深圳経済特区と華潤萬象城モール

MTRに乗って香港の上水(ソンソイ)へ。

ここから先は深圳(サムザン)との国境近くになり、禁區として閉鎖地域となっている。


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電車の車内は三十代~五十代の男性で混み合っている。

一緒に同行した親戚によると、彼らは大陸から出稼ぎに来ている中国人で、週末になると家族のいる大陸に戻るためだそうである。

上水駅で、国境の町である羅湖(ローウー)に行く電車に乗り換えるために降りる。

と、たくさんの人の列ができてる。



彼らは香港から大陸へ荷物を持ち帰る人たち



20kg以上の荷物の場合は大陸入りを許されないということで、あらかじめこの駅で計量されているのである。



人によっては朝から並んで荷物を運んで生計を立てている

日本の生活とは関係のないところで、日本人から見ればどうでもいいような小銭のために香港と大陸を行き来して人生の時間を費やす人々。

日本にもニューヨークにも全く関係のないところで動いている人生もあるのだなぁと思うと感慨深い。

それこそ日本やアメリカに移住して普通に働けば、こんな行き来のために人生使うよりもよっぽど良い暮らしができるのだろうが…。

そんなことを考えながら羅湖に到着。



中国人、香港居留民、外国人でゲートが色分けされており、自分は外国人のゲートに並ぶ。



中国人や香港永住権(香港永久性居民身份證)がある人は簡単に通過できるゲートであるが、外国人の自分は入国審査と同様に、中華人民共和国の入国書類を用意しないといけない。



時間はかかったものの、無事に香港出国と中国入国を終えて羅湖の深圳側ゲートを出る。



漢字が簡体字に変わってまさにその雰囲気は大陸。



駅のすぐ側にあるモールに入る。



小さなテナントが沢山入っている感じで、服飾品やら電子機器などが売られている。中国人以外にもインド系や中東系の人が多かったのが印象に残った。欧米の経済圏とは違った、中国、南アジア、中東というつながりの経済圏を感じた。



そして深圳の地下鉄へ。地下鉄への入口でいきなり小さい子どもに立ち小便をさせている親がいてさすが大陸だなぁとびっくり。



電車は切符ではなく、電子チップになっていて、入場時にチップをセンサーにタッチ、出場時にはチップを投入する仕組みになっている。





車内に入ると…、綺麗だ…



罗宝线(ローボウシン)という路線だが、ゴミも落ちておらず、電子表示もちゃんとしていて、ニューヨークの地下鉄なんかよりよっぽど進んでいる



目的の四川料理屋がある大剧院(ダイケッユン)という駅で降りて萬象城(マンジョンセン)というモールの中へ。



有名所のファストフードも入っていて見劣りしない。



それどころか、グッチに、



クロエにダンヒル、



シャネルにジバンシィと高級ブランドが並ぶ



餃子もあるし、



サムソナイトの店の隣りには和民も進出している。



ユニクロもあり、



さらには屋内スケートリンク…



8年前の北京旅行以降の中国大陸を知らない自分としては、「ここが本当に大陸なのか!?」と驚かされた。



そしてモール内にある目的の四川料理屋に到着。



入口で待っている人用に水とエビ煎餅まで用意されてる。



少し待って店内へ。



目当ての麻婆豆腐だが、驚くべきことに3種類の麻婆豆腐が



麻婆豆腐、麻姑豆腐、麻妹豆腐で、豚肉と牛肉の違い、木綿、絹ごしといった豆腐の違いによって分かれている。麻姑豆腐は豚の脳が入っているということでゲテモノな感じがしてパス。麻婆豆腐と麻妹豆腐を頼む。



う、うまいっ!!!

わざわざ国境まで越えて食いに来た甲斐があった。

まずは麻婆豆腐。豆豉や花椒もちゃんと効いていて、単に辛いだけではない、麻と甜も効いた納得の味。



なんというか正統派でこんなに美味いのかという感じ。



こちらは麻妹豆腐。絹ごしということで麻婆豆腐に比べるとサラサラしていてスープっぽい。が、こちらも美味い!



まるで普通のカレーとスープカレーを一緒に食べてるような、そんな感じ。



サイドで頼んだ紅油水餃。これは普通。ニューヨークの方がよっぽど美味い店がある。



他にもサイドでいろいろ頼む。



擔擔麪(担担麺)も。まあこれもまあまあ。



酸辣粉。これはなかなかいけた。



三人で苦しくなるまで食べて約2,500円、一人800円ちょっと。800円なんてニューヨークなら一品ランチでおしまいである。



満腹で店を後にしてモールを散歩。というか写真だけ見せたら、どっか欧米の大型モールに見間違うほど



生演奏も行われている。



シネマコンプレックスも入っている。



腹ごなしにカフェに。



シェイクを頼んで一休み。





時間が経って消化されてきたのか、あんだけ食ったのにフレンチトーストも追加。



1階にはまだ都市開発中で開発後の都市モデルが展示されている。





外に出るとライブが行われており、



沢山の人が。



大陸のイメージをひっくり返されつつモールをあとにする。



地下鉄へ。



半日の滞在を終えて香港へ。



乗車チップを買う。画面はタッチ方式。



駅構内も綺麗でインフラの発展はさすが経済特区。



プラットフォームも綺麗。



自転車を持ち込んで輪行している人も。



国境の町、羅湖に到着。



中国の出国を済まして香港の入国審査。香港の審査官が自分のパスポートの写真を見て、「痩せたねえ」といって微笑みながらスタンプを押してくれるフレンドリーさ。まあ当時は自転車を始める前で、今より12kg近く太っていたから無理もない。

