脂肪が落ちれば筋肉も落ちる
ダイエットをするときに気を付けたいし心掛けたいのは「脂肪を減らして筋肉は極力減らさない」ということ。
筋肉は減らさないといっても「極力」という但し書きの通り、完全に減らさないことはほぼ不可能である。
実際、自分が去年10kg以上落としたときも、体重の2.2倍以上のプロテイン摂取を心がけ、ほぼ毎日運動していたにもかかわらず筋肉もみるみる落ちていった。
生化学的に同化と異化は体組織全般に作用する以上、「脂肪は異化優位になるけど筋肉は同化優位になる」というのは、「右を向きながら左を向いてください」というようなもので両立しない。
と言われても、それならそれでできるだけ脂肪を中心に落として筋肉は落としたくないというのが人情というもの。
そこで注目すべきはカロリー摂取とカロリー消費の内訳になる。
カロリー摂取から見た「筋肉を落とさない方法」
結論から書くと、「同じカロリー摂取なら、プロテイン(タンパク質)割合を増やすこと」に尽きる。
実際、様々な研究結果でプロテイン割合を高めることの有用性が示されている。
たとえ体重が変わらなくても、カロリー摂取内訳のプロテイン割合を高めることで体脂肪率が減る(その分除脂肪体重が増える)という研究結果も出ている。
上記結果はいわゆる普通の人を対象にしたものだが、ウエイトトレーニングをしている人たちを対象に超高タンパク質食を実践した結果も興味深い。
なお、この研究ではコントロール群に対し、超高タンパク質群(表中の「HP」= High Protein)は有意にカロリー摂取量を増やし、さらにその増やしたカロリーの大半をタンパク質で摂取している(2042kcal → 2835kcal)。
その結果、体重は1.7kg増えたものの、そのうちの1.9kgは除脂肪体重(FFM = Fat Free Mass)が増えたもので、一日平均800kcalもカロリー摂取量を増やしたにも関わらず、脂肪量も体脂肪率も減っていたのである。
日常生活におけるプロテイン摂取量を把握
これを実際に自分のダイエットに応用する。
となると大事なのは摂取カロリーのうち、PFCバランスの内訳を把握すること。
全体的な体重減のために摂取カロリーを管理しつつ、さらにその内訳でできる限りタンパク質割合を高める。
ではどれくらいのタンパク質割合がターゲットになるのか。
体重を60kgとした場合、体重の2倍のプロテインは120g=480kcal。
ダイエット中(カロリー摂取量制限中)の1日あたりのカロリー摂取量を1500kcalとした場合、480kcalは32%に相当する。
米や麺に代表される主食が炭水化物中心であること、それ以外に日常生活で口にするものの多くがタンパク質割合が低いことを考えると、それを相殺するためには40%くらいのタンパク質割合を高タンパク食品かどうかの目安としたい。
この点、タンパク質は1g=4kcalなので、栄養素表示を見てカロリーの十分の一のタンパク質量であればちょうど40%になる。
たとえばカロリーが100kcal、タンパク質が10gであればPFCバランスのタンパク質割合は40%である(10g×4÷100=40%)。
10gの半分の5gなら20%、さらに十分の一の1gなら1%になる。
プロテイン割合を確認する具体例
一例としてこちらはウォルマートのホールチキン。
カロリー160kcalに対し、プロテインは17gということで、十分の一以上で40%以上の高タンパク食品だと判断できる。実際に計算してみるとタンパク質が総カロリーに占める割合は42.5%。
グラフにするとこんな感じ。炭水化物が少ないのも低糖質ダイエットの観点からは好ポイント。
一方こちらのプロテインバー。
カロリー193kcalに対し、プロテインは10.4gということで、十分の一の半分(193kcal÷10÷2≒9.6g)より少し多いのでタンパク質割合は20%超ということがわかる(正確に計算すると21.6%で、上記「概算」と合っていることがわかる)。
比較しやすくするために同フォーマットのグラフにすると違い(特に炭水化物の割合増加)がよくわかる。
こちらの豆乳はどうか。
カロリー110kcalに対しプロテインは8gで、十分の一(110kcal÷10=11g)と十分の一の半分(11g÷2=5.5g)との間くらいなので、タンパク質割合は30%くらいかなと判断できる(正確に計算すると29.1%)。「プロテインバー」よりプロテインが多いのはさすが。
グラフにするとプロテインバーと似たような感じだがそれでもプロテイン割合は高い。
ではついでに牛乳はどうか。
カロリー137kcalに対しプロテインは6.8gで、十分の一(137kcal÷10=13.7g)の半分(13.7g÷2≒6.8g)なので、タンパク質割合は20%くらいかなと判断できる(正確に計算すると19.8%)。やはり牛乳は脂質が多い分タンパク質割合は落ちる。
グラフで見るとPFCバランスはプロテインバーとほぼ同様になる。牛乳の方がタンパク質単価が安いことを考えると・・・。
ちなみに、商品パッケージの栄養成分表示に記載されていない飽和脂肪酸(Saturated Fat)と糖質(炭水化物(Carbohydrate)のうちの糖質(Sugar)分)については、文部科学省の日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年より、「<牛乳及び乳製品>(液状乳類) 生乳、ホルスタイン種※」の該当項目の脂肪、炭水化物に占める割合より算出(※生乳はジャージー種とホルスタイン種でカロリーも違うが、ホルスタイン種の数字を使用)。
Q. 牛乳に使われている牛の種類
商品に牛の種類が明記されていないのですが、牛乳に使用されている牛の種類は何ですか?
A. 回答
日本の乳牛のほとんどがホルスタイン種です。
商品に明記されていない場合、ホルスタイン種であると言えます。
明治 牛乳に使われている牛の種類
このように、「カロリーの十分の一がタンパク質割合40%になる」という基準がわかっていれば、コンビニやスーパーの買い物先でも栄養素表示を見てひと目で高タンパク食品かそうでないかが判断できるようになるので、ぜひ日々の食品購入時にご活用いただければ幸いである。
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