といってもすでに各ステージでコメントは書いてきたので、総合結果をもとにデータから攻めてみたいと思う。
■個人タイムトライアル
今回のツールで事前から言われていたのは、個人タイムトライアルの比重の高さと、タイムトライアルに強い選手が有利という点であろう。
そして、実際、下馬評通りにウィギンスやエヴァンス(といっても7位だが)が高順位に付け、タイムトライアルが苦手な「総合優勝候補」たちは後塵を拝した結果となった。
以下は、総合順位のタイム差と、3つの個人タイムトライアル(プロローグ、第9ステージ、第19ステージ)のみのタイム差を抜き出してみたものである。また、右側には、3つの個人タイムトライアル(ITT)でついたタイム差の合計と、総合順位のタイム差に占める個人タイムトライアルのタイム差の割合を計算してみた。(データをまとめるのが大変だったので10位までしか表示していないが…)
最終 順位 | 選手名 | チーム | 総合 タイム差 | Prologue (6.4km) | 9th Stage (41.5km) | 19th Stage (53.5km) | ITT合計 タイム差 | ITT割合 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | WIGGINS Bradley | SKY PROCYCLING | + 00' 07'' | + 00' 00'' | + 00' 00'' | + 00' 07'' | ||
2 | FROOME Christopher | SKY PROCYCLING | + 03' 21'' | + 00' 16'' | + 00' 35'' | + 01' 16'' | + 02' 07'' | 63% |
3 | NIBALI Vincenzo | LIQUIGAS-CANNONDALE | + 06' 19'' | + 00' 18'' | + 02' 07'' | + 03' 38'' | + 06' 03'' | 96% |
4 | VAN DEN BROECK Jurgen | LOTTO-BELISOL TEAM | + 10' 15'' | + 00' 28'' | + 03' 09'' | + 04' 22'' | + 07' 59'' | 78% |
5 | VAN GARDEREN Tejay | BMC RACING TEAM | + 11' 04'' | + 00' 10'' | + 01' 06'' | + 02' 34'' | + 03' 50'' | 35% |
6 | ZUBELDIA Haimar | RADIOSHACK-NISSAN | + 15' 41'' | + 00' 24'' | + 02' 20'' | + 05' 32'' | + 08' 16'' | 53% |
7 | EVANS Cadel | BMC RACING TEAM | + 15' 49'' | + 00' 17'' | + 01' 43'' | + 05' 54'' | + 07' 54'' | 50% |
8 | ROLLAND Pierre | TEAM EUROPCAR | + 16' 26'' | + 00' 45'' | + 05' 34'' | + 06' 14'' | + 12' 33'' | 76% |
9 | BRAJKOVIC Janez | ASTANA PRO TEAM | + 16' 33'' | + 00' 22'' | + 02' 26'' | + 05' 38'' | + 8' 26'' | 51% |
10 | PINOT Thibaut | FDJ-BIGMAT | + 17' 17'' | + 00' 24'' | + 05' 12'' | + 05' 31'' | + 11' 07'' | 64% |
これを見ると、大半の選手が、タイム差の50%以上を個人タイムトライアルでつけられているのがわかる。
特に顕著なのが、総合3位のヴィンチェンツォ・ニバリ。
6分19秒のタイム差のうち、6分3秒を個人タイムトライアルで失っている。
ウィギンスとフルーメが他を引き離してのワン・ツー・フィニッシュという印象が強い今回のツール・ド・フランスであるが、個人タイムトライアル以外の通常ステージでのニバリの遅れはたった16秒。通常ステージだけで見ればフルーメとの順位は逆転し、あわやウィギンスに迫る勢いであったわけである。
逆に言えば、プロローグを含めて21ステージ中3ステージしかなかった個人タイムトライアルの比重が、残りの18ステージと同等かそれ以上に高かったことになり、個人タイムトライアルが勝敗を決したことになる。
■第6ステージの落車
そしてもう一つ記憶に残るものとしては第6ステージで100人以上を巻き込んだ集団落車であろう。
全体日程の3分の1に差しかかろうという重要なタイミングで、総合優勝候補の明と暗が分かれてしまい、その後の戦略にも影響を及ぼした。
ガーミン・シャープでアメリカ出身のトム・ダニエルソンは第3ステージに続く2度目の落車で肩を脱臼してレース中にリタイア。他にもリタイア選手が続出した上、モビスターチームに至っては第6ステージで8人全員が落車に巻き込まれてしまった。
特に、ジロ・デ・イタリアの総合優勝者であるライダー・ヘシェダルを始め、上述のトム・ダニエルソンにロバート・ハンターと3人の選手を失ったガーミン・シャープは空中分解状態。ジロの勢いのままツール制覇を狙っていたのであるが、落車でツールが終わってしまった。唯一の救いは、今大会で旋風を巻き起こしたイギリス人選手の1人でもあるデヴィッド・ミラーが第12ステージでステージ優勝を飾り一矢報いたことだろうか。
とはいえ、落車に巻き込まれてタイム差がつき、エースやアシストがいなくなり、それで勝敗が分かれてしまうのであれば、それはロードレースを見る者としては悲しい…。
この点、「Whiskey HillClimb & Women」のブログで非常に的を得た指摘がされている。我々が見たいのは「誰が一番速いか」であって、「誰が一番ツイてるか」ではないはずである。
もちろん勝負に運の要素が絡むのはつきものであるし、運も実力のうちであるのは承知しているが、あまりに運の要素が強いとそれはそれで純粋なスポーツとしての醍醐味は減ってしまう気がする。
何はともあれ、2012年のツール・ド・フランスとは、「個人タイムトライアルと落車のツール」であったわけである。
賛否両論ありますが、個人的には山岳ステージでコンタドールの切れのあるアタックをもう一度みたいな~。それも黄色いジャージで!
返信削除僕も今年のツールはいまひとつといった印象でした。
返信削除いろいろ意見はあるでしょうけど、やっぱり僕もコンタドールの
復帰を心待ちしています。
ってことで、ブエルタはその復帰戦になるのか??
楽しみです。
ところで、ツール直前のパリに行ってましたが、あのシャンゼリゼが
あんなに勾配があるとは実際に行ってみるまで分かりませんでした。
しかも、結構な石畳で。
あそこをあんな高速で走ると想像しただけでも興奮しましたね~
来年の100周年は見てみたい!
南洋ボケさん、今年のツールは山岳スペシャリストが少なかったのでヒルクライム派の私としても山岳ステージでの激しい戦いを見たかったです。今年はITT中心だったので来年のコース設定に期待ですね!
返信削除ツールの反動でブエルタが盛り上がれば言うことなしですね。とりあえず直近はオリンピックで、その後はブエルタを始め、まだまだレース目白押しなので楽しみです。
返信削除シャンゼリゼってそんなに勾配があったんですね。とりあえず直近では行ける予定がないのでTacxで寂しくシミュレーションでもしてみます(笑)
来年の100周年はコース設定含めて期待してます!