弾けたバブル
連日ボラティリティの激しいマーケット。
底を打つのはいつなのか。
津波が来る前に高台に非難済みのみなさんは、キャッシュポジションを増やして次の仕込みのタイミングを模索している状況かと思う。
当時ダウがまだ25000円前後だったころに、YouTubeのチャットで「おれの401Kが死んでいく」とコメントしている人がいたが、ショックが起きたときには401Kのような老後のために必要な資金こそ防御力に極振りしないといけない。
幸い自分は最初に1000ドル以上暴落して27960ドルをつけた2月24日時点で401Kの株式系ファンドをほとんど引き上げたので、ありがたいことに今回のコロナショックはほぼ無風で済んでいる。
というのも、これまで史上最高値を更新し続けていた株価が、もともとパンパンに膨れ上がったバブルだったことはわかっていて、いつ破裂するかと待ち構えていたから。
逆イールドもすでに起こっていたし、景気後退の兆しはそこらかしこに出ていてババ抜きの最終段階に近かったこともあり、最初の暴落でこりゃやばいという判断ができたのは我ながらうまく立ち回ったと思う。
日本のように社会保障がしっかりしておらず、医療費も税金も固定資産税もバカ高いアメリカ。なけなしの老後資金までなくしてしまったらそれこそ定年退職どころか死ぬまで働かなければいけないので文字通り死活問題になる(まだこれからそうなる可能性もあるが・・・)。
過去の経験則が通用しない世界に突入
ぶっちゃけ自分は元々ダウが2万円台近くまで下がると思っていた。
それは単にマーケットの過去のチャートの動きから判断した場合で、直近のリセッションだったリーマンショックと同じような動きをすると仮定すればそのあたりが底になりそうだったから。
が、今の状況を鑑みるに、リーマンショック以上のインパクトを持つであろうこの状態ではもはや過去のチャートだけで判断するのは危険すぎる。
「これだけ下げたんだからそろそろ上がるはずだ」といった感覚に基づいたポジショニングはご法度。
マーケットのボラティリティが高いこともあり、下げた分をすぐに取り戻すかのように反発しても、次にさらなる下げがくるだけ。
というのも、前人未到の最高値をつけていたところに、ブラックマンデー以降起きたことがないほどの急激な角度の下げという、これまでの平時での判断が通用しない値動きになっているから。
こうなると、これまでの普通のマーケットで経験してきた「これだけ下げたからリバウンドするはずだ」や、「ここがサポートラインになる」といった通常のマーケット状態での経験則や感覚で判断することは命取りになりかねない。
ではマーケットが底を打つ判断基準はどこになるのか。
底を判断するための第1条件:先行指標として注目すべき感染者統計
自分はコロナウイルスの感染者数推移がひとつの分水嶺になると思っている。
注目すべきは今回の引き金となったコロナウイルスのパンデミック状況であって、決して中央銀行が0%まで利下げしたとか、ETFの購入額を倍増するとか、1兆ドル規模で緊急の経済対策をすると言った金融政策や財政政策ではない。
なぜなら、金融政策や財政政策は悪くなっていく経済の応急処置でしかなく、コロナウイルスの拡大を防ぐと言う根本的な解決方法にはならないから。
例えて言うなら、虫歯が原因で歯が痛いときに、金融政策や財政政策は正露丸を詰めて痛みを和らげるようなもので、それはウイルスの撲滅=歯を削って虫歯をなくすという根本的な治療にはなっていないということに他ならない。
それはある意味当然で、緊急事態宣言や感染拡大防止策の発表で一喜一憂してマーケットは瞬間的に戻したりもするが、その効果が実際の感染者数抑制に反映されなければ単に失望売りに変わるだけであり、そして実際に今日までの大幅な下げ→大幅な戻し→大幅な下げを繰り返している状況はまさにその期待と失望が交錯した結果といえる。
では具体的に新型コロナウイルスの感染拡大状況をチェックしてみる(以下グラフはWikipediaより)。
なにより注目したいのは、世界全体での感染者推移。
元々中国で爆発的に拡大した感染者であるが このチャートを見るとわかるように、すでに中国や韓国といった初期の感染拡大国の増加は逓減してきており、今ではそれ以外(Others)の増加が多くを占めている。
