国連のPopulation Divisionが発表したWorld Population Prospects 2024によると、日本の人口ピラミッドは、少子高齢化と人口減少の影響により今後大きく変化していくことが予測されています。2024年から2100年までの間に、特にキーとなるいくつかのタイミングをみてみます。
2030年代:世はまさに大退職時代
2030年代には、日本の高齢化率がさらに上昇し、人口の約3割が65歳以上になると予測されています。
この時期には、団塊世代(1947-1949年生まれ)が80代後半となり、医療・介護のニーズが急増する可能性があります。社会保障制度への負担が増大し、医療・介護サービスの需要がピークに達することが予想されます。
団塊ジュニア世代も65歳前後に集中し、大量退職が見込まれます。
2050年代:団塊ジュニア世代の後期高齢者入り
2050年ごろには、団塊ジュニア世代(1971-1974年生まれ)が75歳以上の後期高齢者に達します。
この世代は日本の人口の中で比較的ボリュームがあるため、高齢者の数がさらに増加し、総人口に占める高齢者の割合がこれまでにない高さに達します。特にこの世代が75歳を超えることで、医療・介護費の増加が懸念され、社会全体での対応策が必要になります。
抜本的な改革がない限りは社会保障費の負担が厳しくなります。プライマリーバランスを考えると増税か自己負担割合を増やす方向になるのかと思いますが、選挙権を持つ割合が高齢者に偏るためポピュリズム的な政治では実現が難しくなります。
一方で将来的には高齢者の人口も急減していくため、一時的なものだと割り切って赤字国債を擦りまくって将来にツケを回す政策が取られるのかもしれません。
2060年代:生産年齢人口の減少
2060年代には、生産年齢人口(15-64歳)が著しく減少することが予想されます。
この減少により労働力不足が顕著となり、経済活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。労働生産性の向上やAI・ロボットの導入など、新たな労働力確保が普及段階に入っているかが重要な課題となります。
2070年代:人口減少の加速
2070年代以降、日本の総人口が1億人を割り込むと予測されています。
この時期には、少子高齢化の進行により、若年人口が著しく減少し、人口ピラミッドの逆転がさらに顕著になるでしょう。
地方都市の過疎化が進行し、都市部への人口集中が進む一方で、地方のコミュニティ維持が難しくなる可能性があります。
2100年:さらなる人口減少と社会構造の変化
2100年までには、日本の総人口が8000万人を下回る可能性もあります。
人口減少により高齢者の割合が高い状態は続きますが、少子化世代も高齢者に突入することで、高齢者1人に対する現役世代(生産年齢人口)の負担は緩やかになっていきます。
少子化以前の世代がいたころは死亡率と出生率の乖離が顕著でしたが、少子化世代のみで社会が構成されることで緩やかな減少が続くことが予測されます。
まとめ
こうしてみてみると絶望しかないような未来予測になっています。
ちなみに国連予測が幅を持たせているように、日本もこれまで複数の予測を出していますが、これまでは予測の中央値よりも悪くなっている結果が出ています。
このまま穏やかな最期を迎えることになるのか、出生率が死亡率を逆転できるようになるのか、持続可能な社会システムの構築や多様な働き方の推進など、新しい社会構造への適応が求められるでしょう。
ただ希望になるわけではありませんが、人口消滅の傾向にあるのは日本だけでなく他の国も同じです。
2100年には中国をはじめ、インドも世界人口も減少時代に突入しているので、人口減少の最先端を走る国のひとつとして他国に先駆けた強みを発揮していけるかもしれません。
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