が、それでもなんとかハイキングだけは決行。
看板がひしめく雑多なイメージを持たれることがあるが、香港は大自然も魅力。
特に当時イギリスが大英帝国の保養地としてハイキングルートを整備したこともあり、ハイキングコースの多用さは有名で、自分もハイキングをしてみたいと思っていた。
といっても家族を置き去りにはできないので全員で。
その日の午前中は沙田で飲茶。
ミニバスで沙田へ向かう。
城門河でサイクリングをしている人を横目に。
レストランのある建物に到着。このビルはレストラン、旅行局(パスポートを発行する政府の出張所)、キャバクラ、教会、ゲーセンが入ってるという日本ではありえないような組み合わせの雑居ビル。
飲茶をがっつり食べて午後のハイキングに備える。
飲茶を食べたらまたミニバスで馬鞍山へ戻る。
ミニバスは「次ぎ降ります」と声を掛けると、運転手が手を上げて応えて停まってくれる。
馬鞍山市中心から馬鞍山村へ
今回のハイキングで一番の不安要素は上の子の体力。
下の子は自分が抱っこ紐で抱っこしながら歩くので大丈夫だが、上の子が力尽きて抱っこすることになるとハイキング続行不可能になりかねない。
本人がいくら大丈夫といっていても体力が尽きて歩けなくなったらそこまでなので、事前にショートカットできるところはできるだけショートカットすることに。
幸い、馬鞍山の駅から馬鞍山の中腹にある馬鞍山村までバスが出ているのでそこまでバスでいくことに。
中腹の馬鞍山村からスタートすれば、体力が必要な登り部分を短くできる。
あまり頻繁には出てないので出発時間に合うようにバス停で待つ。
バスが到着して乗り込む。
バスは本来馬鞍山村の村民用のため、座席がない場合は村民優先となるが平日の昼ということもあり満員にはならず。
といっても地元の人の足として利用されているからか、平日の昼間なのにかなりの人が乗っていてびっくり。もっとガラガラかと思っていた。
6年半前に自転車で来て引き返した地点を通り過ぎてさらに山を登っていく。
バスの横を見ると麓からハイキングしている人も。自分も子連れでなかったら麓から登ってただろうなと思いながら外の景色を眺める。
けっこうな急勾配をガンガン登っていく、この全行程を子ども二人連れて登ったら大変だったので中腹までバスで行けてよかった。
馬鞍山村を出発
馬鞍山村の終点で下車。
向こう側に有名な「恩青営-鞍山探索館」が見える。
教会の中にカフェがあって、豆腐花やクッキーが食べられるのだが、週末のみ営業しているためこの日は休み。
本格的な山道に入る前に公衆トイレ(馬鞍山村山頂公廁)でトイレとオムツ換えを済ませておく。
子連れの場合、我慢もきかないしトイレに寄る回数も多くなるので行けるときに行っておく。
20分前まで高層ビルの街中にいたとは思えない景色。モアッとした湿気を含んだ暑さはニューヨークでは味わえない感じ。
雨がちだった天気と水はけの悪さもあってか路面状況は悪い。
ハイキングルートとしてメジャーなだけあって、登りは大変だが石畳が整備されている箇所もある。
公衆トイレの横の階段を上がると本格的な未舗装路に。
ひたすら山道を登っていく。
しばらくすると川の音が聞こえてくる。
ハイキングパスを横切るように川が流れていて、写真撮影をしている人も。
登りはやはり体力を使うが、中腹からスタートしたこともあり、全体的には3分の1登りきればあとは平坦と下りだと鼓舞して進む。
最高地点へ
虫除けをつけていったのだが、やはり虫の多さがわずらわしい。
蚊だけならまだしも地上を飛び跳ねる虫もいて、道の凹凸もあいまって地面を見ながらひたすら登っていく。
体感的にはけっこう長かったが、全行程の3分の1あたりにある今回のハイキングルートの最高地点に到着。
この地点は各ハイキングルートの合流地点にもなっている五叉路で、休んでいる人も3人ほどいる。
東屋があるのを見て、上の子もなにかしらのゴール地点だとわかったのか、両手を挙げて到着を喜んでいる。
こうやって喜んでいる姿を見ると決行してよかったなぁとしみじみ思う。
昂平営地方面へ南下
この分かれ道を東へ向かうと大金鐘、さらには馬鞍山の山頂へも行けるのだが、山頂はロープを手でつかんで登るような急勾配の岩山になるしそもそも遠回りになって子連れでは無理ということで南下。
しばらくは平坦な道が続く。
平坦ということもあって手を繋ぎながら写真を撮る余裕もできる。
ほどなくして昂平高原に到着。
ここは野良牛が出ることで有名で、この日も何匹もの野良牛を見かけることができた。
人間より牛の数の方が多いという高原で、モォォーー!という牛のいななきにびびる家族。
おとなしそうだけど、確かに刺激して闘牛のごとく襲われたらやばいなということで、遠巻きに見るだけにして先を急ぐ。
さらに霧の中でパラパラと小雨も振り出し、道が歩きにくくなる前に早く下山することに。
晴れた日はここから良い景色が見えるのだが、あいにく霧が出ていて長居せずに先を急ぐ。
昂平から大水井
しばらくして三叉路に到着。
ここから西へ少し行くと昂平営地というキャンプ場へ到着するのだが、天気と家族の体力も心配なので今回はそのまま山を降りる方向で南へ向かう。
最終目的地は港町の西貢だが、その手前の山腹にある大水井がハイキングロードの起点&終点となっているので大水井に向けて山を降りていく。
