UCIレース日記第二十九戦:ロードレースという名のババ抜き

今週半ばから症状が出ている風邪は治らず、朝起きると喉の痛みと鼻水が…

風邪気味とはいえ、風邪薬や解熱剤はドーピング禁止薬物を含むことがある(いわゆる「うっかりドーピング」)ため、風邪薬を飲むわけにはいかず、発熱、寒気、倦怠感、脱力感といった症状が出た状態で走るしかない。ちなみにライプハイマーが1996年にドーピング違反を宣告されたエフェドリンは、パブロン、ルル、エスタックといった市販の風邪薬にも含まれている

といっても、今回のレース結果はNational Ranking System(米国の国内統一ランキングポイント。国内ランキングだけでなく、アップグレードの対象にもなる)には登録されないようなので、アップグレードを目標にしている自分としては練習試合のつもりで走る。

まあ練習試合とはいえもちろん全力で走るし、レースは最高の練習にもなるので、体調はとりあえず気合いで乗り切ろうとレースへ出発。

本日のレース会場は旧飛行場のフロイドベネットフィールド。

会場に開始20分前に到着。予定ではカテゴリー5が走り終えてカテゴリー4が始まる時間なのだが、なんとまだカテゴリー5のレースも始まっていない模様。

しょうがないのでトイレに行ったり、コースを何周か走りながら待つ。コースはホームストレートの位置が変わっており、コーナーを膨らませることで、以前にあった鋭角の死のカーブがなくなっていた。最終カーブは、クラッシュや転倒が起こったという死のカーブではなく、緩いL時カーブが2つという構成になっていた。

ちなみに下の写真はカテゴリー5の開始前。



カテゴリー5では日本人ロード仲間のかめらいだーさんと、同じチームのハリーが走っているので自分も周回しながら応援。ハリーは3周目で1人で逃げを決めようとしていたが結局集団に吸収され6位に終わったとのこと。



ニューヨークは摂氏10度を下回ることもあり、冬の寒さに入ってきた感があったが、今週末は温度も高く、フロイドベネットフィールドでは太陽が選手たちを照りつける。



カテゴリー5が終わり、カテゴリー4の選手たちもウォーミングアップを終えてスタートラインに戻ってくる。



そして開始前。スタートラインに並ぶ。



レース開始前に、チームメイトのジョンと話すが、お互い今月のシリーズは初参加ということで様子を見ながら走るということ。彼は平日に行われていて自分は参加出来なかったサマーシリーズを走っているので、要注意レーサーを教えてもらう。まあジョン自身も、カテゴリー5のシリーズレースでマイヨ・ジョーヌを着てシリーズ優勝、カテゴリー4のレースでも何度も入賞している屈指のスプリンターである。


■レーススタート

ぶっちゃけ自分はフロイドベネットフィールドに苦手意識を持っている。フラットのみのコースでクライミングが全くなく、相対パワー(watt/kg)よりも絶対パワー(watt)で勝負が決まる。体格が小さい自分は極めて不利であり、実際これまでもカテゴリー5で千切られたこともあればカテゴリー4最初のレースでもここで千切られてしまった。まあカテゴリー4最初のレースはチームプレイであり、入賞することを考えずに序盤から全力アタックをしかけるというチーム内での役割上仕方なかったのかもしれないが。

とはいっても、苦手意識を持ち続けるのはよくないので、苦手なら苦手でそれを克服できるように慣れていかなければならない。となると実戦は最高の練習の場である。

一方で、風邪気味であるのでまずは集団の中で走る。

最初の数周は集団の中にステイ。コーナーの感覚を掴みつつ周回を重ねる。

その間にも何度かアタックが行われ、それでも逃げが出ることなく集団のまま走り、序盤や中盤で先頭にいれば後半でも前を確保しやすいので、自分も先頭を牽いたりして集団内で存在感をアピールしておく。

