これまでレース日記が溜まってしまっているので、昨日のグランフォンドニューヨークまで一気にエントリしていきたいと思う。
Grant's Tombクリテリウムレースの翌日、3月11日の日曜日。
当時はこのレースが今後の自転車人生に大きく影響を及ぼすことになるとは予想だにしていなかった…。
ということで、運命のレースを迎える。
昨日のGrant's Tombでの失敗に学び、上下に肌着を着込んで出発。
予定通りセントラルパークに到着して出走を待つ。
今回は肌着の効果もあって、出走前は少し震えはあったものの、体が冷え切ることなくスタートを迎えることができた。
かなり前、ほぼ2列目くらいからスタート。
■レース
体も十分に温まっており、開始直後から脚は回っていた。
先頭10人くらいの中をキープしつつ走る。
何かアタック等があれば反応できる好位置である。
シーズンオフの間の長く辛いトレーニングという種蒔きの効果をやっと刈り取ることができると思った今シーズン。
先週の1戦目は落車したり、救急車出動でブレーキを余儀なくされたりでゴールスプリントに絡めず、昨日は自分の気温調整ミスで残念な結果に終わってしまっていただけに、今回は気合が入っていた。
セントラルパーク北側のヒルクライムが終わり、1周目の3分の1が終わろうとしていたところでチームコズミックの二人がアタックを仕掛ける。
自分もそれに乗る形でアタックに加わり、集団を引き離して3人の逃げ集団の形成に成功。
チームコズミック2人に、自分1人ということで2対1の布陣ではあるが、とりあえず集団から逃げる目的は一緒なので協調してトレインを作る。
逃げ集団となると、その辛さに反比例してレース展開的には単調で、先頭交代を繰り返しながらひたすら速いペースでペダルを回していく。
ちなみにプロのレース等とは違い、リアルタイムに情報が飛び交っていないので、後ろとどれくらい差がついているのかわからないのがきついところ。
追っているプロトンであれば、コースに立っているマーシャル(係員)から、「○ seconds!」と叫んで何秒差かを教えてもらえるのだが、逃げている方は、マーシャルも後ろが見えない以上差がわからないので教えてもらえない(これが距離が短いクリテリウム等であれば何かしらの方法で教えてもらえるのかもしれないが…)。
ということで、「俺のパンチは効いているのか?」という相手の状況がわからない状態のまま、とりあえず全力で逃げ続ける。
1周を終え、2周も後半に。
後ろをときどき振り向くがプロトンは視界に入らない。
ちなみにプロトンにいたチームメイトに後で聞いたところ、1分以上の差がついていたらしい。
ところが2周目のゴール手前の坂で、チームコズミックの一人が遅れだして、「Sorry」と謝りながら、トレインのローテーションに加われないときが出てくる。
遂には3周目に入ったあとのヒルクライムで彼がついてこれずに千切れてしまう。
3人だったトレインが2人になる。
こっちも3回に1回のローテーションだったのが、2回に1回の、On/Offインターバルのような状態になり、すでに2周逃げ続けてきた身としては脚に疲れが出てきてしまっている。
そうしてトレインの速度は一気に失速する。
それでも気合を入れて踏み続けるが、ファイナルラップの4周目の手前で遂にプロトンに追いつかれてしまう。
こうなってしまっては、最後のゴールスプリントにかけるしかない。プロトンに吸収されながらも、先頭5人ほどの位置をキープして脚を休ませる。
と、そのとき。
4周目のダウンヒルのシケインに入る手前のなんでもない緩やかな右コーナー。
前の選手がラインをずれて左に膨らむ。
そして自分の前輪はちょうど前の選手の後輪の左側に。
「Hold your line!」と叫ぶまもなくフロントホイールの右側に前の選手のリアホイールが接触。
ぶれるフロントホイールを必死に安定させようとするが40km/h以上出ている状態のまま無残にもロードバイクはコントロールを失い右前へ倒れ込む。
幸い意識を失うことはなかったが、我に返った頃には集団は遥か前方に。
先週のように集団のスピードが落ちて詰まったところで転ぶ程度の落車であれば追いかけることもできるが、今回は集団のスピードも速く、しかもチェーンが外れてしまった上に顔面と手、脚の痛みも酷い。
