UCIレース日記第二十戦:ぼくらのツール・ド・フランス

レースに参加。

スタート地点に着いて受付をしていると、今回はうちのチーム主催のレースなので、チームメンバー用の受付が設けられており、すぐにチェックインを済ます。



そしてそのときに17ドルの払い戻しも渡される。通常は33ドルの参加費だが、チームメンバーであれば16ドルで参加できることになる。ちなみになんで16ドルなんて半端な数字かというと、もともと通常32ドルだったのが1ドル諸経費で追加されて33ドルになったため。

周回数は通常の8周よりも1周多くて9周(48.7km)となっている。

今回はシリーズレースであり、二回の山岳賞、スプリント賞も設定されている。自分的には山岳を獲りに行きたいところだが、すでに同じチームメンバーのデヴィッドが、これまでのレースの結果、総合山岳王の位置におり、彼にマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(maillot blanc à pois rouges。山岳賞ジャージ)を着続けさせるためにチーム戦略で動くことになりそうである。

ゼッケンを付けて、チームメイトのダン、リッチ等々に挨拶してスタートラインに並ぶ。

今回の参加者は90人前後。うかうかしてると道が塞がれてしまい前に上がれなくなってしまうのでポジショニングがポイントである。




■レース開始

いつもは序盤は様子見だが、今回は山岳賞(とスプリント賞)が設定されているので注意しながら走る。



というのも、予め第何周目に山岳賞と決められているわけではなく、山岳賞の周回の前になると合図が出ることになっている。そのため、後ろにいたのではヒルクライム勝負をする前に差を開けられて勝負が決まってしまう

1周目は何事もなく過ぎ、2周目も特に合図は無し。

3周目になってスプリント賞の合図が。ただスプリント賞は参加する気がないので集団の中で見送る。

そして4周目で山岳賞のベルが鳴らされ、次の5周目での山岳賞に備えて前に出る。



4周目のヒルクライムで2人ほどアタックをかけてきたので追いかけようとするが、隣にいたチームメンバーから「Easy!」と言われたので速度を落として集団を牽く



5周目、山岳賞のヒルクライム手前で少し後ろにいたが、ヒルクライムに入って一気に前にでる。

が、すでに先頭2人は集団から離れており、追いつくのは難しい。しかもその先頭はチームメンバーで山岳賞ジャージのデヴィッド

チームメンバーのアタックを追って潰してしまうのは紳士協定違反なのでペダルを漕ぐトルクを緩める。

1人がアタックをしかけてきて抜かされるが、他の先頭集団は一番前で抑える。結局第一回目の山岳賞は4位通過



その後、目の前にいるレーサーがボトルを落としたり、幅を寄せてきたレーサーとぶつかりそうになったりしながら周回を進め、7周目に二回目の山岳賞。

しかし集団の中盤にいたため前に出れず見送り

二回目のスプリント賞で集団を千切って進んだスプリント集団が発生し、周囲のレーサーが、コーナーに立っている運営に、Breakaway(逃げ集団)とどれだけ離されているか聞くと、「20 sec!」と返ってくる。



20秒差とはいえ、そもそもスプリント賞を獲りに行った集団だから捕まえれるだろうと思っていると、チームメイトでプレジデントのダンから「前に行って逃げを潰せ」との指示がリッチに飛ぶ

リッチは指示通り先頭を走って逃げを潰して戻ってくる。「Good job!」とリッチに声をかける。

そうこうしていると8周目が終わり、ファイナルラップの鐘が鳴る。

先頭は自分を含めうちのチーム3人。

さっき目一杯働いたリッチがヒルクライムを牽く。次をクリスが牽き、自分が引き継ぐ。

牽いていると他のチームが入ってきて、結局、最終のコーナーを曲がる手前まで、1周の半分近くをずーっと自分が牽くことになってしまった

いつもなら脚を溜めている場面だが、今回はチームメンバーの手前もあるし、結局誰かが牽かなければならないのでしょうがない。

最後の直線で一気に抜かれるが、残された力を振り絞ってついていく。



結果は18位前後。

入賞もならず、カテゴリーアップグレードのためのポイントもゲットできなかったが、それなりに楽しめたレースだった。

特に山岳賞やスプリント賞が設定されていたため、レースにメリハリがつき、残り1周の鐘を聞いたときも、あと2周だと勘違いしていたほどであり、「まだ8周」ではなく、「もう8周」かという感じがあった。ゴールだけ狙っている者や、山岳を獲りに行く者。逆にスプリントは獲りに行くが山岳には参加しない者など、いろんな思惑が重なりあってレースに厚みがあったと思う。

なにより、シリーズレースでマイヨ・ジョーヌがいて、山岳賞ジャージも、スプリント賞ジャージも着たレーサーがいて、チーム戦略も織り交ぜつつレースを走るというのがプチ・ツール・ド・フランスのような感じで面白い。

しかもうちのチーム主催のレースということもあり、参加費も少なくて済み、かなりコストパフォーマンスが良いレースだった。

さらにこれまでの課題であったポジションニングについても、今回は先頭を牽いたり中盤で休んだり、先頭集団の中にいたりと、いろいろと動き回りつつも、最後尾まで落ちることもなかったため進歩があったと思う。

ちなみにペースは48.7kmを1時間11分14秒(平均時速41.0km/h、最終ラップは43.2km/hで走っている。昨日のツール・ド・フランス第20ステージの個人タイムトライアル(42.5km)で、カデル・エヴァンスが55分40秒(45.8km/h)、アンディ・シュレクが58分11秒(43.8km/h)、マーク・カヴェンディッシュが1時間4分8秒(39.7km/h)で走っているので、集団走行とはいえツール・ド・フランスの個人タイムトライアルと同程度の速さでの巡航が体験できたわけである。





2 件のコメント :

  1. 山岳賞があらかじめ知らされないのは面白い設定ですね。クリテリウムならではかと。
    プチ・ツールと言っても過言ではない内容ですね。面白そうです。
    ニューヨークは気温が40度くらいとのニュースが聞こえていますが、そんなに暑いのですか??

    返信削除
  2. 確かに本当の山では頂上は1つなので、何km時点で山岳賞が決まるかわからないというのは周回コースならではですね。
    こちらでは先週は40度を越えて湿度も高く、レース後もみんな汗が噴き出してました。ただ外で走ってる方がクーラーがかかってない家の中にいるより涼しかったりします(笑)。

    返信削除