香港に着いたらMTRのファーストクラス(日本で言うグリーン車)に乗って帰る。



帰ってからは少し時間が余ったので昨日のライドでパンクしたチューブのパンク修理





なにはともあれ、大陸の発展ぶりを見せつけられた半日であった。

そういえば世界三大投資家の一人でクォンタム・ファンドの創設者、ジム・ロジャーズはこう述べている(以下Wikipediaより抜粋)。

2007年に家族とともにニューヨークからシンガポールに移住した。「1807年にロンドンに移住することはbrilliant(素晴らしい、明晰なこと)だった、1907年に米国に移住することはbrilliantだった、そして2007年にアジアに移住することが次のbrilliantだろう。」と英Telegraphのインタビューに答えている。娘たちには将来を見越して、華僑圏で中国語を学ばせている。

チャイナタウンの華僑友達の家族を見ていると、いわゆる華僑の家系とは自由への移民の歴史でもある

大陸から香港に移住し、香港からアメリカに移住しという華僑も多い。

そういう点では、せっかく辿り着いたアメリカから中国へ戻るのは逆行している感じもするし、今後も中国大陸よりはアメリカだとは思う。

今回見てきた大陸の繁栄も、駅構内で、モールの中で公安らしき当局者を見ることもでき、その繁栄が統制国家によって管理されたものであることがわかる。

それに先富論の大陸では、「先に富める者から富め」の観点から、他地域の犠牲の上に一部地域の発展が成り立っており、経済特区たる深圳はその発展部分でしかない。日本で言えば六本木ヒルズだけ見て「日本」を論じてはならないということであろう。

ただジム・ロジャーズのセリフではないが、今後、数十年後にどう転ぶかはわからない。

確かに中国大陸は自由国家ではないが、いわゆる「自由国家」でも真に自由であるかは微妙なところがある。

例えば日本、

報道の自由度ランキングでは22位で、東欧のチェコ、中南米のジャマイカ、アフリカのナミビアよりも下である。

  PRESS FREEDOM INDEX 2011/2012

新聞の論調もどこも似たり寄ったりで、原発問題での政府の隠蔽やそれに荷担するマスコミ報道などを見ているとよくわかる。

  松本大臣問題:マスコミは大臣のオフレコ圧力に屈したのか?

経済の自由度ランキングでは24位。ちなみに1位は香港、2位はシンガポール、アメリカは10位である。

  2013 Index of Economic Freedom

香港では7年住むと(正確に言えばちゃんと税金を払って申請が受け付けられると)外国人でも永住権を得ることができる。

そして香港居民であれば中国大陸へ行く際の制限も低くなる。

自分は今、日本とアメリカと香港には住もうと思えば住める選択肢を持っているが、大陸への選択肢も開いておくに越したことはないんではないかと思わされた一件であった。


4 件のコメント :

  1. 深圳旅行記楽しく拝読しました。私が香港に行ったのは20うん年前で、中国との国境付近から中国を眺めたころから比べると夢のようですね。人口的には発展の余地が大きいのは東南アジアなので、英語と中国語ができることは次世代のビジネスパーソンには必須になると思います。(実際中国のエリートはそうですし)自分の子供達には日本の大学ではなく、中華圏の大学に行って、現地の友達を作れと言っています。たとえ有名校でなくとも、若いうちに人との繋がりを作っておくことは重要です。もっとも、子供達はまだ本気にしてないみたいです(笑。

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  2. 初心者ロードレーサー2013年1月28日 4:43

    ��0うん年前というと返還以前ですね。英語と中国語は次世代にとっては欠かせないベースになるかもしれませんね。といいつつ、私は中国語よりも広東語の方が得意なので未だに中国語を話すときは頭の中で広東語からの翻訳が必要になりますが(笑)
    NYにいる日本人の人を見ていてもそうですが、やはり日本に限定せず、英語圏でも中華圏でも視野が広いに越したことはないと思います。お子さんも将来どの道に進むにしろ、選択肢が多い方が可能性も広がると思うので。

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  3. そうです。返還のずーっと前です(笑。
    広東語ってどこで勉強されたのですか?香港?
    私はアメリカ資本の会社で働いておりましたが、日本人としての特性を活かすなら、これからはやはり東南アジアで働くのがいいのではないかと思っています。なんと言っても現地の風景に溶け込み易いですし。儒教文化はバカにできません。NY駐在のご子弟はどのようにキャリアプランを描いているのでしょうか?

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  4. 初心者ロードレーサー2013年1月29日 3:51

    広東語は私は香港出張のときに本やCDの教材を買ってきて独学で日本で勉強しました。ある程度聞き取れるようになったらあとはむしろ香港映画の方が教材としては役に立ちましたが。。。「ドラゴンへの道」のセリフは一部分暗誦できるほどでした(笑)
    東南アジアは地域としては良いところですよね。ビジネスのみならず、東南アジアをのんびり自転車旅行もしてみたいです。宮澤選手も毎年のようにタイで合宿していますし。やはりNYや海外に出ている人は日本に縛られないキャリアプランを描いている人が多い気がします。先はどう転ぶかわからないですが言語や住居の点で選択肢が多い方がいいでしょうし。

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