ちなみに英語圏のパワートレーニング系のフォーラムでも、略称が多すぎてわかりにくいというコメントが目に付くくらいなので、日本人にとっては略称のオンパレードはわかりにくくて当然かと思う。
NPとはNormalized Powerの略。直訳すれば標準化パワー。単純な平均値では、アップダウンコースなど、コースの質によって差が大きく出てしまい、比較用途としての精度に欠けるため、その違いを吸収し、一定の出力を出し続けた場合のパワー値に換算したもの。修正後平均出力とも言える。異なるコースでのトレーニング間の統一化指標である。つまり、NP値を使うことで、様々なコースを走っても、コースの特性に左右されずに平均出力(単純な平均ではなくNPのこと)を比較することができる。
NPという指標がそもそもある理由として、パワーというパラメータのVolatilityの高さ(変動のしやすさ)が挙げられる。心拍数と違い、パワーは状況に応じて変化が激しい。勾配によっても出力は大きく影響を受けるし、レースの戦術(序盤は集団後方でドラフティング、後半にアタックなど)によっても変化が大きいため、いわゆる「平均パワー」という指標は信頼性が低くなる。
NPの算出公式は公開されていないが、トレーニングの強度変化に体の反応や、グリコーゲン使用量、乳酸生成量、ストレスホルモンレベル等から算出しているとのことである。が、ストレスホルモンレベルなんてパラメーターがサイクロコンピュータで直接取れるわけがないので、心拍数等の情報をベースに概算しているのだと思われる。
NPを指標として使うことで、より性格にトレーニングの実強度を定量化することができる。
一方、NPは絶対的な標準化パワー値であるため、個人ごとの違いを吸収できない。つまり同じNPでもレーサーにとっては強度が低い運動であり、ホビーサイクリストとってはFTPレベルでの運動ということもある。その違いを吸収した指標として、NPを元に、FTPと組み合わせて算出されるIFがある。
ということで、次回はIFについて説明したいと思う。
0 件のコメント :
コメントを投稿