カムチャツカの若者はイチローの夢をみない

2ヶ月で15kg太った一因にはバーンアウト(燃え尽き症候群)があると思っている。

今シーズン最後のレースを終えた後に待っていたのは、とてつもないモチベーションの低下だった。

シーズンオフの燃え尽き症候群


8年前にレースを始めたときからこのブログでも時折、「リザルトを残せるように、表彰台に乗れるようになりたい」といったことを書いていた。

去年以前もグランフォンドでKOMを獲ったり、表彰台に上がったことはあったものの、今年は3戦のヒルクライムレースのうち2回も表彰台の一番上に上がり、その次も準優勝ということで十分すぎる出来だった。



が・・・、何も変わらなかった。

自分と外の世界があるとしたら自分の中での一大事件であっても外の世界は何事もなく進んでいく。

仕事の締め切りも変わらなければ、ドル円相場も株式市場にももちろん影響は無い。

それは乗鞍で優勝しても同じだろうし、ツール・ド・フランスで優勝したって、丸ノ内のOLはゲラント・トーマスやクリス・フルームの名前なんて知らない。

「世界」の大小はあるものの、メジャースポーツやスポーツ以外であってもそれは同じ。

カムチャツカの若者はイチローの夢をみないし、ニューヨークの少女はマツコデラックスにほほえまないし、ローマの少年は和田アキ子にウインクしない。

結局は限られた一部の世界の中での出来事で、その世界に関心がない「外界」は通常営業。



もちろんそんなことはやる前から重々承知だし、結局趣味でやってるホビーレーサーなんて自己満足の世界だからそれでいいと思っている。

それでも、いざリザルトを残したあとの何も無さを目の当たりにすると空虚感と無気力感に包まれてしまう・・・。

本来なら達成感や充実感を感じて「次へ!」となるところだろうが、前回のLA遠征のエントリで詳しく書いた通り、自分にとってリザルトを残したり表彰台に立つことはそんなに優先順位が高くなく、自転車を通じて得られるもの、知り合いだったり、家族との思い出だったりといった方がよっぽど大事だった

ところが、そもそも他のスポーツと比べて愛好者の少ない自転車で、さらに狭いヒルクライムというフィールドでリザルトを残しても、家族はもちろん周りの知り合いにも全く理解されない。

ロードバイクに乗っている人が非自転車属性の人からよくされる質問として「時速何キロくらいで走るの?」「距離はどれくらい乗るの?」といったものが多いだろう。

が、もちろん時速なんて勾配によっていくらでも変わるので答えにくいことこの上ない。



特にヒルクライムの場合、どちらも意味が無い質問であることはこのブログを読んでいる方ならご存知の通り。

例えば勾配12%のアスカトニー山を上るレースでは、「虫がたかってくるくらいのスピードで5km強を走るレース」なのだが、「速い時速」と「長い距離」を期待して質問してくれた人に対しては全く逆の白けさせる回答となってしまう。

かといって、そこで元々自転車にさしたる興味がない人に対し、「獲得標高」だの「平均勾配」だの「W/kg」だの詳しい説明を始めたらもうおしまい。それこそ引かれて会話が弾まないこと間違いなしである。

その「なにが楽しいの?」とでも言われんばかりのヒルクライムでいくらリザルトを残そうが、彼らからしたら「So what?」である。



それでも一番身近な家族の理解を得られていればいいかもしれないが、自分の場合は家族は反対派。

家族に嫌な顔をされながらも頑張ってリザルトを残して、その結果が「So what?」だと辛いものがある。

ヒルクライムレースがない


そのモチベーション低下に拍車をかけたのがヒルクライムレースのスケジュール。

東海岸ではここ数年間でどんどんヒルクライムレースがなくなっている。

以前走っていたエキノックス、オケモ、アスカトニーといったレースは参加者減少の煽りを受けて全てなくなってしまった(※最後のアスカトニーのみ4年ぶりにタイムトライアルに形式を変えて去年復活した)。

ロードレースやタイムトライアルはそれなりに開催されているものの、過去2回救急車に乗った経緯もありロードレースは家族からはすでにNG。タイムトライアルに特化して筋肉を増量して絶対出力をアップというのも身長的に限界がある。



まあ上記の通り、レース以外のものの方が重要ならレースをやらなくてもいいのだろうが、一方でファンライドのみでは目標や張り合いがなくて逆に続かなくなってしまうのである。

この点、東海岸以外に目を向ければヒルクライムレースはまだそれなりにある。

日本のヒルクライムイベントは数も参加者もこちらの比ではないが、今の職場環境では国外旅行にいけるのは1年に1回が限度。

シーズン中は月に数回あるような日本のヒルクライムイベントに参加するとなると、サラリーマンしながらでは不可能である。



コロラドや西海岸ならまだ週末を利用して参加できそうなケースがありそうで、今回のLAでおこなった「自転車事前発送型遠征」もそれを視野に入れてのものだった。

とはいえ、週末の2~3日を利用した弾丸遠征では、今回のように1人で移動するのが精一杯で、とてもではないが小さい子供を連れて家族全員でいくには厳しい。

移動も食事も何から何まで時間と手間をとられ、さらに観光も加えた家族旅行となると、やはりもっと日程に余裕を持って、できれば1週間くらいとりたいものだが、上記の通り仕事の絡みでそれも難しい。

ただ自分にとっては、過去の欧州遠征や、ホワイトフェイス、オケモ、エキノックス、富士山、乗鞍など、家族旅行に組み合わせて遠征と観光を楽しむというスタイルがメリハリがついていてとても良い想い出となっている成功体験もあり、独りで行って走って帰ってくるだけならやはり優先順位としては落ちてしまう

特に二人目が産まれた今となっては優先順位的にも「独りで遠征してる場合じゃないだろう」というのが現実的なところ。

となると東海岸のみの参加になるのだが、そうなるとホワイトフェイスくらいしか大きいヒルクライムレースがない。

まさに堂々巡りで悩みの袋小路に陥ったような状態。

そんな中、年に1回、来年初夏のヒルクライムレースのためだけに、今から食の楽しみを犠牲にしてまで過酷なカロリー制限生活を続けるのかというとそのモチベーションは下がり、晴れて増量期突入とあいなった。



「食の楽しみ」は家族や友人との会食も含み、せっかくの食事の機会に、自分だけバンなしのバーガーを頼んだり、キッチンスケールを持ち歩いて出てきた料理の重さを量ることがいかに場の雰囲気を壊すかを体験すると割に合わない。

1日あたりのカロリー上限まであと9kcalしかなかったときは、出てきた奶黄包を4gだけ千切って食べたこともある・・・。



民以食為天

人生における「食」というものがどれだけ重要か、それを制限することがどれだけ馬鹿げたことかを再認識させてくれたのはダイエットをして良かった点だったのかもしれない。

それだけ人生に占めるウェイトが大きい「食」に対抗するには、それを打ち返すだけの目標と高いモチベーションを必要とする。

とういことで、体重の増加傾向を断ち切るには、すなわちこのシーズンオフ直後のバーンアウト期間をどう乗り切るかがポイントになってくるのであった

新たな目標とモチベーションのために次の一歩を踏み出すときがきたのかもしれない・・・。

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