ヒルクライムとランは化学反応を起こすか

新年を迎えて心機一転健康的な生活を・・・。

年の変わり目は新しいことを始めるにも良いタイミングなので、イベントが少ないヒルクライムを補完してモチベーションアップできるようなスポーツを考える。

ちなみにStravaの記事でも、モチベーションアップの筆頭として複数のスポーツをすることが取り上げられている。

運動のモチベーションを高めるための TIPS💡

その1:複数のスポーツを取り入れる🏃‍♀️🚴‍♂️🏊‍♀️
世界中のStravaアスリートの平均月間アクテビティ数を見てみると、複数のスポーツに取り組む人は、それぞれに費やす時間を減らすのではなく、全体的なワークアウトの時間を増やしています。

今年は1月16日!Stravaが予測する「挫折デー」とは?

イベントが頻繁にあって、それを目標にしてトレーニングすることで夏のヒルクライムレースまでにフィットな体を造り上げ、できればそのトレーニングで体重だけでなく心肺機能や筋肉的にも相乗効果が見込めるもの・・・。

前回のエントリでも触れたヒルクライムのウィークポイントから理想的な条件を考えるとこんな感じ。

  • ロードバイクと両立できる&相乗効果がある
  • そのスポーツをやっている知り合いがすでにいる
  • NY近辺のイベントが多い
  • 香港でもイベントが多い
  • 家族旅行と遠征を両立できる(=携行荷物が少ない)
  • お金がかからない(∵すでに自転車で金をかけているので)
  • 周りの理解を得られやすい

これらの条件を満たすスポーツを考えると、もうピンポイントでランしか思い浮かばなかった。

ロードバイクと両立できる&相乗効果がある


せっかくだからこれまでやってきたロードバイクで鍛えた部分が活かせるのがいい。

それにロードバイクと同時並行でやる以上、片方の競技力向上がもう片方では競技力低下に繋がるような相反関係にあるスポーツは避けたい

たとえばボディビルディングとウェイトリフティング。

一見親和性が高いように見えるこの2つでも、コンテスト期に脂肪を極限まで落とすボディビルディングと、ひたすら挙重重量の増加を目指すウェイトリフティングでは相反する部分がある。

同じ自転車競技でも、ロードレースとトラックレースでは長距離と短距離の差が顕著になるほど必要とされる筋肉が違ってくるので相乗効果より相殺効果の方が大きくなってしまいかねない

ロードバイクで特に必要とされる能力といえば、心肺機能に代表される有酸素運動能力と下腿や体幹を中心とした筋肉。

これがアームレスリングだったりすると、腕の筋肉を一から鍛えなおさないといけないし、心肺機能もあまり役に立たない。



ボディビルディングの場合はさらに自転車的には重りにしかならない(主に上半身の)筋肉を大量につけなければいけないのでロードバイクとの両立は難しくなる。



この点、ランであれば心肺機能も活かせるし、ロードバイクで培った下腿や体幹の筋肉も応用が効くかもしれない。

実際、Runner's Worldの「Run Less Run Faster」という本の3plus2というトレーニング方法では、1週間に3回のランと2回のクロストレーニングが推奨されており、クロストレーニングの筆頭に自転車が紹介されている。

曰く、毎日ひたすら走り続けるのではなく、自重を支える必要のない自転車とクロストレーニングすることで、怪我リスクの回避と高強度トレーニングを両立できるというものである。

MODES OF CROSS-TRAINING
Cycling

Cycling is a non-weight-bearing, low-impact exercise that develops aerobic fitness while allowing recovery for the legs from the demands of running. It helps develop the quadriceps, which can balance the strengthening of the hamstrings and calves that results from running. Cycling can also increase hip and knee joint flexibility. Because there is no pounding with cycling, runners often recover quickly and it does not interfere too much with the demands of the key runs.


