)はImpossibleの対象外で、あくまで動物肉だけを避けているらしい。
いざインポッシブルバーガーを口に運んでみると・・・普通に美味い・・・!
インポッシブルバーガーの仕組み
赤身部分の発色まで再現しているのはさすが。食事とは舌だけで味わうに非ず、香りと見た目、嗅覚と視覚も大きく影響することを考えれば赤身の再現は高評価である。
インポッシブルバーガーの研究開発では、分子レベルで動物肉の構造を解析し、同じように植物肉を作ったということで、味覚音痴との誹りを受けるアメリカ人にここまでのクオリティーが出せるとは思っていなかった。海原先生も草葉の陰で驚いていることだろう。
あとで詳細を調べてみたところ、そもそも牛肉パティの特徴を出しているのが、血を紅くし、酸素運搬に関わるヘム(Heme )という分子。
サイクリストにとってはお馴染みのヘマトクリットの接頭辞であるHem-も、このHemeと同じ意味である。
この分子は動物の筋肉に多く含まれるものの、植物にも含まれており、この植物由来のHeme(詳しくはマメ科の根っこにあるHeme)をベースに牛肉パティと同じ食感、見た目を実現したのがインポッシブルバーガーだとのこと。
インポッシブルバーガーのNutrition Facts
実際にパティ部分のNutrition Factsを見てみる。
従来の牛肉パティと比べたインポッシブルバーガーの特徴は、コレステロールがゼロ、プロテイン割合が高く脂肪が少ないこと。
こちらが公式サイトで公開されているNutrition Facts。
なんとプロテイン(タンパク質)は20グラム!
タンパク質は1グラム4kcalなので、220kcal中80kcal(36%)がタンパク質で構成されていることになる。
そして炭水化物が5gなので20kcal。脂肪は13gで1g=9kcalなので117kcalと分解できる。
やはり脂肪が多く、特に植物性に多い不飽和脂肪酸ではなく飽和脂肪酸が多いのが玉に瑕だが、サイクリストにとっては牛肉、加工肉と比べれば十分妥協点とできる水準だろう。
インポッシブルバーガーのデメリット
ここまで良い点ばかりを強調してきたが、デメリットはないのかと言われれば、まず気になったのはボロボロしやすいところ。
ここは脂身というか「つなぎ」の問題なのか、牛肉比べて簡単に崩れてしまいボロボロ細かく砕けやすい。
そして、さはさりとてやはり飽和脂肪酸が多いということだろうか。まあこれも肉汁にあたる成分を出すにはしょうがないのかもしれないが・・・。
もともと牛肉の代替品なので、尿路結石のせい(おかげ?)で最近めっきり牛肉自体を食べなくなった自分としてはそこまでのメリットは感じられない。
あくまで牛肉を食べる代わりならいいのだろうが、それ以前に牛肉にそこまでの食欲がない人にとっては普通に別の食事(豆腐料理なり)で十分だしその方が健康といえる。
ただサラリーマンをしている自分にとっては、付き合いでアメリカンレストランに食事に行くこともしばしば。
特に来月控えている西海岸への出張ではオフィスのほとんどはアメリカ人・・・。
ひたすらアメリカンなランチ&ディナーに連れて行かれそうなので、困ったときの選択肢としてこういった植物由来のメニューがあるのは助かる。
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