とても追いかけれる状態ではなく、チェーンを直してDNF。フィニッシュ地点へ向かうことに。
ちなみに原因は、(もちろんカーブでラインをキープしなかった前走者にも文句はあるが)前走者に近づきすぎたことであろう。それまで逃げ集団で協調しながら(お互い了解の元で)トレインを組んでいたあとにプロトンに戻ることになったため、プロトンの中でも逃げ集団のトレインの間隔&感覚でいてしまった。もちろんお互い同じ目的で走っているトレインに比べれば、プロトンは玉石混交で個々の思惑も様々である。積極的に牽く人もいれば、アタックを狙っている人、ドラフティングに終始する人、だらだら走ってる人もいる。目的を共有した者同士の逃げ集団と同じ距離感では、プロトンの中では「近づきすぎ」になることもある。一方で、その時は逃げが吸収されて最後のゴールスプリントに備えようと考えていた最中で、上記のような距離感に気を遣っている余裕もなかった。
傍をジョギングしていた人から、「大丈夫か」と聞かれるが、こっちは麻痺していて状況がわからないので、逆に「顔から血は出てるか?怪我はどんな感じだ?」ということをヒアリング。どうやら少し血は出ているものの、流れるような出血ではなく、一方で頬が真っ青に腫れ上がってしまっているらしい。
フィニッシュ地点に戻ってファーストエイドセットをスタッフからもらう。
周りのレーサーから、大丈夫か?等々の声をかけられつつ、救急車が待機しているので診てもらえということで救急車へ。
その途中、ふと見るとファイナルラップを終えた自分のフィールドのゴールスプリント。
なんと最後まで一緒に逃げていて自分と同じようにプロトンに吸収されたチームコズミックのアンソニーがスプリントで後ろを引き離して勝利。
もし自分があそこで脚を休めてスプリントに臨んでいたら、アンソニーと良い勝負ができたかもしれないと思うと悔しさが込み上げて来る※。
※が、実はアンソニーとは実力に大きな差があり、ここでは彼は単独で逃げ続けても勝てたんじゃないかということを後にニュージャージーのヒルクライムTTで思い知ることになる)
そんな悔しさに後ろ髪を引かれながら救急隊員に事情を話して救急車の中へ。
とりあえず意識はしっかりしているし、チームメイトのマッケイに車で送ってもらえるということもあり、応急手当をしてもらって救急車を出る。
というか、これまで生きてきて救急車に乗ったのは2回しかないが、その2回がこの1年の間に起こってるというのは、やはりレースは危険であることを感じずにはいられないのであった。
自宅に戻って怪我を確認。
肌着とともに無残に破けたレッグウォーマー。
肩も激しく擦りむけ、
右足からは血が流れ落ちる。
その後の展開については、「怪我の経緯」のタイトルにてこれまでエントリしてきた通り。
小さなところでは左、右親指の肉が削ぎ落ち、
右膝は肉がクレーターのように抉れてしまい、2ヶ月以上経った今でも完全回復には至っていない。
結局次のレースに出走するまでに1ヶ月以上の治療期間を要し、付け根が突き出た右手親指関節については後遺症となって残ってしまっている…。
そしてレースに対する認識、今後の姿勢を再考せざるを得なくなるのであった…。
イタタタ…(TдT)
返信削除全体的に重傷ですが特に右膝は見てるだけで痛くなってきます。
肌着とレッグウォーマーがあってコレとは・・・。
もし付けてなかったらどうなっていた事か、ゾッとします。
明日は我が身と思って自分も気を付けていきたいと思います。
小生も顔面着地した際に鼻の下をケガしています。エグレてたので、縫えないらしくしばらく血が出っぱなし・・・。レース以外でも安易にドラフティングするのは危険ですよね。気をつけたいと思います!
返信削除はい。二枚重ねでこれだったので、肌着とレッグウォーマーがなかったら、それらが代わりに破けてくれた分、皮膚が削がれてしまっていたのだと思います…。ライカさんも事故にはお気を付けください。
返信削除南洋ボケさん、私も顔面着地を何度もしましたが顔の怪我は男性とはいえ痕になるとつらいものです。ちなみに右目尻と顎の下は傷跡が残ってしまってます。ドラフティングはレースはもとより、普段でも前走者とドラフティングしてる意識が共有できてないと危険ですよね。
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