ある意味、ランは心肺、筋肉ともに最も自転車と親和性が高いスポーツなのではないだろうか。

そのスポーツをやっている知り合いがすでにいる


自転車仲間ですでにロードバイクとランを両立している先達がいるのも心強い。

ネットではラン初心者に対するアドバイスや始め方を解説したものはいくらでもあるが、自分のようにローディーがランも始めるという個別ケースに対する情報は多くないので、ピンポイントでローディーとランをしてる人がすぐ近くにいるというのは有り難いものである。

ちなみに統計をしたわけではないので個人的な感覚でしかないが、2種類以上のスポーツを本格的にやってる人の場合、自転車とランという組み合わせは多いと思う。

少なくとも自分の知り合いでは自転車とランの組み合わせ(&トライアスリートの場合+スイム)の人しかいない。

自分の知り合いという狭い範囲ではあるものの、それでもその組み合わせが多いというのは、前項目に挙げた相乗効果&親和性が高いことを裏付けるものだと思う。

NY近辺のイベントが多い


ヒルクライムでは年々縮小するイベント数、一番近い場所でも仕事を休んで泊まりで自動車移動しないといけないのがネックになっている。

この点、ランはメジャーな市民スポーツということもあり、自宅から自動車不要でいける距離でも山ほどイベントがある。

試しにNYRR(New York Road Runner)というランイベントを開催している団体のサイトをチェックしたところ、ほぼ毎週のペースで、12月や1月の真冬でもランイベントが開催されている。


実際、これまでプロスペクトパークやハドソンリバー沿いのグリーンウェイを自転車で走行中に、ランのイベントで走っている人たちに遭遇することが多々あったが、その中の一部はこのNYRRのイベントだったようだ。

これからランを始める人間にとってイベント参加はまだまだ先の話だが、本格的にやるようになってもこういったイベントが数多く用意されているというのはモチベーションになるし、イベント参加を目標に頑張るのも張り合いがあるかもしれない。

香港でもイベントが多い


さらに自分的にポイントが高いのが、香港でもイベントが多いということ。

香港の自転車イベントというと、メジャーなものでは香港サイクロソンが開催されるようになったものの、ヒルクライムというと全くない。



唯一見つけたのが、飛鵝山を上るヒルクライムタイムトライアル。かの黃金寶※も走っていたという歴史のあるタイムトライアルのようである(※ワン・カンポ。トラックでUCI世界選手権金メダル、ツール・ド・おきなわではチャンピオンクラス4回優勝の香港人自転車競技選手)。



だが、いかんせん8分くらいで終わってしまうコースプロファイルということで完全にVO2Max大会と化しているような印象を受ける。



8分走るためだけに国境を越えて遠征に行くのもなぁと思うと香港でのヒルクライムレース参加は厳しい状況である。



ところがランイベントを調べてみると大量に出てくる。



一覧で見てみると、5kmや10km走まで、毎週末の土日に何個も開催されており、狭い香港とは思えないほど多い。



中にはトレイルランもあるが、それはそれで香港の絶景を堪能できると思うと良いモチベーションになりそうである。



基本的に香港の山は山頂まで舗装路が整備されておらず、大帽山のように山頂までヒルクライムできるのは例外中の例外。



一方で、舗装路がない山々もハイキングコースとしては整備が行き届いており、香港に滞在するたびに目の前に見える馬鞍山に登りたくなっていたところなのでちょうどいい(以前自転車でチャレンジしたことがあったが中腹手前までしかいけなかった)。



いつかたくさんの人で密集する大都会の夕暮れを、ポツポツと灯りがついていって百万ドルの夜景に変わる光景を誰もいない山頂から眺めてみたい・・・。香港でのトレイル実行も目標の一つとして視野に入れたいものである。



家族旅行と遠征を両立できる(=携行荷物が少ない)


自分の中で優先順位が高いのがこの旅行&遠征。

前回触れた通り、家族旅行と遠征を合わせるというのがメリハリがあるし良い想い出にもなっているのでぜひ今後も続けていきたいと思っている。

この点、ランに必要な荷物は少ないので自転車に比べて圧倒的に身軽になる。

別途大きな段ボールを輸送する必要もないし、Oversized Baggageとして破損を心配しながら預ける必要もないのは心理的にも大きい。

以前欧州遠征をしたときは、自転車と一緒に移動する関係からレンタカー必須だったが、ランなら普通に鉄道で各地を移動していろんな観光地を走れる。



日本で実家に帰った場合でも、3世代6人で移動になってもランならば必要な荷物はリュックひとつで十分持ち運べる。

これが自転車の場合、6人かつそれぞれの荷物(飛行機移動のスーツケースになるとかなりかさばる)を含めると、もはや自転車を積めるスペースはなく、前回のようにハイエースでもレンタルしないと厳しくなる。いわんや飛行機輪行である。