一方で合計の感染者数を見ると、むしろ中国で騒がれていた時より今の方が1日あたりの増加数が多くなっていて、まだ世界的には収束どころか感染拡大中の真っ直中であることがわかる。
次に注目したいのはアメリカ国内での感染者推移(Wikipedia)。
ご存知の通り、ロンドンのシティのような国際金融センターと違い、ダウやS&P500といったアメリカのマーケットはある意味巨大なローカル市場。
マクドナルドやアップルのように世界中でビジネスをしていて収益構造に占める国外の割合が高いグローバル企業もあるが、あくまで米国株が注目するのはアメリカの経済状況。
実際今回のコロナウイルス禍が起こった時に、まだ東アジアだけで増加していた初期の頃はここまでの下落にはなっていなかった。
よって、企業決算でEPSと売上高双方の事前予想越えが求められるように、世界全体の感染者推移とアメリカ国内の感染者推移の双方で増加傾向の歯止め、または感染者数の前日対比での減少傾向が出るようにならないとマーケットが底を打つのは難しい。
それが底を打つための第1条件だと思っている。
ちなみになぜ第1かと言うと、それは単なる先行指標に過ぎず、実際にはそこで一気に反発するとは考えていないから。
底を判断するための第2条件:2020年第1四半期の決算発表
では次の条件とは何か。
それは2020年第1四半期の決算発表の御祓(みそぎ)を終えること。
コロナショックを織り込んだ、大幅に悪化した企業決算を一通り終えて、そこで悪かった企業の株価がもう一段階下げて、その影響が株価に織り込まれた後。
なぜなら、感染者数はあくまで各国政府の大本営発表でしかなく、実際のところどれだけ経済に影響が出ているのかは結果が出てみないと分からないから。
日本や当初のアメリカのように単に検査数が少ないせいで、感染者数が抑えられているように見える場合、実際のインパクトはもっと大きいかも知れないのである。
それが意図的であれ(感染者数ゼロを貫いている北朝鮮のように・・・)どうであれ、実際にどれだけの影響が出ていたかが判明するのは企業決算の発表まで待つ必要があるかもしれない。
ということは第1四半期の決算発表が集中する4月下旬から5月前半あたりが一つの節目になると思っている。
が、もちろんコロナショックの影響が4月以降まで及んで長引く場合、第2四半期にも影響してくるので夏以降まで気を抜けないことになる。
そしてニューヨークでは営業や外出制限が最低でも4月下旬まで続き、ピークは5月頭なんて言っている現在の状況を見ると、むしろその蓋然性はかなり高いといえる。
底を判断するための第3条件:大企業の連鎖倒産
さらに第3条件として、リーマンショックの時のベアスターンズなりリーマンブラザーズなりのように立ち行かなくなって倒産する大企業※が出てきて、それに連なって連鎖倒産が起こり、その御祓も終わった段階が仕込み時だと思っている(※ベアスターンズは正確には救済合併による消滅だが)。
もちろん予想より早く収束したり、大規模な経済対策が行われて、もっと早めに底を打つかもしれない。
が、どこまで下落するのかが読めない状況になっている以上、早めに飛びついて落ちるナイフを掴むリスクを冒すより、じっくり待って底を見極めてからで十分だと思っている。
たとえばVIXとS&Pの動きを見てみると、リーマンショックのときはVIXが最高値をつけた後もS&Pはそこからさらに下落していった。今回は違うかもしれないが、ボラティリティも平常に戻している最中のときは手を出さずに待った方が安全だろう。
というのも、上昇相場中の「調整」であるV字またはU字型の動きと違い、ショックで景気後退入りしたときはL字型の動きをして長い時間をかけて回復していくから。
時間軸的なイメージとしては3年かけて上げたのを3週間で失い、そこから半年うにうにしてから3年くらいかけて戻すような感じ。
下げる速度の方が上げる速度より速い以上、下げてる途中ではなく上げてる途中で買う方がよっぽど合理的で、となると重い腰を上げるのは今年の夏または秋辺りになってからでも十分だと思っている。
大底からは急騰するかもしれないが、投機をしているならともかく老後資産の確保のための長期運用であれば頭と尻尾はくれてやればいい。
大底でも底値でもなく、10年単位で見た場合の「底値圏」で掴んでいればいいのだから、底を確り確かめてから時間をかけてゆっくりと仕込んでいけばいい。
0 件のコメント :
コメントを投稿