パワートレーニング三種の神器 その2 ~Hunter Allen & Andrew Cogganの本とWKO+~

パワーメーターでパワーが計測できるようになった後、そのパワーをどのようにトレーニングに活かすか、分析するかの方法を提供してくれるのが、Hunter AllenとAndrew Cogganによるパワートレーニング方法である。

三種の神器その2と銘打っているが、その2=トレーニング方法であり、その方法とは本とソフトウェアの二つを利用する。というのも、このエントリを最後まで読むとわかると思うが、なんというか抱き合わせ販売状態で、本とソフトウェアが揃ってはじめて効果を発揮するようなトレーニング方法になっているからである。


■本:Training and Racing with a Power Meter

まずはHunter AllenとAndrew Cogganによる共著で、唯一のパワートレーニング専門書といってよい「Training and Racing with a Power Meter」(以下、本書)である。一冊丸ごとパワートレーニングのことについてしか書いてないという徹底振りで、パワートレーニングに興味がある方であれば良くも悪くも必読の書といってよい。

「悪くも」と書いたのは、あくまで方法論の1つであるということ、頭から鵜呑みにできるほど完璧ではないと思われることである。このメリットとデメリット、不十分な部分についても今後触れていきたいと思う。

とはいえ、パワートレーニングの草分けといえば本書なので、パワートレーニングを知るためにはぜひ読んでおきたい。

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ちなみに、カーマイケルとランスアームストロングの「The Lance Armstrong Performance Program: Seven Weeks to the Perfect Ride」も、最新版ではパワートレーニングについて触れられているが、実際に両者を読み比べた後では、Training and Racing with a Power Meterが一冊丸ごとパワートレーニングについて詳細に書かれているのに対し、「The Lance Armstrong Performance Program: Seven Weeks to the Perfect Ride」は内容の薄さが目立つ。元々心拍数ベースのトレーニングの章として書かれており、その部分にパワーメーターの追記と、FTP(Functional Threshold Power)の目安が追加されたに過ぎない。というかFTPの詳細な説明すらない。




本書では、第二版が出ており、第一版との主な違いは以下となっている。

 ・パワーメーターの紹介・比較内容がアップデートされており、新商品についても触れられている。
 ・Fatigue Profileについて追記されている。
 ・トライアスロン用に一章分追加されている。
 ・MTB、シクロクロス等用に一章分追加されている。

この中で特筆すべきは、Fatigue Profileの追加である。Fatigue ProfileはPower Profileと併せて、自分の脚質のプロフィリングに威力を発揮する。具体的には、Power Profilingをすることで、自分の脚質がスプリンターなのか、オールラウンダーなのか、クライマーなのか、Fatigue Profilingをすることで、スプリンターならスプリンターでどの程度のスプリントに向いているのか(ゴール手前100m前からスプリントするべきか、300m前からスプリントできるのか)が判断できるようになっている。

本書の内容を簡単に書くとこんな感じになる。

 1.パワーメーターの紹介
 2.パワーによるプロファイル(FTPの測定を含む)
 3.パワートレーニングについて
 4.トレーニングログの分析方法

つまり、パワーメーターを使ってトレーニングの基礎となるFTPを測定し、それに基づいてトレーニングプログラムを立て、そのトレーニング結果を分析するという流れになる。


■ソフトウェア:TrainingPeaks WKO+

そしてその分析時に威力を発揮するのがTrainingPeaksのWKO+である。

実はこのWKO+、Coggan先生が開発に関わっているらしく、本書の中でもWKO+を例として分析方法が説明されているし、本書の中で触れられている分析方法を全てサポートしている。さらには共著のHunter Allenも自らWKO+のプレゼンテーションをするなど、本+ソフトウェアのセットで売り出している感がある。



もちろんWKO+がなくても分析は可能で、自分もExcelで1秒ごとのログを分析して同じような計算をしたことがあるが、マクロを組んだとしてもかなり面倒くさく、時間もかかるので、素直にWKO+の恩恵にあずかった方が分析時間を短縮できる。というのも、分析するのが目的ではなく、あくまでトレーニングをするのに時間を割くべきなので。

ちなみにプロチームのTeam SkyもオフィシャルトレーニングツールとしてWKO+を使っている上、コーチ用のサービスまであり、まさしくアマチュアからプロ、はたまた指導者まで使えるツールとなっている。が、こちらにもまたメリットだけではなくデメリットというか不得意な部分もあるのでまた追々紹介していきたいと思う。

というわけで、パワーメーターとトレーニング方法(本書とWKO+)があればパワートレーニングを実践できるようになるが、もう一つ、パワートレーニングを実践するにあたって本書でも触れられていない良いツールがあるので、それを三種の神器の三つ目として紹介したい。


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