片方の親のみの子連れ海外旅行で公証済み同意書を用意する

Children Traveling With One Parent


子どもを連れて国外に出るというと、有名なのはハーグ条約。

外務省のホームページにもハーグ条約について記載がある。

ハーグ条約は,国境を越えた子どもの不法な連れ去り(例:一方の親の同意なく子どもを元の居住国から出国させること)や留置(例:一方の親の同意を得て一時帰国後,約束の期限を過ぎても子どもを元の居住国に戻さないこと)をめぐる紛争に対応するための国際的な枠組みとして,子どもを元の居住国に返還するための手続や国境を越えた親子の面会交流の実現のための締約国間の協力等について定めた条約です。日本人と外国人の間の国際結婚・離婚に伴う子どもの連れ去り等に限らず,日本人同士の場合も対象となります。

ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)

ハーグ条約が発効されたのは2014年の4月1日で、当時ニューヨーク総領事館からメールをもらったものの、自分は直接的には関係なかったので「ふーん」と思っていた・・・。

が、新たに更新されたCBP(United States Customs and Border Protection、アメリカ合衆国税関・国境警備局)のページで直接自分に関係する事態になった。

U.S. Customs and Border Protection (CBP) strongly recommends that unless the child is accompanied by both parents, the adult have a note from the child's other parent (or, in the case of a child traveling with grandparents, uncles or aunts, sisters or brothers, friends, or in groups*, a note signed by both parents) stating "I acknowledge that my wife/husband/etc. is traveling out of the country with my son/daughter/group. He/She/They has/have my permission."

Children - Child traveling with one parent or someone who is not a parent or legal guardian or a group

簡単に言うと、「片方の親だけで子連れで国外に出る場合、もう1人の親の同意書があるべき」という内容。

去年日本と香港に一時帰国したときはこんな規定はなかったのでちょっとびっくり・・・。

強制ではないものの、もし同意書の有無を問い質された場合に同意書がないと、審査でシロと判断されるまで拘束されることがあるということ。

While CBP may not ask to see this documentation, if we do ask, and you do not have it, you may be detained until the circumstances of the child traveling without both parents can be fully assessed.

審査に時間を取られるだけでも避けたいので、事前に準備してリスクを回避できるならそれにこしたことはない。

ということで今回事前に用意することに。

定型フォームがない・・・


ところが、この同意書、強制のものでないからなのか、同意書のフォームどころか、サンプルすら政府の公式ページでは公開されていない

ご丁寧に、わざわざ公式ページで定型フォームがないことを宣言していて、「お前が作れ」と書かれている・・・



そこで流用できるサンプルがないかネットで検索すると、有料の作成フォームや、法律事務所が作ったっぽいサンプル、他国のものが見つかった。

その中でも信頼性が高くて、必要な情報を網羅していそうなカナダ政府が公開しているサンプルを使うことに

カナダも米国同様、強制ではないものの、同意書を作成することを求めていて、さらにサンプルまで公開してくれている(そこがアメリカと違うところか・・・)。

We strongly recommend that Canadian children carry a consent letter if they are travelling abroad alone, with only one parent/guardian, with friends or relatives or with a group. For the purposes of this consent letter, a Canadian child is defined as anyone who is under the age of majority (18 or 19, depending on the province or territory of residence).

A consent letter is not a legal requirement in Canada, but it can simplify travel for Canadian children, as it may be requested by immigration authorities when entering or leaving a foreign country or by Canadian officials when re-entering Canada. The letter demonstrates that Canadian children have permission to travel abroad from parents or guardians who are not accompanying them.

Recommended consent letter for children travelling abroad

公証をしてもらう


フォームに記入して終わりなら楽なのだが、米国でもカナダでも、同意書に公証をしてもらうことを「Highly Recommended」している。

ということで公証してもらいにいく。

公証といっても日本とアメリカでは随分違う。

日本で公証というと、公証役場で公証人にしてもらい、公証人は司法試験に合格している法曹(弁護士、検察官、裁判官)経験者がなるという狭き門



例えば金銭消費貸借契約の公正証書であれば、それだけで強制執行できるくらいの信用力があり、簡易裁判所の判決と同程度の効力を持つほど強力。



一方でアメリカでは、そこらへんの薬局や銀行で公証をしてもらうことができる。

以前グリーンカードを取得するときにしてもらったときは、チャイナタウンのドラッグストアにいたおっちゃんに2ドル(≒220円)でしてもらったことがある。

この点、日本の場合、日本公証人連合会のホームページによると5500円かかるということなので、値段の面でもアメリカの25倍高いことになる(今回の同意書は、同意した人の署名が本人であることを公証するものなので私署証書に該当)。

私署証書等の認証

契約書などの私署証書の認証は1万1000円ですが、その内容を公正証書にした場合の手数料の半額が1万1000円を下回るときは、その下回る額になります(手数料令34条1項)。したがって、身元・財政保証書のように、金額の記載がないため算定不能となる書面の場合は、5500円が手数料になります。

公証人連合会 - 手数料

今回も同じドラッグストアに行ったのだが、公証資格を持ってる人が辞めちゃったということなので、Citibankの銀行に行くことに。

アメリカでは銀行の担当者が公証資格を持っていることも多く、大体どこの銀行でも公証サービスがある

数分待った後案内してもらい、身分証を見せて公証人の前でサイン、そして公証人にサイン&判を押してもらって公証完了。

Citibankに銀行口座を持っている場合は無料ということで、タダで公証してもらえた。

ちなみに口座を持ってない場合はいくら取られるのか聞いたところ2ドルだそうで、ドラッグストアと同じ値段だった。

ニューアーク空港へ


ということで先に旅立つ家族を見送り。

ニューアーク空港へ送り届ける。



平日の昼間だというのに駐車場はほぼ満杯。



無事送り届けたものの、結局出国時は同意書を求められなかったとのこと。

とはいっても、米国以外の入出国時にも求められる可能性があるらしく、やはり持っておくにこしたことはないのだと思った。






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