正伝三国志の運営会社を調べた結果、中国語版を比較プレイしてみた

謎に包まれた運営会社

自分はリリース後に知って特典をもらえなかった正伝三国志だが、事前登録では最終的に15万人までになり、その後20万DLも越えたらしい(というかこの顔は、「腹が…減った…」の井之頭五郎だろうに)。
ロマサガRSの2000万DLや、オクトラがリリースから1カ月経たずに1000万プレイヤー突破したことに比べると桁が違うが、個人完結型のRPGではなく、プレイヤー同士で戦うオンライン対戦型でこの数字は大きいし、大人の三国志と謳うだけあって課金率も高そうなのでそれなりにビジネスになっているのだと思う。

ちなみにゲーム内ではVIPレベルでだいたいどれだけ課金してるかがわかるが、自分が入っているサーバー内でみかけただけでも40万円を超えている人が普通にいる

遊んでみるとたしかにすごくよくできている。

プレイヤーを飽きさせない難易度調整、いきなり強いプレイヤーにやられないようなサポート機能、次々にニンジンを目の前にぶら下げていく各種インセンティブ、さらには良い具合にプレイヤー同士を競わせて課金に走らせる仕組みには感心したダークパターンに該当する「あおり」も多いが)。

これだけしっかりできたゲームなら、さぞかしコーエーとかの大御所三国志メーカーが絡んでるんだろうと思って調べてみたらどうやらそうではないらしい

それどころか、これだけ有名俳優や有名声優を起用して大々的にやっている一方で、運営会社の情報が全然みつからない(※おっさんの自分でも大塚明夫と置鮎龍太郎くらいは知っている)。
ちなみにプレイストアや日本のアプリサイトでは会社欄にERAGAMEと表示されている。


ログイン画面のアカウント連携でもERAGAMEの文字が出てくるのだが、ERAGAMEのウェブサイトを見てみても、画像すらエラーでちゃんと表示されず公式サイトと言うにはほど遠い作りで、有名人を起用した大々的なPRや、ゲーム内の細部まで作り込まれた出来との落差にさらに謎は深まる・・・

この点、さらに調べてみると運営会社は七七游(ナナナナユウ、中国語ではチーチーヨウ)という中国の企業らしく、ERAGAMEはおそらく七七游のユーザー管理プラットフォーム的な別名なのだろう。

ホームページをみてみると、正式名は「广州七七游网络科技有限公司」。2016年に広州で起業したITスタートアップ企業っぽい。

発行産品の中に正伝三国志もあったので間違いなさそう。

が、絶対中国語版のローカライズだと思ったのに、中国語版の紹介がどこにもなく、中国語サイトなのに正伝三国志の説明部分だけ日本語という状態。

中国語版は三国志威力無双

そもそも中国語版のローカライズだと思ったのには理由があり、ゲーム内でところどころ日本語訳が変だったり、簡体字が出てくるところがあるのである。

たとえばこの画面では「進入」が簡体字の「进入」になっているし、書物の中身を見るのだから、そもそも日本語では「進入」というより「開く」とか「見る」とかの訳の方が自然だろう

こちらでは残り時間の「時」が簡体字の「时」になっている

さらに画面遷移では一瞬簡体字が表示されてそのあと日本語で上書きされたりと、明らかに「中国語版がベースで、それを日本語化しましたよ」感が溢れている

が、正伝三国志について中国のサイトを調べてもまったくヒットしない・・・。

かろうじて出てくる中国語の情報と言えば、「正伝三国志が日本でリリースされました」といったもので、元の中国語版についての情報は無し。

こうなったら手当たり次第、最近中国でリリースされている三国志のスマホゲームをチェックしていく。

と、同じ画面のものが見つかった・・・。
その名も「三国志威力无双(三国志威力無双)」。

七七游との資本関係はわからないが、配布会社は北京慕远科技有限公司、開発会社は霍尔果斯天游网络科技有限公司となっている。

なお「霍尔果斯」はコルガス市のことで、カザフスタンとの国境近く人ある新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州に位置する県級市とのこと。

北京の慕远科技は中国のシリコンバレーである中関村にあるIT会社。中関村といえば20年近く前、ブリッジSEとして中国のベンダーとアプリケーション開発をしていたときに出張でいったことがあるが、もう下請けじゃなくてこういうアプリをメインで開発して世に送り出すようになっているんだなぁと思うと隔世の感がある。
中国では去年6月にバージョンゼロ(ベータ版)が出ていたらしい。

ちなみに日本では松重豊が起用されているが、中国語版は台湾の蔡康永(という作家兼芸能人らしい)が代言人(イメージキャラクター)となって宣伝している。

正伝三国志の中国語版の三国志威力无双をプレイして比較

ということで早速インストールして試してみる。
が、中国では当局規制で実名制となっているので身分証番号を入力しないと始められないということでいきなり終了かと思われたが、身分証を登録しない場合は1時間のテストプレイだけ可能とのことでとりあえず進む。
そしていきなり驚かされたのがサーバ数。

日本では10番目のサーバがオープンしたばかりだが、41番目まである。さすが10億人を越える本場三国志の国。

ゲームが始まると流れは一緒。関羽のグラフィックも一緒で違うのはもちろん中国語表記になっているのとボイスも中国語になっているくらい。

ボーナスは日本よりも甘い感じで、いきなり趙雲がもらえたり、孫尚香が最初の目標達成でもらえたりと大盤振る舞い。

7日間ログインでも日本と同じく趙雲がもらえるので簡単に★を上げられる。
課金も日本より豊富で、趙雲が約1600円でゲットできるのでもはや趙雲の大安売り。

馬超が5000円、荀彧は1万円となっている。

その馬超だが、なぜか馬超だけグラフィックが日本版と違う

こちらは日本版。

こちらは中国版でステータスやスキルは全く一緒。うーん、なんで馬超だけ描き直しさせたのか意味がわからん・・・。

ボーナスの種類が多いこと以外は日本とほぼ一緒。中国版で先に開放されている武将がいるかと思ったがゲットできる武将も今のところ日本と同じ。

チャット機能もまったく同じで、日本と同じように勲功稼ぎのやりとりが世界チャットでやりとりされている。

ところが、一番違った部分はチュートリアルで説明してくれる県丞(日本でいう助役のようなもの)だった。

日本ではおじいさんなのに・・・

中国版ではなんと美女・・・

主人公より目立ってるんですけど・・・

このナイスバデーなアシスタントは日本の感覚では受け入れられないだろうと思って変更されたのか・・・。

それ以外はほとんど違う部分はないし、訳し漏れがあったりと手落ちがあるのに妙なところでこだわりを見せているのがすごい。

そういえば前述のブリッジSEをしていたとき、中国側に仕様変更画面の変更箇所を強調するために点線で囲って送ったら、その点線まで加えて出来上がってきて「この点線を表現するのに苦労したアルヨ」ってドヤ顔をされたときは「いや、頑張るところそこじゃないから」とツッコんだことを思い出したのだった・・・。


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