海外で感じるダイヤモンドプリンセス号の報道違和感

現在進行形の新型コロナウイルス(COVID-19)は情報氾濫気味で自分がエントリする必要もないだろうが、一方で海外に住んでいるからこそ入ってくる情報が日本と違う場合もあるので、それをシェアすることで付加価値を提供できるのではないかと思い今回のエントリに

ちなみに自分の情報源としてはアメリカローカルのニュースに加えて香港のニュース番組はほぼ毎日見ており、今度台湾に寄ることを計画しているので最近は台湾のニュースも見ている。

そして国内と海外の報道の違いを感じたひとつがダイヤモンドプリンセス号に関する報道。

最初に違和感を感じたのがこのニュースを見たときだった。

「報道各社はWHOの方針も踏まえ、日本国内の感染者とクルーズ船の感染者を区別し、より適切な事実関係を発信していただきたい」と要請した。

政府関係者は「クルーズ船は日本にたまたま寄港しただけだ。日本の感染者数に含めるなら船を受け入れる国はなくなる」と不満を示した。外務省幹部は「中国と同様に日本に対しても入国制限措置を取る国が広がりかねない」と警戒する。

政府、クルーズ船感染者の「日本」集計除外に躍起 中国以外では桁違いの多さ

「クルーズ船は日本にたまたま寄港しただけ」ということだが、日本の横浜港発着で日本人の乗客が一番多いのだから、海外で日本に含めて報道されるのももっともだと思う。たとえば台湾の民視新聞では日本の感染者数に内訳なしでクルーズ船含めた数が報道されている。



それに統合型リゾート(IR)を推進する横浜市を母港として発着するカジノリゾート船で、当初の旅程通り横浜港に帰ってきたのだから、「たまたま」でもなんでもなく、「日本はとばっちり」的な発言は事実と大きく異なる



この点、(単に自分が見てないだけかもしれないが)日本の報道を見ると航路について触れているものが少なく感じた。



ちなみに船籍がイギリス(2014年まではバミューダ)、運営会社がアメリカということで日本に含めるのはおかしいという報道もあるが、国際クルーズ船が(規制の緩い)海外船籍を持っていることは普通のことで、そんなこといったら船を作った造船会社は三菱重工である。

そもそも感染者数の発表は、感染者の現時点での所在国・地域であって感染者の国籍ではないので船の国籍がどこかで判断するのは論点がずれている。実際、欧米で初の死亡者として報道されたパリの感染者は、中国籍を持つ湖北省から「たまたま」来た観光客だった。

2月15日、フランス国内で初めて新型コロナウイルス感染による死亡が確認されたと発表した。死亡したのは80歳の中国人男性で、観光客としてフランスに1月16日に入国、1月25日からパリ市内の病院に入院し治療を受けていたが、状態が急激に悪化し、死亡した。

新型コロナウイルスでフランス初の死者、感染者数は12人に

海外のニュースではダイヤモンドプリンセス号の旅程や乗客の内訳人数も報道されていて、国外のWikipediaにも以下の乗客明細が載っている:乗客2508人(日本人1285人、香港人470人、アメリカ人425人、カナダ人215人、イギリス人40人、ロシア人25人、台湾人20人、イスラエル人15人、ニュージーランド等13人)、乗員1063人



ちなみにダイヤモンドプリンセス号内にはカジノもあり、日本発着とはいえ日本の領海外では合法でカジノが楽しめるようになっている



そしてこちらのニュースによると、船内で感染情報がアナウンスされた2月3日の18時半より前の14時には理由も告げられないままカジノが閉鎖されていたという。

But at 2 p.m., the cruise ship staff had shut down the casino, giving no reason, Gunia said. Bummer — she and her husband had wanted to play bingo, but they chalked it up to there being “something wrong with the boat.”

How a dream cruise ended with a novel coronavirus quarantine

清掃なしに不特定多数の人が触るものと考えると、トランプ、スロットのバー、ボタン等々、カジノ内にはいろいろ感染経路候補がありそうで、真っ先にクローズされるのも納得がいく。

以下の日経ビジネスの記事はまだ新型コロナウイルスが問題になってなかった昨年8月と11月のことだが、IR誘致やカジノ法案に伴う行政・政府側の思惑を鑑みると、詳細を報道して欲しくない大人の事情が垣間見えてくるのであった。

横浜市がカジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致する方針を固めたと報じられた。カジノ誘致に対しては住民や地元経済界の意見も分かれるなか、林文子市長が誘致に舵(かじ)を切った。

カジノを含むIRの誘致は港町のブランド復活につながるか。誘致の成否を含め、その行く末は成熟した社会、経済がどう生きていくかを象徴する事例となるだろう。

カジノ誘致に舵切る横浜市、港町としての地位低下に危機感

10月31日、横浜市の新港ふ頭に客船ターミナルと商業施設、ホテルからなる複合施設「横浜ハンマーヘッド」が開業した。CIQ(税関、出入国管理、検疫)の機能を持つ国際客船ターミナルと商業施設が一体化した国内初のケースだという。

クルーズ船によるインバウンド(訪日外国人)のさらなる増加が見込まれる中、今年8月には横浜市の林文子市長がカジノを含む統合型リゾートを同市に誘致すると表明した。しかし、港湾事業者らが所属する団体や一部の市民はカジノ誘致に反対している。

カジノ誘致で揺れる横浜、「過去の遺産だけで未来は開けない」

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