6周が終わって残り5周のアナウンスがされる。その時点で自分は集団の後ろにいたので、そろそろ前に上がっていかなければと思い、集団内で前の方へ上がって行く。

そこでも頻繁にアタックが繰り返され、集団は縦に伸びる。

チームメンバーや、知り合いの黒人レーサー、ミッチェルに「後ろにつけ!」と声をかけつつ先頭集団に追いつく

自分も先頭のローテーションに入って、前を牽いたり、アタックを潰したりしながら残り3周。

残り3周でアタック→アタック潰しの隙を突いてアタックをかけたTeanyのチームが逃げに成功。差が開いてしまう。

残り2周。このままではまずいという雰囲気が集団の中の一部レーサーに漂い、必死に追い上げをかける。

自分もその中に加わり、違うチーム同士、お互い声を掛け合いながら前の逃げ集団との差をみるみる詰めていく

10周目も終わり残り1周。

このままでは時間がなく、もっと追い上げねばと思いつつ、ローテーションを行う…。

が、先頭に立っても集団を牽かずにペースを緩めるレーサーが続出

意志が統一されていない集団の脆さが露呈することになった。

このとき集団内のレーサーの心理としては以下の2種類に大別される。

 1.集団内で協力して牽き合って逃げ集団に追いつく
 2.1のやつらに任せておけば力を温存できるから、最後のスプリントで逃げ集団も1のやつらも追い抜く

��のレーサーは漁夫の利を狙っている点で最も有利な戦略であるが、2のレーサーが多すぎてはそもそも1のレーサーが不足し、逃げ集団にそのまま逃げられてしまう

今回は風邪気味の中でポイント獲得関係なしに走る練習試合ということもあり、自分は攻めの姿勢の1で走った。

が、1のレーサーは4人ほど。残りは2のレーサーで結局逃げ集団には追いつけず。意思統一が取れていない集団ではまさしく烏合の衆状態になることもあり、今回は集団内でババのなすりつけ合い集団を牽いて逃げ集団を追うというババを誰が引くかをなすりつけ合っているのに他ならない。

最後のコーナー前で2のレーサーたちがスプリント状態に入ってこれまで牽いてきて脚を使ってしまった自分やジョンといった1のレーサーを抜いていく。自分はおそらく10位にも入れずゴール。

まあ色々あったが、レース中の駆け引き含め、全ては来シーズンに向けての実戦経験として肥やしになっていくので個人的には納得はできる内容であった。

ちなみに最初の周回タイムを元に計算して45分間ということだが、後半でペースが上がったため結局走行時間は44分28秒で11周であった。

最後の3周の平均心拍数は188bpm。ひたすら無酸素運動領域で追い込み、海の中に潜っているような感覚できつかった。

レース後、家庭の用事があるためすぐに自走して帰宅。

昼はチャイナタウンで西安料理。



久しぶりの辛い料理と中華風牛肉バーガーを堪能。



が、風邪気味の中無理をしてしまったのか体に力が入らず、すぐに帰宅してそのままダウン。

とりあえず体力を戻すことに注力したいと思う。


6 件のコメント :

  1. そうか、無酸素状態で。。。。のところまで追い込まないといかんのですかね。小生はまだサイクリングの延長です。次回はもうちょっとがんばってみます。しかし、先頭牽いたり、あの集団のなかでもすっかり貫禄を出してましたよ。ご立派。

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  2. レースがいっぱいでうらやましいです

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  3. お疲れ様でした。
    ルールとはいえ風邪薬も飲めないのはやはりキツイですね。
    お大事にしてください。
    しかし美味しそうです(^q^)

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  4. 初心者ロードレーサー2011年10月11日 20:41

    お疲れさまでした。次回はぜひレース用ポジションでの走りを試してみてください。私も先頭牽くだけでなく入賞できるように頑張りたいと思います。

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  5. 初心者ロードレーサー2011年10月11日 20:42

    そのレースも恐らく今月のシリーズで最後になりそうです。けっこうチーム内ではシクロクロスをやってる人が多いですが、自分はロードレース専門で来てるのでしばらくオフシーズンになってしまいます。

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  6. 初心者ロードレーサー2011年10月11日 20:45

    容量制限等もあるので、1回くらいの風邪薬ならセーフなのかもしれませんが「疑わしきは避けろ」で摂るのは控えてます。とりあえず自然治癒力を信じて安静にしてようと思います。
    ちなみに料理は西安名吃という店で、広東系のチャイナタウンでは久々にちゃんとした辛さの料理を出す店でした。

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