と、西貢を見下ろせる景色が。
写真を撮りつつ一休み。
雲の合間に晴れ間も見えて気合も入る。
が、降りは大変で、足を踏み外さないように子どもの手をつなぎながらゆっくり降りる。
体力的には登りの方が辛いが、岩だらけの足場を安全に進もうとすると降りの方が時間がよっぽどかかる。
ふと空を見上げると、変わりやすい山の天気を反映してか、さっきまで晴れ間が出ていたのに黒い雲が覆ってくる。
と、サーーーと川のような音が聞こえる。
登り始めのときに横切った川のように、このあたりでも川が流れているのかなと思いながら進む。
が、しばらくしてザーーーと滝のような音が聞こえてきて不審に思う。
周りを見回しても特に滝のようなものはない・・・。
と、音がどんどん大きくなり、しかもその滝の音は頭の上から迫ってくる・・・。
まさか・・・と青ざめた次の瞬間、ドバーーーッとスコールが降り注ぐ。
持っていたカッパを取り出すが、カッパを着る時間などなく、とても歩けるような状況ではないので家族全員一箇所に固まってカッパを広げてその下で待機。
5分ほどで小ぶりになったがカッパの下に隠れたにもかかわらずビショビショ。
しかも運悪く山を降っている途中でスコールに遭ってしまったため、ただでさえ凸凹の岩場の道に雨水が川のように流れ込み、さらに滑りやすくなっている。
それでもなんとか時間をかけながら降る。
ふと見ると向こうの山にも雨雲が見え、真っ暗になってる箇所はスコールが降り注いでる最中なのだろう。
大水井に近づいてきて、ついに舗装された階段になるが、あいにくのスコールで川のように水が流れているので足を捕られないように降りる。
そしてやっとのことで一般道に到着。
大水井
一般道とは言ってもまだ中腹で山を降りきっていない。
ここから西貢まで降っていくが、まだ20分以上はかかる。
幸い公衆トイレがあったので、着替えを持っていた※上の子の服を着替えさせる(※そう、下の子を抱っこしつつ、さらに着替え一式を持って登っていたのだ)。
下の子のオムツも交換して一休み。
とはいえ、靴の替えまでは持ってきていなかったし、大人の着替えも持ってきてなかったのでビシャビシャに濡れた靴や服も一式着替えるためになにはともあれ早く西貢へ向かうことに。
西貢は観光地ということもあって個人商店も多いので換えの靴や服も見つかるだろう。
このあたりの中腹部にある村の道は行き止まりも多く迷いやすいのでGoogle Mapを見つつ、念のためすれ違う地元の人にも道を確認しながらひたすら降りていく。
西貢に到着
スコールと、その後のずぶ濡れの降り道で精神をすり減らしてしまったのか、疲れ果てた家族を励ましながらあと少しだと最後の力を振り絞る。
街に近づいてきたのか家屋も多くみかけるようになる。
持っていた水筒の水も飲み干してしまい、疲れきっていたところで自動販売機を見つけてポカリで水分補給。
そして長かった山道を降り終え、ついに普通の道へ出る。
この普通道は西貢の主要幹線道路となっており、ここから南が港を臨む商店街となっている。
西貢で回復
西貢についたらまずはずぶ濡れになった衣服の対応。
必要なものはその場で買い揃え、濡れた靴下やらズボンやら靴やらを交換。
店の人に、そんなずぶ濡れになって服のまま泳いだりでもしたのか?と言われ、いや、ハイキングでスコールに遭ったんだと説明。
一通り衣服の対応が終わったら次は空腹対応。
予定していたより時間がかかってしまったのでお腹はペコペコ。
レストランに入る前に以前も行ったことのあるベーカリーへ。
葡撻(ポルトガル風エッグタルト)を調達。
子どもと分け合ってほっこりする。
そして夕食は西貢松記車仔麵で。
がっつり食べて体力回復。
馬鞍山へ
帰りは西貢のバスターミナルから馬鞍山直通のバスに乗る。
馬鞍山の東側にある西沙路を通るバス路線で、はしゃぐ上の子に連れられて二階建てバスの一番前に座る。
最初は景色を楽しんでいた息子だが、やはり疲れているのかほどなくして爆睡。
スコールとその後の辛い降りがなければまだ余裕はあったのかもしれないが、やはり4歳には大変な道のりだったのかもしれない。
それでもおんぶされずに最後まで歩いてくれたことはありがたかった。
あの濡れた降りで体力が尽きておんぶすることになってたらこっちが参ってただろう。
ちなみにグーグルマップでは1時間20分ほどだったが、今回はその倍以上で3時間近くかかった。もともと成人の徒歩速度で1時間半だとすれば、子どもを連れて休憩もしながらでと考えれば妥当かもしれない。
次にチャレンジするときにはもう少し体力がついているだろうし、もっといろんな体験や景色を見せてあげたいと思う。
香港のハイキング、私も懐かしいです。私がいた頃(2003~2007年)は、ハイキングをしていると山中で(主に大陸人だと報道されていましたが)賊に襲われて身ぐるみはがされる、という事件が相次いでいましたが、最近は大丈夫ですか?
返信削除街中とハイキングの距離の近さはコンパクトな香港ならではですよね。
削除それにしてもそんな追い剥ぎ的事件があったとは知りませんでした。今回はすれ違う人たちとも話しをしましたがみんなフレンドリーでしたし、(最近は元朗の事件でむしろ街中の治安が心配されてますが)当時と比べてハイキングルートの治安はよくなってるのかもしれませんね。