さらに必要荷物の少なさはこれまで苦労してきた香港でも役立つ。

以前は折り畳みを買ったり、分解可能なロードフレームをスーツケースに詰めて走っていた香港旅行だが、そもそも高層ビルかつ雑多な香港では自宅から自転車を持って外に移動するのすら大変だった。



今も折り畳みとロード用の700Cのホイールセットを置いたままにしているが、世界一地価の高い香港で1年に1回も利用しないもののためにスペースを占有してしまっていることすら非効率でありもったいない。

ランができるならば香港旅行中のエクササイズももっと気軽になってハードルが低くなる。

お金がかからない(∵すでに自転車で金をかけているので)


ロードバイクはまさに物欲の嵐、金欠になることもたびたびだが、この点でもランはメリットが大きい。

ランで必要になるのはそれこそランニングシューズくらい。

ハイエンドのランニングシューズでも、同じくハイエンドのホイールセットと比べれば10分の1以下の値段で手に入る。

本格的にイベントとかに出るなら専用ウェア等々揃えていかないといけないだろうが、とりあえず近所でトレーニングするくらいだったらウェアは自転車のものが流用できる。

さすがにレーパンは走りにくいことこの上ないので替えなければいけないが、上着は別にサイクリング用の背中ポケット付きジャケットでも困らない。

ちなみに前項目とかぶるが、必要な道具が少ない分、家の中のスペースも占領せずに済む

特にロードバイクやブロンプトン、さらにローラー台まで置いて手狭になっている今の状況では床面積的に厳しいのでこれも助かる。

周りの理解を得られやすい


「平均勾配12%の山を自転車で上って車で下りてきます! (`・ω・´)キリッ」と言うと「こいつ何が楽しいんだ」と変人扱いされるが、「ランニングしてます」だと一般人扱いされる気がする(笑)。

が、そういうことではなく、リスク管理的な意味での「理解」。

これまでロードバイクというスポーツで救急車に乗ったのは2回しかないが、擦過傷や打撲等のクラッシュを含めれば数え切れないほど。



そういう前科があるからか、やはり高速で走るロードバイクに乗っていることを家族からは心配されており、高速ではない折り畳みブロンプトンで走っている通勤ライドでも事故らないかを心配されている。

特に通勤ラッシュの時間帯に混雑するマンハッタンを走っているので交通事故的な面でも心配らしい。

休日ライドをしていたときも、自宅から50km離れたところで自転車のトラブルや事故に遭って自走で帰ってこれなくなったときにどうするんだと言われたこともある。

この点、ランだとずいぶんこれらのリスクが低減される。

もちろん関節を痛めたり捻挫で走れなくなることはあるかもしれないが、ランで出る速度はタカが知れているので、ハイスピードで車と衝突して命を落としたり、時速60kmの下りで縁石に突っ込んだりといった危険度とは比べ物にならない。

それに良くも悪くもランで行ける距離もタカが知れているので、電波の届かない山奥で立ち往生になるなんてこともなく、自分で帰れなくなるような事態になってもちょこっと車で近所に出てきてもらえば救助してもらえる。

以前は自分の趣味に家族も巻き込めたが、特に2人目が産まれてからは人手が足りず、「家族に迷惑をかけない」はもちろん、「家族に心配をかけない」も大事なポイントとなっているので、ここでもランのメリットは大きい

ということで改めて自分で整理しながら書いていくと、もはやランをしない理由が見つからないくらいなのだが、これらは全て机上の空論。

準備も装備も少なくて済むなら、とりあえずまずは走ってみようということで、15kg太って贅肉がつきまくった重い腰を上げるのであった。

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